「同軸ケーブルが長いとその減衰のために、リグで見たSWRの数字は低くなります」と前回書いたのですが、自分の使っているケーブルやこれから使うケーブルの減衰量がわかっていなかったので、確認しました。

アンテナ・ハンドブックにある「ケーブルのロスとSWRの関係の図」
この図を見ると、ロスが3以上は論外だとわかります。ロス3では、リグ側で測ったSWRの意味がなくなっています。
次は同軸ケーブルのデータです。

関西通信電線のHFAタイプのデータ
私は 5D-HFAを使っています。
この表は400MHzからなので、7MHzでどうなのかわかりません。

フジクラのSFAタイプのデータ
5D-HFAは「フジクラ製5D-SFA同等規格品」と某ホームページに紹介されていましたが、データをくらべると確かにそんな感じです。こちらの表は21MHzまで載っているので、これを参考にします。
なお前回のブログで使った波長短縮率はこの表にある83です。
それから、5D-SFAの波長短縮率について、JARLのホームページのデータライブラリーの中にある表では88%になっていました。よくわかりませんが、私はメーカーのデータを採用しました。
さて、現在使っている144MHz/430MHzのケーブルは15mです。
これの430MHzでのロスは 113×15/1000= 1.7dB
少し大きいです。33%くらいロスが出ています。
これの144MHzでのロスは 64×15/1000= 0.96dB
これでも、ロスは20%です。
実際に現状これで使っていますが支障はありません。アンテナがメーカー製のX200
なので、SWRに関しての不安はありません。
次にケーブル長35mで7MHzの場合ですが、上の表によれば21MHzで27なので、安全を見て20として計算してみます。
20×35/1000=0.7dB
これだとロスは15%です。実際にはもう少しよさそうです。
いちばん上の図から、この程度のロスであれば、ダイポールアンテナのSWRをリグ側で測定しても、大きな誤差にはならないことがわかります。
《 追記 》
最初の図で、ロス3dBのケーブルにSWR5のアンテナをつないだ場合を試しに計算してみます。
① リグの出力を10Wとします。ロス3dBなのでアンテナへの入力は5Wです。
② アンテナのSWRは5ですから、反射波は(5W×4/9)です。
③ 反射波もケーブルで3dBロスするので、リグに戻る時には半分の(5W×2/9)になります。
④進行波10Wに対してリグに戻った反射波は(10/9)Wですから、SWRを計算すると2になります。
ケーブルのロスが往復で利いてくるのでSWRに大きく影響してしまいます。
無線局の変更申請をしてから3週間が経ちましたが、まだ審査中です。
いちおう審査中ですから、あちらのコンピューター上でも審査中になっているわけで、忘れられることはないだろうと思って安心して待ってます。
さて、アンテナを建てる準備はゆっくりと進んで、だいたい部品は揃いました。
あとは支柱を建てる位置を決め、穴を掘って、アルミの支柱を支える単管を立てます。穴掘りは、長芋を掘るのに使うような道具を使うので、わりあいに簡単です。単管を穴に入れたら、その周囲に路盤材を入れて突き固めます。
路盤材なので、後で掘り起こすこともできます。これも経験済みですが、単管はクランプを利用してテコの原理で引き抜くことができるので、撤去もわりあいに楽です。
さて、本題のケーブルの波長短縮率についてです。
今回のダイポールアンテナは、2本の支柱をおよそ30m間隔で立てて、その間にW735を張るという構造です。したがってバランは10m近い高さの空中にあるので、バランに近づいて直接インピーダンスやSWRを測定することはできません。
かといって、測定のためにアンテナを低い位置に張るのは、地面の影響のために10mの空中とは全く異なるデータになってしまうのでダメです。
この場合のいちばん簡単な方法は、1/2λ(の整数倍)の長さの同軸ケーブルを使って測定することです。これでアンテナの正しいインピーダンスが測れます。
わたしはインピーダンスメータは持っていませんが、ディップメータは持っています。
ディップメータは昔からの測定器具なので、今では時代遅れな感じもしますが、使えます。
構造がシンプルなので、安心感はあります。
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参考資料 1/2λの同軸ケーブルを使った共振周波数の測定
この資料には「実際の長さと実測した周波数との積を求めて・・・」とありますが、もちろんこれはフルサイズのシンプルなダイポールアンテナでの話です。
さて、現実には1/2λのケーブルをわざわざ用意するのは面倒だしお金もかかります。
それに比べれば、マッチングを取るためのツールとして一般的に使われているSWR計は、進行波電力と反射波電力を測定して計算しているはずなので、同軸ケーブルの長さの影響はそれほど受けません。
なお一般に、同軸ケーブルが長いとその減衰のために、リグで見たSWRの数字は低くなります。これはリグから見た見かけのSWRがよくなるだけの話で、言い換えれば、アンテナ自体のSWRが見えなくなるということで、よいことではありません。
波長短縮率というのは、ケーブルを走る電波の速度と真空中での電波の速度の比です。1/2波長のケーブルの長さを計算するために必要な係数です。
波長短縮率は主に絶縁体の材質によって変わるようです。よく見かける同軸ケーブルの波長短縮率は、5D-2Vのもので0.67。
これだと3.5MHzの1/2λの同軸ケーブル長は
300/3.55×1/2×0.67=28.31m
私の用意したケーブルは35mなのでずいぶん違います。35mは長いですが、必要な長さなのです。
アンテナが大きくて給電点が高いのでケーブルは長いです。
しかし、実は私が実際に用意したケーブルは5D-HFAでして、これは5D-SFAの同等規格品で、絶縁体に同じ素材(高発泡ポリエチレン)を使っています。
5D-HFAの波長短縮率のデータは見つからなかったのですが、5D-SFAのデータは0.83でした。これで計算すると 300/3.55×1/2×0.83=35.07m
Oh my God!! まさに偶然の一致、神のご加護、OMSRISAIRAM
7MHzでは 300/7.10×1/2×0.83=17.535m
あたりまえですが倍の長さの35mの同軸ケーブルは1/2λの整数倍ですから、これもそのままで使えます。
実際の測定では、参考資料の図のように、同軸ケーブルのコネクターにワンターンを作って測定することになるのでうまくディップしてくれるかどうかも怪しいですし、精度も怪しいですが、リグのSWRメータのほかにも共振点を調べるツールがあるのはよいことです。
アンテナが共振していても、主に地上高の関係で放射抵抗が50Ωから大きくずれているとSWRは充分に下がりません。
2バンドダイポールアンテナの場合は、両方のバンドでSWRを充分に下げることはできないはずですから、ディップメータで共振点を確認できるなら、調整する上で大きなメリットがあります。
なお手持ちのディップメータの周波数表示はクラッシックなアナログですが、BCLラジオのデジタル表示を利用すれば正確な周波数がわかるはずです。
それから、現物の同軸ケーブルの波長短縮率もディップメータを使って測定できます。
ディップメータを使った1/2λの同軸ケーブルの作り方も参考資料の本には載っていました。
もし必要ならそこまでやることになりますが、まずは偶然の一致を信じて35mでいきたいと思います。
多少ケーブルの長さがずれても波長が長いので大きな誤差にはならないかもしれません。それについてもスミス・チャートでおよその予測はできるはずです。
たかがダイポールアンテナですがいろいろあります。考えることが多くて、なかなか作業が進みません。
【 別の話 】
◎ 「地面」はなぜ「ぢめん」ではなく「じめん」なのか?
この文を書いていて、「ぢめん」と入力したら変換してくれませんでした。「地」は「ち」だから「ぢ」でいいんじゃないのかとぼんやりと思ったのですが、調べたら、それはほぼ間違いでした。
しかし、たとえば「血」の場合、「鼻血」は「はなぢ」が正しいのです。
「鼻血」と「地面」ではどうして異なるのか、ということです。興味のある方は調べていただければすぐわかります。
Yahoo!ブログがもうすぐ終了になり、私のブログがひとつ腐海に沈むのですが、たいした記事のないブログなので引っ越しせずにそのまま消滅させます。
今見たらスミスチャートの記事があったので、これだけ残して置くことにしました。
その前にSWR(VSWR)についての、資料を貼っておきます。

この資料は、GXKさんの「無線工学の基礎」のサイトからお借りしました。
無線の資格の勉強をしたときに、GXKさんの「無線工学の基礎」のサイトにずいぶん助けられました。”かゆいところに手の届く”ほんとうに素晴らしいサイトです。
この図についての説明のあるページのリンクを貼っておきます。
「無線工学の基礎」 進行波電力と反射波電力、VSWRの測定と計算
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アンテナの製作記事を読むとスミスチャートが出てきます。
スミスチャートはこんな図です。

特性インピーダンス50Ωのケーブルにインピーダンス25+j50のアンテナを取り付けたときのVSWRをスミスチャートから求めています。計算しなくてもスミスチャートから求まるのです。
ただ、図を見るとややこしそうで、できれば遠慮したいと思ってしまい、ずっと手を付けなかったのですが、ちょっと調べてみました。
調べたら、なにやらおもしろそうなので、さわりの部分を紹介します。
数式がないと説明のしようがないので出しますが、これだけです。

対数もなければ指数もない簡単な数式だけです。スミスチャートは複雑に見えますが、数式を見ればそうではないとわかります。
スミスチャートは基本的には式③だけで描かれています。ほかに目盛がいろいろふってありますが、スミスチャートの線はこの式③だけで描けます。
式③をひと言でいうと反射係数に1を足したものです。Zが複素数なので式③の結果も複素数になります。ちなみに反射係数は式④です。
式④は、次のように導けます。

スミスチャートは、RL/Zoを様々な値で固定して複素平面上に線を引き、それからXL/Zoを様々な値で固定して複素平面上に線を引いて出来ています。複雑に見えますがそれだけです。
RL/Zoが水平軸に、XL/Zoの値が外周に、それぞれ目盛になっています。
このチャートは実数1の点に原点を移動すれば、反射係数になります。
VSWRの計算に必要な〔反射係数の絶対値〕は、図に示したように実数1の点からの距離で求められます。
VSWRの式は式⑤です。この式から、〔反射係数の絶対値〕が同じならVSWRは同じであるとわかります。これはスミスチャート上で、実数1の点を中心としたひとつの円の上のすべての点のVSWRが同じであることを意味します。
一方、式⑥に示したように、リアクタンスXLが0の場合にRLがZo以上なら、VSWRはRL/Zoです。
これはつまり、先ほどの円の上のすべての点のVSWRは、円がスミスチャートの水平軸の1以上の部分と交差した位置に書き込まれた目盛の数値(RL/Zo)そのものということです。
ということで、上に示したスミスチャートに鉛筆で書いたように、インピーダンスZLからVSWRが簡単に求められました。
スミスチャートにはほかにもいろいろな使い方があって、使い方を覚えれば役に立ちそうです。
たとえば、ケーブルの長さによる入力インピーダンスの変化も図から分かるらしいです。私にはその理屈がまだよく理解できていませんが・・・
リグから見た入力インピーダンスと使っているケーブルの長さとそのケーブルの特性インピーダンス及び波長短縮率がわかれば、アンテナ自体のインピーダンスがスミスチャートから求められるということです。
こういうツールを編み出した人は、頭の柔らかい人なんだろうと思います。
数式をしっかり視覚化できると、理解が深くなって、つまらないミスを防ぐことができると思います。
なお、VSWRを手計算するとき、複素数の絶対値の計算に自信がなくなって確認したのが式⑦の公式です。これを使えば計算が楽になります。
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このブログの2020年1月25日の記事に、スミスチャートについてまとめたものがあったので、そっくりコピーしておきます。
###### 2020年1月25日の記事 #########
まず「なぜSWRメータだけでアンテナの調整が可能なのか」という素朴な疑問がありました。この疑問についてはスミスチャートを見ると納得できると思います。

このスミスチャートにはいろいろなことが書きこまれているので、ごちゃごちゃしています。
このごちゃごちゃしたところが、スミスチャートのすごいところです。一枚のチャートでいろいろな情報が読み取れるということです。
SWRの値が一定の円は、Y点を中心にしてコンパスで書き込んだ円です。
たとえば、書き込んだ円のうちでいちばん小さい円がSWR1.5の円です。
SWRが1.5以内のとき、インピーダンスはこの円の内側の値に収まっています。
SWRが1に近づけば近づくほど円は小さくなって、測定点のインピーダンスは給電線の特性インピーダンスに近づきます。
測定インピーダンスは給電線の長さで変わりますが、SWRは給電線の長さでは変わりません。
給電線の長さではSWRが変わらないというのは、アンテナの調整作業がしやすいということで、大きなメリットです。ただし、これは給電線にロスがないと仮定した場合の話です。給電線にロスがあると見かけのSWRが良い値になってしまうので注意が必要です。
それから、このスミスチャートに、給電線の長さで入力インピーダンスがどう変わるかの例を書き込んでおきました。
給電線の特性インピーダンス 50Ω
負荷インピーダンスを Z=25 + j25 とする。
正規化すると Zn=0.5 + j0.5 《スミスチャート上の α点 )
α点のSWRは2.6
** 給電線の長さ 0.3λ の場合の入力インピーダンスを求める
スミスチャートは給電線の長さ0.5λで1周する。
給電線の長さによってSWRは変わらないから、SWR2.6の円上を 0.3λ 電源方向に回ると β点で、 0.59 - j0.65
入力インピーダンスZinは Zin=50×(0.59 - j0.65) =29.5 - j32.5
この例は本に載っていたデータをそのまま使ったのでたぶん正確ですが、実際にスミスチャートの上にコンパスで円を描いて、その交点の数値を読み取るのは、面倒な細かい作業だと思います。
それにしてもケーブルの長さによって測定点でのインピーダンスがころころ変わるというのは、確かにそうなんでしょうけれど、理論的にはまだ理解できていません。