◼︎将来どうなりたいかなんて、随分前に忘れてしまった。
今はただ、今何がしたいか、今何をすべきかを考え、ひたすら消化していくしかない。わたしにとっては、明日のことすらも不透明だ。そりゃそうだ。エジソンだってそうだ、バカ。
◼︎時間があって、センター街奥にある古本屋、ヤフオフ!とかいう、ブックオフに行った。
エスカレーターを上がって2階の日本の作家という札がかかっている棚をぷらぷら見ていたら、新人研修をしている店員さんがいた。
「この棚にあるのは~で、ここは~。出版社別に置いてあってあいうえお順になってる。」
教えているのは、いかにも本好きそうなメガネの男性だ。新人であろう女性も、見るからにおしとやかで、まさに"本屋の店員さん"という感じだ。
わたしは本を探す振りをしながら聞き耳立てた。
「じゃあこれは、在庫はどうしようか ?」
メガネの男性が質問を投げかける。
「~ですか?」新人の女性は困った様子だ
。「いや、文豪はね、文豪は面白いほど出るんだよ」とメガネの男性は食い気味で訂正する。
某文豪の本を手にとる。
「これなんか、350円でも出るよ。なんでか文豪は出る」
男性はよっぽど文豪嫌いのようだ。女性は、はあ、と返事をしている。
「例えば~さんが、ここにこれを置いただけでお店の売り上げは1万円違ってくるよ
「1万円も!」
「じゃあとりあえずやってみよう。これはどうする?」
「か行で、出版社は~だから……」
わたしは、1万円も!と心の中でつぶやきながら、3冊も本を買ってしまうのであった。