無名バンドmillion(仮)


〝攻め込むためにはまず

敵の現状を知ること〟

という考えの元

慣れないネットを駆使して

調べたところ

次のようなことが

わかってきました。


zeroは10年ほど前に解散。

新しいバンドは5人構成で

バンド名は「million(仮)」。

関西方面を活動拠点とする

ロックバンドでした。


zeroにはヒット曲が

ありましたが

millionにはありません。


リードボーカルは

わたしが目指すA氏。

その他に

ギター、ベース、

ドラムス、キーボードという

よくあるバンド構成でした。


zeroと同様

完全なライブバンドで

わたしが知る限り

メディアに登場することは

ありませんでした。


それとなく友達や職場の同僚に

「millionというロックバンドを

知っているか」と

尋ねてみましたが

見事に誰も知りませんでした。


つまり

A氏の新しいバンドは

関東圏では知られていない

ほぼ無名なバンドということが

判明したのです。


zero時代には一瞬

手の届かない場所へ

行ってしまったと思われた

A氏でしたが

millionとしては

10年もの間

鳴かず飛ばずだったのです。


この事実には

期待はずれと言うべきか

願ったり叶ったりと言うべきか

何とも言えない

虚無感を味わいました。


しかしそもそも

わたしはmillionを

推すことが目的ではないので

ヒット曲が無かろうが

どんなに無名だろうが

一向に構いません。

むしろ無名であることは

願ってもないラッキー。


肝心なのは

バンドメンバーが

それぞれ異なる芸能事務所に

所属していることただ一つ。

しかも目指すA氏は

ご本人の個人事務所でした。


A氏の現状が

概ね把握できたところで

わたしは再チャレンジを

試みました。


まずは

ご本人の目に留まることが

重要なので

雲のような形をした

定形外の絵葉書を選びました。


絵葉書なので内容は簡潔に。


*これはファンレターではない

*20年ほど前に

目黒で預かった品物につき

お話がある

*連絡を待つ


以上3点に絞りました。


すると意外にも

たった一回のトライで

A氏本人から連絡が来たのです。

これまでの苦労は

何だったの?

いささか拍子抜けの感が

否めませんでした。


記念すべきA氏からの初連絡は

何故か職場に。

〝A様より電話がありました。

090-○○○○-○○○○に

折り返してください。〟

というような留守電が

秘書さんから入っていました。

しかも携帯番号まで。


いくら売れてないと言っても

A氏は芸能人。

そんなに簡単に

携帯番号を

一般人に教えるはずがありません。

マネージャーさんの

番号かな?

事務所の携帯かな?

などなど

想像をめぐらしました。


願っていたこととは言え

一気に緊張感が高まったことは

言うまでもありません。