それは仕方のないこと


2011年に起きた大震災の

復興が進む中

A氏のバンドmillionは

解散しました。


わたしが初めて

A氏の声を聴いたのは

小学二年生。

当時のバンド名は

〝zero〟でした。


羽曳野市から転校してきた

ミィちゃんのお姉さん、里美さんが

大切にしていたカセットテープの

ノイズにまみれた音源でした。


あの時から数えて

41年目の解散。

もっともバンドの結成は

それより前ですから

特別な意味などない数字です。


わたしがバンドの解散を知ったのは

解散してから1年ほど

経った頃でした。


意外にもその情報は

当時担当していたネーベンから

お昼時にもたらされました。


お陰さまで精神科は

外科と違い

お昼ごはんを落ち着いてとる

時間があったのです。


ロック好きの彼女の口から漏れてくる

millionの解散にまつわるあれこれを

他人事のように

ぼんやり聴いた記憶があります。


半年余りの間

ギターを弾いて

一緒に笑って過ごした人と

同じ人の話だとは

どうしても

思えませんでしたから。


彼女の説明によると

解散後のメンバーはそれぞれ

ソロ活動をしたり

他のミュージシャンの

バックバンドを務めたり

しているようでした。


A氏はと言えば

前回触れたように

ソロ活動に加え

他のアーティストへ

楽曲を提供しているようでしたが

目立ったヒットは

無いとのことでした。


ソロ活動が

盛況であってもそうでなくても

提供した楽曲が

ヒットしてもしなくても

とにかくA氏が

心穏やかに

毎日を過ごしていてくれさえすれば

わたしは満足でした。

それだけが気がかりでした。


メールで近況を尋ねてみようかとも

考えましたが

それはやめました。


わたしという存在が

苦しかった日々の記憶と

結びついているとしたら

思い出したくないでしょうから。


やるせないけれど

それは

仕方のないことでした。