太宰って、自意識過剰であんまり好きじゃない。。。なんて思った時期もあったけれど、やはり魅力的。
なんというか、最近になって、自意識過剰なところもすべて純粋な部分なんだなと、思える。
こんな心理状況で、よく40歳まで生きてくれたものだとも思った。これじゃ、普通、身が持たないでしょう。
あんまり、考えすぎると毒だ。
今回「斜陽」を読んで、すごく太宰が好きになった。
東京の貴族出のお嬢さまは、こんな口調で話さないんだろうな。。。とか、最初は思って読んでいたけれど、そこはあまり目を向けるべき部分ではないと思った。
きっと、この作品は英訳したものをわざわざ和訳しても、良さが保たれる種の作品だと感じる。
- 斜陽 (新潮文庫)/太宰 治
- ¥340
- Amazon.co.jp
薬中の弟と、芯からの貴婦人の母親を持つ3人家族の主人公和子は、バツイチ、働き方も知らない、金銭感覚もない、本当の箱入りの29歳。亡くなった父親の遺産も底をつきはじめた頃のお話。
彼女の飾ったふうに読める口調とは別に、実に飾らない、純粋な思いを読み手に語る。
彼ら兄弟の日記や、手紙、遺書などは、口数が非常に多く、一見まとまりがないように見えるが、無駄なところがあるとは思えないくらいに真剣だ。色々、世の中にはあって、いろんなことが起こるけど、結局は自分の心と体の中におきる、恋愛こそが人生の中でもっとも重大であると。
さらには、世の中の全てのこと(戦争、組合、革命、政治など)は、女がよい子を産むためにあるんだと。
(それはさすがに極論だと思うが)
確かに、何かを手に入れても、何かを起こしても、真実は分からない。そうなると、残されたものは、男女間の関係だけが一番純粋であり得るとおもう思考は納得してしまうものがある。変な欲や、不安がない分、世俗を離れたおままごと的暮らしをしている人にこそ、その考えは当てはまるのかもしれない。
また、上品を離れて下品になろうとしていた薬中の弟・直治も、ものすごく分かる。自分のいない側のほうが正しく見えて、近づこうと右に習っても、居心地は悪く、浮いてしまう。そういう悲しい行動を繰り返すのは、きっと、どっち側にも理解があるからだと思う。謙虚で純粋な人のような印象を受けた。
この作品にたくさん出てくる、チェーホフの「桜の園」をもう一度読みたくなった。