9月、岩手県立美術館(岩手県盛岡市)で開催された、『コレクター福富太郎の眼 昭和の名実業家が愛した珠玉のコレクション』を観てきました。開催を心待ちにしていた展覧会です!
昭和のキャバレー王として知られた、実業家・福富太郎。この展覧会では、そのコレクションより、美人画や洋画など約80点が紹介されています。
特に、
鏑木清方(かぶらき きよかた)《薄雪(うすゆき)》(噛み締めた唇、ひしと抱き合う二人。ちらちらと舞う雪が、一層切なさを掻き立てる)
鏑木清方《妖魚》(爛々とした瞳は、獲物を狙うハンターそのもの。むっとした水の臭いや、尾びれが跳ねる音まで感じられそう)
鏑木清方《銀世界》(吹く風の冷たさ、かじかむ指の感触が伝わってくるよう)
渡辺省亭(わたなべ せいてい)《塩冶高貞之妻(えんやたかさだのつま)》(豊かな黒髪に艶のある唇、細部まで魅力に満ちた)
富岡永洗《傘美人》(少女のようなあどけない瞳。モアレ柄の着物が目を引く)
池田輝方《幕間(まくあい)》(華やかな雰囲気に、心が浮き立つ。足が痺れてしまった?女性がいるのがリアル)
池田蕉園《宴の暇》(小さく口ずさむ歌、扇子を開閉する音が聞こえてきそう)
松本華羊《殉教(伴天連お春)》(満開の桜を見上げる澄んだ瞳、微笑みを浮かべた口元。お春(遊女・朝妻との説も)の覚悟が胸に迫る)
伊藤小坡(いとう しょうは)《つづきもの》(身支度もそこそこに、連載小説に夢中になる女性。親近感を覚える)
松浦舞雪(まつうら ぶせつ)《踊り》(優美な姿にうっとり。一枚落ちた短冊が、祭りの終わる寂しさを感じさせる)
北野恒富(きたの つねとみ)《道行(みちゆき)》(死へ向かう二人だからこそ、繋いだ手の温もりが哀しくも愛おしい)
島成園(しま せいえん)《春の愁い》(心はすでに旅立ってしまったかのよう)
寺島紫明《鷺娘》(清らかな美しさを感じる)
山本芳翠《眠れる女》(健やかな寝息が聞こえてきそう)
岡田三郎助《ダイヤモンドの女》(潤んだ瞳で見つめられると、ドキドキしてしまう)
満谷国四郎(みつたに くにしろう)《軍人の妻》(悲しみを押し殺した姿に、胸が締め付けられる)
が良かったなぁ…と。
時間をかけてじっくりと鑑賞し、作品との対話を楽しんできました。大満足です!
福富さんの審美眼には感服致しました。機会があれば、ぜひ他のコレクションも拝見したいなぁ…と思います。
※会期は11月6日まで、すでに終了しております。
常設展『コレクション展 第2期』では、
五味清吉《人魚》(少女漫画のような可愛らしさ)
『特集 作家たちの20代』
五味清吉《たけに草》(大きな瞳の女性が印象的)
『松本竣介・舟越保武展示室』
舟越保武《聖セシリア》(ブロンズ) (眼差しが優しい)
が特に良かったです。
※こちらの会期は10月16日まで、すでに終了しております。