◇登場人物について◇
強くて優しいリーダーなのですが、どこか脆さも感じさせる阿弖流為(市川染五郎さん)。それがまた魅力になっているのでしょうね。目元がとても色っぽいです。
凛として美しい立烏帽子(たてえぼし)党の頭目、慈愛に満ちた鈴鹿、そして荒覇吐(あらはばき)神を演じる中村七之助さん。どの人物(神)も大変美しく、見とれてしまいました。
中村勘九郎さん演じる坂上田村麻呂は、真っ直ぐな性格の熱い男で、非常に好感が持てました。男も女も惚れるだろうなぁ…と。
蛮甲(片岡亀蔵さん)は、どこか憎めなくて。くまことの夫婦漫才が、コミカルで面白かったです。この二人(?)は、最後まで生き残ると思っていたのですが…。
市村萬次郎さん演じる御霊御前は、したたかな女性ですね。右大臣・藤原稀継(坂東彌十郎さん)の変貌ぶりには驚きました。
◇特に印象的だった場面◇
阿弖流為と鈴鹿(…とこの時は思っていた)、互いの名前を思い出す・・・運命的な再会に涙、序盤からハンカチの欠かせない展開に。
田村麻呂と鈴鹿、安らぎの一時・・・淡い恋のときめきと、叶わぬ想いの切なさ。胸が一杯になりました。
阿弖流為と荒覇吐神、対峙する・・・愛憎入り交じる神の眼差し。その凄まじさにゾクゾクしました。
阿弖流為と田村麻呂、互いを認める者同士の、死力を尽くした戦い。そして友情・・・固唾を呑んで見守るのみ。蝦夷の行く末を託す場面が切ないです。
天を仰ぐ田村麻呂、鈴鹿と阿弖流為の名前を呼ぶ・・・少し震えるような、けれども力強い声。表情も堪りません。
観て良かった!面白かった!…と心から思える作品でした。リクエスト上映に感謝しています。