シネマ歌舞伎『阿弖流為』(ネタバレあり) | 空色ノートのブログ

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映画、音楽、写真、旅行、漫画が好きです。美術館、博物館、神社、お寺など、時々出かけています。毎週の楽しみは、私の愛した歴代ゲゲゲ、薬屋のひとりごと。

映画『プロメア』の中島かずきさん作ということで興味を持った、シネマ歌舞伎『阿弖流為(アテルイ)』。以下、ネタバレを含む感想になります。


◇登場人物について◇

強くて優しいリーダーなのですが、どこか脆さも感じさせる阿弖流為(市川染五郎さん)。それがまた魅力になっているのでしょうね。目元がとても色っぽいです。

凛として美しい立烏帽子(たてえぼし)党の頭目、慈愛に満ちた鈴鹿、そして荒覇吐(あらはばき)神を演じる中村七之助さん。どの人物(神)も大変美しく、見とれてしまいました。

中村勘九郎さん演じる坂上田村麻呂は、真っ直ぐな性格の熱い男で、非常に好感が持てました。男も女も惚れるだろうなぁ…と。

蛮甲(片岡亀蔵さん)は、どこか憎めなくて。くまことの夫婦漫才が、コミカルで面白かったです。この二人(?)は、最後まで生き残ると思っていたのですが…。

市村萬次郎さん演じる御霊御前は、したたかな女性ですね。右大臣・藤原稀継(坂東彌十郎さん)の変貌ぶりには驚きました。


◇特に印象的だった場面◇

阿弖流為と鈴鹿(…とこの時は思っていた)、互いの名前を思い出す・・・運命的な再会に涙、序盤からハンカチの欠かせない展開に。

田村麻呂と鈴鹿、安らぎの一時・・・淡い恋のときめきと、叶わぬ想いの切なさ。胸が一杯になりました。

阿弖流為と荒覇吐神、対峙する・・・愛憎入り交じる神の眼差し。その凄まじさにゾクゾクしました。

阿弖流為と田村麻呂、互いを認める者同士の、死力を尽くした戦い。そして友情・・・固唾を呑んで見守るのみ。蝦夷の行く末を託す場面が切ないです。

天を仰ぐ田村麻呂、鈴鹿と阿弖流為の名前を呼ぶ・・・少し震えるような、けれども力強い声。表情も堪りません。


観て良かった!面白かった!…と心から思える作品でした。リクエスト上映に感謝しています。