週末は いつもの古書店街に足を運ぶ
それが僕の習慣で 楽しみだった
夏の空気が残る日 僕はきみに出会った
年上だろうか 並んだ本の背表紙を丁寧に眺めていた
わずかに差し込む夕日を受けて ほんのりと横顔が輝く
とても綺麗だった
秋の風が吹いた日 僕はきみの表情をうかがった
本を探すふりをして 少し離れた場所から
澄んだ瞳は水のようで 寂しそうにも見えた
冬鳥が渡ってきた日 きみの手には一冊の本があった
控えめな喜びが 僕の横を通り過ぎる
街路樹の落ち葉を連れて 夕映えのきみは消えた
細いすき間だけが 書棚にぽつんと残されていた