「夕映えのきみ」2012/11/9 | 空色ノートのブログ

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こんにちは、空色ノートと申します。このブログでは日記や詩を中心に、たまに旅行記も書いています。
映画、音楽、写真、旅行、漫画が好きです。美術館、博物館、神社、お寺など、時々出かけています。毎週の楽しみは、私の愛した歴代ゲゲゲ、薬屋のひとりごと。



週末は いつもの古書店街に足を運ぶ

それが僕の習慣で 楽しみだった


夏の空気が残る日 僕はきみに出会った

年上だろうか 並んだ本の背表紙を丁寧に眺めていた

わずかに差し込む夕日を受けて ほんのりと横顔が輝く

とても綺麗だった


秋の風が吹いた日 僕はきみの表情をうかがった

本を探すふりをして 少し離れた場所から

澄んだ瞳は水のようで 寂しそうにも見えた


冬鳥が渡ってきた日 きみの手には一冊の本があった

控えめな喜びが 僕の横を通り過ぎる

街路樹の落ち葉を連れて 夕映えのきみは消えた


細いすき間だけが 書棚にぽつんと残されていた