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20代のころのお話です。
黒闇天様がやって来たことがありました。
貧乏神のことです。
この1年後くらいに再びやって来たのです。
ピンポーン。
ドアを開いて出てみると誰もいませんでした
この頃は、ときどきピンポンしてくる方がいたので、もしかしてあちらの世界の誰かが訪ねてきたのかも?と思いました。
いつでもみえる訳ではないです
一度ドアを閉めました。
またピンポーンと鳴りました。
『たのもー』声がしました。
これは確実に誰かがいると思ってドアを開けました。
薄毛のおじいちゃん?がいました。
着物はボロボロ継ぎはぎだらけで穴もあいていました。
狛犬のダルとパードが私の前に立ち、
『何用だ?主はもう既に役目を果たしておる。悪いがお引き取り願う。』
追い返そうとしていました。
おじいちゃんは、懐から白い紙を取り出して差し出しました。
『これを。中をあらためてくれ。』
パードが受け取り中身を確めました。
昔風の手紙でした。
書状と言った方がしっくりします。
『これは!一大事だ。皆、集まってくれ。』
眷属さん達が集まりました。
皆で回し読みをしていました。
『お嬢、これは断れませんね。閻魔様から直々の書状です。』
『えぇ~どういうことよ?直々って何よ?このおじいちゃん誰なん?』
『お嬢にこの方の世話を頼みたいということです。断るには相当な対価を支払うことになります。やるしかありません。』
『だから、誰なん?何したらええん?』
『忘れましたか?そのうちわかりますよ。さぁ、上がってもらいましょう。』
『よくわからんけど・・どうぞお上がりください。あれ?前は勝手に上がられたことあったよなぁ。』
そうして黒闇天様のことを思い出しました。
おじいちゃんと言ってしまいました
まずは、お茶を入れてタオルを濡らしてお供えしました。
『黒闇天様にお供えします。どうぞお飲みください。タオルもお使いくださいね。何か必要な物がありますか?お腹すいてますよね。ご飯を炊きますので、しばらくお待ちくださいね。』
『お嬢、湯の用意も頼みます。かなり臭います。着物が肌に張り付いてますから、脱げませんね。このまま湯槽にほり込みましょうか。』
『えぇ~皮膚と着物がくっついとるんかい?ふやかしたらとれるんかな?』
『年季の入った方のようです。やるだけやりましょう。』
そうして黒闇天様に毎日何度もお風呂に入ってもらい、数日後にボロボロの着物を脱ぐことができました。
それからもおもてなしを続けました。
1ヶ月程経った頃でしたか?もっとかかったかもしれません。もう期間は忘れてしまいました
宝塚の男装のようなお姿の方が現れました。
美しく変身した黒闇天様でした。
女神様なんですよ。
世話になったお礼を言われました。
『どうしてこんな風になってしまったのか言いたいけれど言えない。でも、少しだけ聞いてほしい。』と話し出しました。
かつて神様修行をされていたそうです。
順調に役目を果たして神様修行を進めていたのですが、ある時やってはいけないことをしてしまったそう。
そこから罰ゲームのように神格を落とされてしまい、あちこちさまよっていたようです。
かつての神様経歴があったからこそ、閻魔様が救済処置をとられのかもしれないなぁと思いました。
それほど素晴らしい神様だったのでしょうね。
私ができることは、お供え物を用意することくらいでした。
あちらの世界で、実際に身の回りのお世話をしていたのは私のところにいる眷属さん達です。
皆で協力して黒闇天様をピカピカに磨き上げました。
眷属さん達に心からの感謝がわき上がりお礼を言いました。
私の修行にもなり、眷属さん達の修行にもなり、黒闇天様の修行にもなっているのです。
そうして黒闇天様はお帰りになりました。
たぶん私は、この世に生まれてくる計画の中に黒闇天様の修行に参加するというオプションをつけて生まれてきたのだと思います。
1度経験をすればOKなはずなんですが、2度目がありました。
もうみえないので終了したと思っています
お帰りになった黒闇天様は、その後どうなったか?気になりました。
家のトイレの神様と納戸の神様として神様修行に来られていました。
最初の黒闇天様も来られていたのです。
自分から修行に来ていることは言ってはいけないので、私が察するしかないのですが
私が気付いて、あの時の黒闇天様ですか?と聞いてみると泣いて喜んでいました。
こんな風にご縁ができていくのは嬉しいなぁと思いました
何度か引っ越しをしましたし、きっと神様修行も進んでいると思うので、今はどちらにいらっしゃるのかわかりません。
いつかまた出会える日が来るのかしら?と楽しみにしています