退社・入社Q&A

 

Q入社時に「身元保証書」と「身元保証人の印鑑証明」を求められました。なぜでしょうか?

 

A万一あなたが会社に重大な損害を与えるようなことがあった際に備えるためです。

 

「身元保証書」は、あなたが会社に重大な損害を与えて自分では賠償できないという場合に、あなたに代わって賠償する人を取り決めておく書類です。

「身元保証人の印鑑証明書」は、保証人が架空の人物ではないことを証明するためのものです。こういった書類の提出を求めない会社もありますが、入社時に必要とする会社も多くあります。一般的な書類ですから、不審に思う必要はないでしょう。

なお、いわゆる借金の連帯保証人などとは違い、身元保証人の保証期限や負担は「身元保証ニ関スル法律」という法律によって守られています。具体的には、保証期限は取り決めのない場合は3年までとなり、取り決める場合も5年を超える期間を設定することはできません。

また、身元保証人に賠償責任が発生しそうなときは、会社は前もってそのことを身元保証人に通知する義務があり、身元保証人はその段階で契約を解除することができます。

 

 

 

Q内定を辞退した場合、法的な責任を負わされることはあるのでしょうか?

 

A基本的には、法的責任を負うことはありません。ただし、信義に反する内定辞退は損害賠償を請求されることがあります。

 

あなたが承諾するまでは、内定は成立したことにはなりません。内定を承諾しないことに対して法的責任を問われることはありませんので、心配せずにすみやかに連絡してください。

万が一、「損害賠償を請求する」などといわれても応じる必要はありません。ちなみに、内定を承諾した後についてですが、一般的には内定は「始期付解約権留保付労働契約」とされ、労働契約が成立したとみなされますが、労働者側から内定を辞退する、つまり労働契約を解除することはできます。

ただ、内定を出すということは、会社があなたを認め、必要としているということ。内定を承諾するかどうかは十分に考えたうえで判断し、会社に対して誠意のある対応をすることが第一です。何らかの事情でやむを得ず辞退するという場合は、一日も早く会社に伝えるようにしてください。

なお、期間の定めのある労働契約で、あまりにも信義に反する内定辞退をし、それによって会社の業務が滞って実害が発生したなどの場合は、損害賠償を請求されることがありますので気を付けてください。

 

 

 

Q現在、国民健康保険に加入しています。転職後に必要な手続きは?

 

A入社後に健康保険の加入先が切り替わりますが、新しい健康保険への加入手続きは会社側が行ってくれます。

ただし、国民健康保険の脱退(資格喪失)の手続きは自分で行う必要があります。新しい健康保険加入後に市町村の役所・役場で手続きをしましょう。

 

 

 

Q「労災保険」とは、どんな保険ですか?

 

A業務中・通勤途中の怪我や病気などの保険給付を行う制度のことです。

 

労災保険とは、業務中や通勤途中にけがをしたり、業務がもとで病気になったりした際に、療養費の給付、休業の給付、障害が残った場合の給付、遺族への給付などを行う制度のことです。

労働者災害補償保険法という法律にもとづいて運営されていることから、略して「労災保険」と呼ばれています。労災保険は、いわゆる生命保険などとは違い、個人が加入するかどうかを決めるものではありません。

一人でも従業員がいる事業者(会社)は、必ず労災保険に加入せねばならず、保険料はすべて会社が負担します。パート、アルバイトも同様です。会社に雇われている人なら対象となり、労働基準監督署で労災と認定されれば給付が受けられますので、すぐに会社に労災手続きを申請しましょう。

療養の給付なら全額が、療養のために休業した場合は給与の約8割(うち2割は特別支給金)を補償してもらうことができます。過去の怪我や病気に関しても、2年以内であればさかのぼって療養(補償)給付や休業(補償)給付を受けることができます。

 

 

 

Q現在の会社から引き止められて退職できそうにありません。どうすれば…?

 

A転職活動の期限を上司にしっかりと伝え、理解を得られるように努めましょう。

 

上司が引き止めるのは、それだけあなたを必要としているからだと思われますが、転職の決意を甘く見ていることも考えられます。既に転職先が決まっているケースなら、内定先の入社日を伝えるなど、こちらから期限を示し、転職が本気であることを伝えてみてはいかがでしょうか。

なお、民法上の解釈からいえば、期間の定めのある労働契約(契約社員など)を除いては、退職日の2週間前に申し出れば、会社の承諾がなくても退職できることになっています。

ただし、同じく民法では、月給制など期間によって報酬が定められている場合は、翌月以降(次の賃金計算期間以後)の退職が認められるとされており、その申し出は退職する前の月(賃金計算期間)の前半にしなければならないことになっています。

例えば、月末締めで給与計算がされる会社であれば、12月末以降に退職するには12月15日までに申し出る必要があるということです。

しかし、法律をタテに強引に退職したのでは、円満な退職は望めません。転職の決意と今後の転職活動の予定をきちんと話して上司の理解を求めるようにし、法律上の権利を主張するのは最終手段としましょう。

 

 

 

Q退職間際にまとめて有給休暇を取ること(有給消化)を拒まれました。

 

A法律上は取得可能です。上司ともう一度交渉することをオススメします。

 

労働基準法では、社員が有給休暇の取得を申請した場合、会社は認めなければならないことになっています。ただし、業務の繁忙期など、有給休暇を取得することが「事業の正常な運営を妨げる」ようなときには、会社は取得の時季を変更することが可能です。

しかし、退職間際の場合には、退職予定日までに残りの日数を取得しなければ年次有給休暇の権利は消滅してしまうため、退職後への変更は不可能です。そのため、請求した日に取得できるものと法的には定められています(※1)ので、上司ともう一度交渉することをオススメします。

ただ、権利の主張も大切ですが、退職する会社への配慮も必要です。有給消化に入る予定日までに引き継ぎをしっかり終わらせる、仕事の資料や書類はあなたの後任者が見てもわかるように整理するなど、業務に支障をきたさない対応を心がけるようにしてください。

(※1)2010年4月1日より、年次有給休暇を時間単位でも取得できる内容の法改正がありました。しかし、会社と労働者との間で労使協定が締結されていなければ利用できません。時間単位で取得できるかどうかは、お勤めの会社でご確認ください。

 

 

 

Q退職金はいつまでに支払われるものなのでしょうか?

 

A退職金の規定は会社によって異なります。就業規則を確認してください。

 

退職金制度は、必ずしもすべての会社が導入しているわけではありません。導入している場合も、給付対象や金額の算定方法、支払時期などの規定は会社によってまちまちで、一定ではありません。

規定の詳細は会社の就業規則、または退職金規定などにまとめられているはずですので、前の会社に問い合わせて確認してみるようにしてください。

なお、中小企業退職金共済制度など、会社が外部の退職金制度を導入している場合には、一般的には、退職金は会社からではなく、その外部団体の名義で振り込まれます。

実際には支払われているのに通帳を見落としているといったことがないか、念のために確認のうえ、会社に問い合わせるようにしてください。

 

 

 

Q解雇・リストラで退職するときも退職願の提出は必要でしょうか?

 

A提出の必要はありません。

 

退職願は自ら退職を希望する場合、つまり自己都合で退職する際に提出するものであり、会社都合である解雇やリストラで退職する場合には提出の必要はありません。

退職願を提出することで自己都合の退職として処理された場合には、失業給付の支給開始までの日数や受給期間が、会社都合の退職よりも不利になります。

なぜ提出が必要なのかを会社側に確認し、納得がいく説明が得られるまでは提出しないほうがいいでしょう。