グルタチオン

〔英:glutathione〕

 

概要

 

▸アミノ酸が連なることで形成される化合物の一種。

3つのアミノ酸(グルタミン酸・システイン・グリシン)がペプチド結合したトリペプチド構造で、自然に肝臓で生成される物質である。


▸多くの微生物や動植物の細胞内に、高濃度(0.5~10mM)で存在し、98%以上は還元型グルタチオン(GSH)である。


▸アミノ酸まで分解されて吸収するとされますが、一部はグルタチオン(ペプチド)のまま吸収され機能する。

グルタチオンは生物が生存するために必要な成分ですが、タバコ、アルコール、紫外線、ストレスなどにより減少しやすい傾向がある


ストレスなどによる減少傾向があることで、加齢に伴い体内のグルタチオンは減少し、老化や疾病のリスクが高まる。


▸グルタチオン(還元型)は日本薬局方にも収載されており、医薬品の原料として市販され、主に肝機能改善薬として用いられている。

酵母エキス」の名称でサプリメントとして使用されている。

 

解説

 

肝機能を高める働きがある
・肝機能が低下すると老廃物や毒素が蓄積し、様々な病気の要因となる。

・グルタチオンは、解毒酵素を生成するエネルギーを活性化し肝機能を高める。

眼を保護する働きがある
グルタチオンは角膜や水晶体に多く存在し、眼病に対する予防効果が見込まれる。


細胞内の還元物質
・還元型グルタチオンは、生体異物の代謝や活性酸素の除去を行う。

・結合しているチオール基によって活性酸素種を還元し、無害成分への変換によって酸化ストレスに抵抗する。
・活性酸素種を還元し酸化型グルタチオン(GSSH)を経た後は、再びNADPHによって還元型グルタチオンに戻る。

アミノ酸の細胞膜通過をサポートする
・腎臓でのアミノ酸の細胞膜通過に関与する。

解毒作用の働きがある
・還元型グルタチオンのチオール基のHが外れ、硫黄と薬物、重金属が化合されることにより体外に排出し細胞を解毒する。
有毒のアセトアルデヒド(アルコール代謝物)とも化合し無毒化する。


過酸化水素の無毒化に貢献する
・グルタチオンペルオキシダーゼの反応によって生じる過酸化水素を分解し、無毒化に貢献する。
・赤血球にはミトコンドリアが備わっていないため、還元力を生成する代替手段を持ち合わせていない。
・NADPH(赤血球)は、グルタチオンレダクターゼを触媒としてグルタチオンを還元し、グルタチオンペルオキシダーゼを触媒として過酸化水素を分解し、正常な赤血球を維持する。


肌を美しく保つ働きがある
・活性酸素により過酸化脂質が増えると、シミにつながる可能性がある。
・抗酸化作用を備えるグルタチオンには、シミの要因を予防する効果がある。

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

▸欠乏した場合は、殆どのケースで問題ないとされますが、副作用についてのデータは不十分である。

▸妊娠中や母乳授乳期の摂取については、安全性が確立されていないため、注意が必要である。

▸喘息を患う場合は、症状を悪化させる恐れがあるため、摂取を控える必要がある。