銅(Cu)

〔英:copper〕

 

概要

 

▸銅は脳・肝臓・腎臓に多く含まれる。


細胞内の銅は、遊離(イオン)の形態ではあまり存在せず、タンパク質と結合して存在する。


▸銅が細胞内に過剰に存在すると毒性を示すため、体内の銅は一定に調節され保たれている。

▸銅はコラーゲンやエラスチンの生成に関与し、血管の強度や心筋の機能を補助する役割があり、エラスチンの多い臓器である肺においても、銅がその強度を補助している。

▸スフィンゴミエリンなど、神経細胞の髄鞘の形成を補助し、中枢神経の機能を維持する働きがある。

▸メラニン合成に関与するチロシナーゼの働きを助け、虹彩(瞳)、皮膚、毛髪の色が決められる。


▸銅は免疫細胞の数と機能を維持しており、妊娠中の鉄欠乏による貧血の抑制に必要とされる。

 

解説

 

◆貧血を予防する
・セルロプラスミン(糖タンパク質)の構成成分となり、体内の鉄の活用を補助し貧血の予防に貢献する。


免疫力を高める
銅は免疫力の維持に必要不可欠な栄養素で、T細胞やマクロファージといった免疫細胞のエネルギー産生に関わるシトクロムCオキシダーゼの構成成分である。


◆動脈硬化を予防する
・銅は赤血球のSOD酵素に多く存在し、SOD酵素は活性酸素を分解し、過酸化脂質の増加を防止することで
動脈硬化の予防に貢献している

成長を促進する
・骨や血管壁を形成するコラーゲンやエラスチンの生成に関与し、赤血球、白血球の細胞の成熟、乳児の成長にも銅が関与する。


髪や肌の健康を保つ働きがある
・メラニンを合成するチロジナーゼの働きを補助する役割がある。
銅が不足した場合は毛髪の脱色や縮れ、皮膚の色落ちなどがある

中枢神経の機能の維持に貢献する
・スフィンゴミエリンなど、神経細胞の髄鞘の形成を補助する役割がある。中枢神経の機能の維持に貢献し、脳内神経伝達物質の調整にも関与する。

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

▸普通の食生活で銅が欠乏することは殆どありませんが、亜鉛の過剰摂取やビタミンCの過剰摂取が原因で欠乏することがある。

▸欠乏した場合は肺気腫、メンケス病、銅欠乏性貧血、白血球減少、赤血球減少、骨異常、成長障害、毛髪の色素脱失、心血管系の異常、神経系の異常、コレステロールの異常、糖代謝の異常などを引き起こす可能性がある。


▸通常、過剰摂取した場合は排出されるため害を及ぼすことはありませんが、何らかの原因で過剰になった場合、ウイルソン病、肝機能障害、消化管障害、肝障害、溶血性貧血、神経障害、精神障害などを発症することがある。