鉄(Fe)

〔英:iron〕

 

概要

 

酸素を運ぶヘモグロビンや各種酵素の構成成分である鉄は、必須ミネラルの一つである。


▸体内の鉄の約70%は血液中に存在し、残りの鉄は肝臓、脾臓、骨髄、筋肉などに存在する。

鉄が欠乏した場合は貧血となり、酸素供給の不足による運動機能の低下、認知機能等の低下へとつながる。

▸女性は月経血による損失と妊娠中の需要量が増えることで、日本人女性の4人に1人が貧血状態とされ、女子中高生の貧血含有率は増加傾向にある。

定保健用食品として、ヘム鉄を関与成分とした食品が許可されている。


鉄の吸収を高めるには、ビタミンCやクエン酸を併用して摂取すると効果的である。


▸貧血予防のためには必須となるミネラルですが、過剰摂取した場合は、鉄沈着、便秘、胃腸障害などを引き起こす可能性がある。

 

解説

 

◆貧血を予防する
・体内の鉄の約70%は機能鉄として、赤血球のヘモグロビンの成分として存在し、残りの鉄は貯蔵鉄として、肝臓・脾臓・骨髄・筋肉などに貯蔵される。

・ヘモグロビンは酸素と結合し、全身の細胞や組織に酸素を運搬する役割を果たしている。
・欠乏した場合は、ヘモグロビン濃度が低下し貧血となり、貯蔵鉄はヘモグロビンの鉄が不足したときに放出される。

疲労回復の働きがある
・鉄欠乏性貧血に至ると、ヘモグロビンの減少に伴い酸素供給量が不足するので、脳を筆頭に器官や細胞の活動が低下し、酸素不足による疲労症状が現れる。


体温を保持する
・鉄は体熱の形成に利用されるため、鉄が不足した際は体温の保持に支障をきたすことになる。

免疫機能を維持する
・感染の阻止に作用するリンパ球や好中球の働きをサポートし、免疫力を維持する。

コラーゲンの合成に関与する
・鉄イオンはコラーゲン線維の形成に必要となるため、
鉄は肌の健康維持のためにも必要な成分となる

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

栄養失調で多く見受けられる鉄欠乏症は、新生児や妊婦の場合、重篤な貧血につながる危険性があるので、欠乏には十分な注意が必要である。
 

▸鉄が欠乏した場合の一般的な症状では、貧血、食欲不振、便秘、口内炎、疲労、息切れ、低体温、免疫力の低下、消化不良といった傾向が現れる。


▸過剰摂取した場合は、便秘、胃腸障害、鉄沈着、亜鉛の吸収阻害、酸化損傷、感染症の悪化、肝機能障害などを発症する恐れがある。