亜鉛(Zn)

〔英:zinc〕

 

概要

 

▸ミネラル成分の亜鉛は、カキや肉類などの動物性食品に多く含まれる

約2.5g程度の亜鉛が成人の体内に存在し、全ての細胞に存在する。


▸特に皮膚、目、骨、筋肉といった新陳代謝が活発な細胞に多く存在し、男性の場合は高濃度で前立腺に含まれている


▸核酸やタンパク質の合成に関与し、新しい細胞を生成するため、成長と健康維持には不可欠な成分である。

 

解説

 

核酸やタンパク質を合成する
・亜鉛はタンパク質・DNA・RNAの合成に関与する酵素に欠かせない成分。

ホルモンを合成・分泌する
・様々なホルモンの合成や分泌の調整に関与する。
・膵臓から分泌されるインスリンの合成と分泌量の調節には欠かせない成分。
・前立腺に多く存在し、精子の運動性やテストステロンを合成する酵素にも関与する。

抗酸化作用にも関わる
・亜鉛は活性酸素を分解する酵素であるSODの構成成分のため、抗酸化作用にも多分に関与する。

味覚を正常に保つ働きがある
・亜鉛は味を感じる細胞である味蕾の形成に関与し、常時新しい細胞と入れ替わり、適切な味覚を維持している。

成長を促進する
・細胞分裂には必要不可欠な成分で、
特に乳児や成長期の子供の適正な発達には、十分な亜鉛摂取が必要となる

免疫機能を維持する
・亜鉛はT細胞やNK細胞の働きに関与し、免疫機能を維持している。

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

▸亜鉛は細胞の分裂や増殖に必要な成分のため、不足した場合は疲労、脱毛、胃腸障害、貧血、皮膚の炎症、免疫力低下、傷の完治が遅れるといった症状が顕著に現れる。

▸味覚や嗅覚への障害、男性の場合は性機能低下を招く恐れがある。女性では妊娠中に亜鉛が不足した場合、胎児に成長不良や奇形が起こる可能性がある。

▸亜鉛は普通の食生活で過剰摂取になることは殆どありませんが、薬などによる急性亜鉛中毒では腎臓や胃の機能損傷、疲労、悪心、嘔吐、発熱、咳、下痢などを引き起こすことがある。


▸過剰摂取が継続した場合、銅(Cu)の吸収を阻害するため銅欠乏が起こる。

サプリメントとして1日100mg以上または10年以上摂取した場合は、前立腺がんへの危険度が増し、1日450mg以上の摂取では血中の鉄分に異常を招く恐れがある。