葉酸

〔英:folate/folic acid〕

 

概要

 

▸水溶性のビタミンB群の一種。

 

ビタミンB12と共に赤血球の形成をサポートする働きがあることから、「造血のビタミン」とも呼ばれる。

 

体内でメチル基・メチレン基などの受容体や提供体となり、それらの転移に関与する。

 

約20種類の酵素の補酵素として働き、アミノ酸と核酸の合成に作用し、細胞の分裂・増殖・成熟に大きく関与する。

 

細胞分裂や成長に必要不可欠な栄養素であることから、妊娠中や授乳中の女性には特に欠かせない栄養素となる。

 

解説

 

アミノ酸や核酸の合成に関与する
・約20種類の酵素の補酵素として働き、アミノ酸や核酸の合成に関与し、遺伝子を複製・修復する性質を備える。
・葉酸はDNAの適切な複製に作用し、細胞分裂する際の染色体の破損防止等に働く性質を持つ。

 

貧血を予防する
・ビタミンB12と共に補酵素として作用し、赤血球の素となる赤芽球の合成に関与し、適正な赤血球が生成されることで貧血を予防する。

 

ホモシステインの血中濃度を下げる
・ビタミンB12と共にホモシステイン(血管にダメージを与える)の血中濃度を抑え、動脈硬化を予防する。

 

新陳代謝や成長を促進する
・特に胎児期や幼児期(細胞増殖の全盛期)には重要な成分となり、不足した場合は胎児の脳神経に障害を及ぼすことがある。

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

健康時であれば腸内細菌によって合成されるため、普通の食事で欠乏することは殆どありませんが、不足した場合は細胞分裂の活発な組織の機能は阻害される。

 

過剰摂取や欠乏を起こした場合、赤血球の成熟が阻害されサイズのみが増し、正常な赤血球が減るため巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を引き起こすことがある。

 

妊娠中は葉酸の体内需要が高まるため、不足した際は胎児に神経管閉塞障害のリスクが高まる。

 

食品から摂取する場合は過剰症の心配はありませんが、薬などで過剰摂取した場合、ビタミンB12の欠乏が読みづらくなる。

 

葉酸過敏症として紅斑、かゆみ、呼吸障害、発熱、じんましんなどを発症することがある。

 

多量摂取が続いた場合は、亜鉛との複合体が形成され、小腸からの亜鉛の吸収を抑制する可能性を潜んでいるため注意が必要である。