ビタミンD

エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)
コレカルシフェロール(ビタミンD3)

〔英:ergocalciferol/cholecalciferol〕

 

概要

 

▸脂溶性のビタミンで、カルシウムとリンの代謝に重要な働きを持つ。

 

ビタミンD2(植物由来)とビタミンD3(動物由来)を併せてビタミンDと呼ばれる。

 

表皮において、コレステロールが紫外線を浴びることで体内で合成される。

 

合成されたビタミンDは、肝臓と腎臓を経て活性化され機能を発揮する。

 

活性型ビタミンDには、小腸でカルシウムやリンの吸収を高め、腎臓の尿細管のカルシウムやリン酸の再吸収を促進する働きがある。

 

血中のカルシウムを骨に運ぶ作用があり、骨の形成をサポートする働きもある。

 

ビタミンDは、丈夫な体を形成する上では欠かせないビタミンで、単に摂取するだけではなく、1日30分ほどの日光浴が大切となる。

 

解説

 

歯や骨を丈夫にする
・カルシウムとリンの代謝に関与し、歯や骨を丈夫にする。
・活性型ビタミンDは、カルシウムの吸収に不可欠なタンパク質の合成を促進する。
・小腸でのカルシウムやリンの吸収を高めたり、尿細管のカルシウムやリンの再吸収を促進して血液中のカルシウム濃度を高める働きがある。
・カルシウムが骨や歯に沈着するサポートや成長を促し、丈夫な歯や骨の形成と維持に貢献する。

 

血液や筋肉のカルシウム濃度を調節する
体内のカルシウムの99%は歯や骨に存在し、残りの1%は血液や筋肉に存在する。
・ビタミンDは血液や筋肉のカルシウム濃度を調節し、筋肉の収縮に関与する。
・カルシウムの摂取量が多い場合は骨に蓄積され、少ない場合は血液中から骨にカルシウムが放出される。
・腎臓でカルシウムが尿中に排出されないように、体内に再吸収させる役割も備える。

 

免疫力を高める
・免疫力の調節に関与し、感染症やがんの予防に貢献することが見込まれる。
・ビタミンDを摂取した子どもたちのデータでは、インフルエンザの発症率が半減した報告もある。

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

日光浴によって体内で生成されますが、緯度の高い地域では、食事からの摂取量が減ると不足する可能性がある。

 

ビタミンDが欠乏した場合、血液中のカルシウム濃度が低下し、体中の骨が変形して曲がってしまう病気になりやすく、子供の場合はくる病の発症、大人の場合は骨軟化症を引き起こすことがある。

 

低カルシウム性けいれんをひき起こすこともあり、感染症にかかりやすく、また筋肉の機能低下や、皮膚のトラブルも発症しやすくなる。

 

活性型ではないビタミンDの過剰摂取では、さほど影響はないと言われていますが、脂溶性で体内に蓄積されるため、大量摂取した場合は骨からカルシウムが溶け出し、血中のカルシウム濃度が上昇するので、高カルシウム血症の患者は禁忌となる。

 

血管の内側や内臓、筋肉にカルシウムが沈着して、腎不全や動脈硬化などのリスクが高まることも指摘されているので、上限摂取量を守り摂り過ぎないように注意する必要がある。