ビタミンB12
〔英:cobalamin〕
概要
▸水溶性のビタミンB群の一種。
▸ビタミンの中でも分子量が最も大きく、コバルトを含む構造のため、結晶は特徴的な赤色を帯びている。
▸葉酸と協力して赤血球の産生に深く関与し、悪性貧血を予防する。
▸神経細胞内のタンパク質・脂質・核酸の合成や修復をサポートし、神経の機能を適正に保つ働きがある。
▸動物性の食物に多く含まれ1日の必要量が僅かなため、一般的な食事で不足することはありませんが、植物性食品に偏った食生活が続いた場合は、不足することがあるため注意が必要。
解説
◆赤血球の合成に関与する
・葉酸と協力して赤血球の産生に深く関与する。
・赤血球を生成する際に欠かせないビタミンB12や葉酸が不足した場合、適正な赤血球が生成されず巨赤芽球が産生され、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)となる。
◆ホモシステイン濃度を下げる
・葉酸やビタミンB6と共に働き、ホモシステイン(動脈硬化の危険因子)の血中量を低下させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げる役割がある。
◆エネルギー代謝に関与する
・葉酸と共に働きDNA及び脂肪酸の合成、クエン酸回路でのエネルギー産生に関与する。
◆神経機能を正常に保つ働きがある
・神経細胞内の核酸やアミノ酸、タンパク質の合成・修復をサポートすることにより、末梢神経や中枢神経の機能を適正に保つ働きがある。
・葉酸の再利用やコリンの生成をサポートし、神経を保護するミエリン(脂質の鞘)を形成する。
◆気分を落ち着かせる要素がある
気持ちを落ち着かせ、記憶力や集中力を高める働きがある。
過剰摂取や欠乏による症状
▸ビタミンB12が欠乏した場合、葉酸の働きがサポートされなくなり、神経の働きが低下し悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の発症が高まる。
▸ホモシステイン(動脈硬化の危険因子)の血中濃度も上昇する。
▸過剰症のデータはありませんが、アミノ酸や奇数個の炭素原子を含む脂肪酸のクエン酸回路への導きが留まるため、エネルギー代謝に悪影響を及ぼすことがある。