コリン

〔英:choline〕

 

概要

 

▸水溶性のビタミン様物質に分類され、食品中ではホスファチジルコリン(レシチン)やスフィンゴミエリン(セラミド+ホスファチジルコリン)などの形で存在する。

 

生体内ではリン脂質の構成成分であり、生体膜機能に必須な栄養素である。

 

神経伝達物質のアセチルコリンの前駆物質であり、神経刺激伝達維持に関わる。

 

体内で合成されるが十分な量ではないので、食事による補給が望ましいとされる。

 

コリンは脂肪肝防止因子と呼ばれ、脂肪肝はコリンの欠乏によって引き起こされることがある。

 

解説

 

細胞膜を構成する
・細胞膜の構成成分であるレシチンやスフィンゴミエリンを生成し、細胞膜の脂質二重層を形成する。
・神経のシグナル伝導に寄与するスフィンゴミエリンは、神経細胞に巻きつく髄鞘(ミエリン)の主要成分である。

 

肝機能を高める
・コリンは脂質、コレステロールの生成に必須な物質である。
・脂肪とコレステロールの体内使用を助け、脂肪肝を防ぐ働きがある。

 

動脈硬化の予防
・血管壁へのコレステロールの沈着を防ぎ、動脈硬化や高血圧を予防する。

 

記憶力や学習能力を高める
・神経伝達物質アセチルコリンの前駆物質であり、神経細胞が情報を伝達する働きをサポートする。
・記憶力や学習能力を高め、神経系の障害を防ぐ働きがある。
・うつ状態の予防や改善を促進し、思考回路を助ける働きがある。

 

過剰摂取や欠乏による症状

 

コリンが不足すると肝機能障害(脂肪肝、肝硬変、肝臓がん等)や、動脈硬化により高血圧や腎臓疾患につながる。

 

成長阻害・不妊・記憶障害などが起こるケースもある。

 

過剰に摂取しても水溶性なので体外に排出されますが、体内でトリメチルアミンが生成され、魚のような体臭がすることもある。

 

発汗・胃腸の不調・嘔吐・下痢などが起こる場合もある。

 

小児や妊婦、授乳婦による過剰摂取は避けるべきである。