集中力は落ちていないけど鹿渡から60kmあまり殆ど休憩なしで走っているので足がちょっと疲れてきている。
幹線道路沿いから市街地方面の道に入り長岡市街へ。久しぶりの大きな町、夜でも人通りは多い。チェックポイントであるCP22長岡市大手通交差点は457km地点。あと60kmほどで日本海が望める。交差点に辿り着く手前で前を行く長島さんに追いついた。座って次に行く支度をしていた、少し話をしてこの先のコンビニで休みたいのでとぼとぼと歩く。

晩御飯の時間なので食べ物を買ってコンビニの前で靴を脱ぎ食事していると、ポツポツと雨が降ってくる、少しくらいならこのまま行こうと思っていたけどだんだん雨足が強くなってきたのでカッパ上下を買い屋根があって休めそうな所でしばらく休憩。

携帯で今後の天気予報をチェックすると深夜になれば弱まり天気は回復傾向とのこと。さすがに深夜までじっとしてもいられないので靴下の上にビニール袋を履きその上に靴を履く、靴下が濡れるとマメが出来やすくなるのでこの方がいいと先輩ランナーに教わったことを試す。
コンビニ合羽上下を着用しノロノロ走る。通気性が皆無なので暑い。暑さのせいもあるがフードを被って単調に走っていると頭がボーっとして来て耐え難い眠気が襲ってくる。しばらく行った所の駐輪所に屋根があったので休憩。どうしようもなく眠い。
遠くに川の道ランナーらしいライトがチラチラ見えてくる、顔見知りの星野さんを含めた3人でレインウェアを着て歩いている様子。助かった、という気持ちで声をかけ同行させてもらう。特に人恋しい訳ではないけど眠い時には誰かと話すのが一番の覚醒法、昨日貰った薬にはまだ手を出していない。話すのに邪魔なのでフードは取ってサンバイザーだけになり頭をあえて濡らす。頭が冷えてスッキリして眠気が遠のく。
色んな話しをしながらしばらく歩かせてもらう。皆様厚着で気温が少し寒いとのこと。
私はぜんぜん寒いとは感じないけどとにかく眠い。のんびり黙々と歩いているとまたしても眠気にやられそうになり、走って先に行って屋根付きバス停で少し横になったり、覚醒するためにレインパンツを脱いで短パンだけになったりなにか眠気を払拭する突破口はないかと試す。
車から降りてきた一団が声をかけてくる、予期せぬ応援に眠気がなくなる。暗闇の中に笑顔の女将さんと梅澤さん。
女将さんは体調不良の中頑張ったがリタイヤ、その後スタッフとしてみんなを応援、いつも通り元気な声で励ましてくれる。
梅澤さんは今年も一番早く79時間でゴール、例によって一度帰宅後、車で新潟へ300kmあまり運転してスタッフ手伝い&応援に…。通っているジムは定休日だったそうで一汗流すのはやめたとの事。
私「えーと、何人目の梅澤さんですか?」
梅「うん、二人目~、一人目は寝てるよ」
本当に同じ人間ですか、と疑いたくなるほど元気。

ビニール袋を履いた足は、靴の中で滑って走り難い、いつかたどり着くはずの次のCP目指して黙々と進む。深夜になるにつれ雨は弱くなってきたが皆様ぐったり、黙々と歩きすぎて眠くなってきてるようだった。どこか少し休めそうなところはないかな?と探し始める。
地下通路のような所があれば休みたいということになり少し先を走って見に行ったりするとアンダーパス発見。
一人で先に行っても寝てしまうだけだし私もちょっと一緒に休憩する。星野さんが短パンの私を見かねてサバイバルブランケットを貸してくださる。短パンだと風が吹き抜けるアンダーパスはとっても寒くてサバイバルシートが有ってもあまり暖かくならず例によって眠りになどありつけない。
休憩1時間弱、皆様ちょっとだけ休めたみたいですこし元気な顔。シートを綺麗に畳んで返し次を目指す。ずっと休んでいたので冷えた身体が少し痛い。あとたったの50km程しかないのに雨で思わぬ足止めを受けた。やっぱり川の道、簡単には終わらない。休憩したところから少し進むとCP23三条大橋南詰 480km地点だった。

コンビニで靴下を買いたいので少し先行して走る。靴下交換ビニール袋効果は無いよりマシ程度。靴を脱いで靴下を見たらびしょびしょだった。靴下を換えてコンビニから出て行くと後半ハーフの選手に会う、珍しい字の樰沢さん、よく寝て元気そうでまだまだ走れるとのこと。「それじゃあ一緒に走りましょう!」と誘う。これまでの道のりのこと、眠気、雨の時どうしてたかなど話しながらずっと走る。
一昨年初めて来た時は中川さんと競争したりしながら一緒に走った、昨年はこの辺からゴールまで休み休み青谷さんと歩いた。思い出しながら。もうすぐ川の道が終わる。今年もまた色んな人のお世話になってなんとか辿り着くことが出来そうだ。
単調な国道沿いを走る、一人で走っていたら眠気でとっくに座り込んでいる。足は動くのに丸4日眠れていないからなのか意識がはっきりしない。ペース維持が難しくなってきたので樰沢さんに先に行ってもらう。
とにかく眠い、でも止まらず歩く、白根バイパスというところ、説明会で道が新しくなったから間違えやすいとか言ってたなと遠い記憶を思い出す。Google mapを見るとまだ更新されていないらしく現在地は畑の中。道なりに行って右折すれば本来のコースに繋がる事を確認してノロノロと交差点まで走る。
前から樰沢さんが誰かと走ってくる、右折する所を直進してしまい地元のランナーに間違いを教えてもらったそうであまり遠くまで行かずに済んだとのこと。地元ランナーの方も川の道のことを知っていていずれ参加したいと言っていた。眠いですよ、楽しいけど。
ゴールまで会うことは無いだろうと思っていた樰沢さんと再開してまた並走する、信号待ちで後ろから元気に走ってくる麦わら帽子の木下さん。初日の川沿いでご一緒して以来久しぶり。
3人で会話しているとだんだん意識が覚醒してきて走るペースが上がってくる。足の痛さなんて大した問題じゃない、進む意志さえあれば。
もうすぐCP24というところでまた梅澤さんの応援。

「後ちょっとだよ」とにこやかに。
コーラとバームクーヘンをいただき元気をもらう。梅澤さんいつ寝てるんだろ。
日が昇ったせいなのか走れるようになりペースは上がる。去年は遠かったCP24大野大橋南詰 508km地点に割りとスムーズに到着。あとたったの12km、海岸まではたったの8km。

上越新幹線をくぐったら右へ道なりに行って後は川沿い。自然とペースアップ。2人と一緒に行こうかとも思ったけど、なんか泣いてしまいそうだコレ。恥ずかしいので振り切ろう・・・どこから力が出るのかキロ6分を切る。
本当に色々あった5日間、本来の実力が出せず苦しんだ青谷さん、みんなと歩き通した3日目。ほぼ最後方まで下がり関門制限を気にしながら歩くことの苛酷さ。ジャーニーと言う楽しげな響きとは程遠い、走ることなど出来なくなった足で行く満身創痍の行程。でもまた嬉々としてあの人達はこの大会に挑戦するはず。
一期一会っていう言葉を改めて考える、色んな事があって、あの時あのタイミングで通らなかったら会っていなかった人達。経験できなかったこと。関わった人が一緒に歩いてくれたから見えたこと。3回出てみて川の道の姿がよく見えた気がする、ただ520kmを走るだけじゃない。
川沿いを走りながら回想していると涙が止まらなくなる、それなりの速度にペースアップしているので過呼吸気味に。朝のジョギングや犬の散歩している地元の方に不審な目で見られる。
印象深い橋が遠くに見えその先に橋は見えない、日本海までやっと着いた。
待っていてくれたカメラマンのイケノスケさんが「なんでそんなに走れるの~」と言ってくれる。
女将さんも待っていてくれた「大吾~」と。
涙が止まらないので会釈して川の道岬へ、しばらく振り返らない。


何とか気を落ち着けて記念撮影、女将さんももらい泣き。


後の2人を待って本部へ電話連絡、ゴールへ向かう。ゼッケンを預かった青谷さんの川の道PBにはちょっと届かない事が残念だったけどゴールまでは頑張って走る。
最後の川沿い4kmあまりはずっと悩まされてきた眠気は全く感じず気持ちよく走れた。
誘導してくれる人と道路につけられた矢印を見ながらゴールへ。

先にゴールしていた健さんと。

無事到着しました~、ゼッケン渡されたことで頑張れましたm(_ _)m

実力者でもリタイヤしてしまうことが多く、完走経験者でも体調次第でとても苦労する川の道。
実力者の角田さん、三枝さんは490kmあたりで惜しくもリタイヤ。足を痛めていた内山さんはあれから粘りに粘って3年連続の完走。
応募が殺到していて来年走ることができるかどうかわからないし、きっとまた初日はやるんじゃなかったって後悔するんだろうけど、性懲りもなく来年もやる気でいっぱいの幸せ脳です。運良く走れることになったらまた何があるか分からない旅を楽しみましょう。
支えてくれたスタッフの皆様、私設エイドやってくれた皆様、SNSで応援してくれた皆様、一緒に走って歩いてくれた戦友たち。最高の時間をありがとうございました。また懲りずにお付き合いください♪