とりあえずおにぎりと味噌汁でお食事。
先日のイラストに影響され、それを食べたくなった。
特許法等の一部を改正する法律案
第189国会 内閣提出法案第四十四号
特許を取って、その権利金が企業に支払われるか、発明者個人に支払われるかという裁判にもなった問題。シンガポール条約を踏まえての、これらを立法措置によって企業を優位にしようというもの。これには日本共産党、社会民主党・市民連合が反対。民主党は大企業の労組を抱えているが賛成している。
維新の党は、個人が稼いでこそと考えるのかと思いきや、和をもって貴しとなすということで、日本の場合は欧米のように個人ではなく、全体に利益を配分すべきものとしたようである。
以下は共産党の反対討論。
●職務発明に係る特許を受ける権利の原始的な帰属先を、発明を行った従業者から使用者へと百八十度転換しようとするものであり容認できない。特許法第二十九条は、産業上利用することができる発明をした者は、その発明について特許を受けることができると規定している。この条項に照らし、我が国ではこれまで、職務発明について原始発明者帰属の立場をとってきた。
●2004年改正後の判例の蓄積もほとんどない中で、法改正を行わなければならない立法事実はないにもかかわらず、職務発明規程を改正するのは、産業界の長年の要求に応え、原始使用者帰属へと権利主体を変えるため。発明者の権利を奪うものにほかならない。
●経団連を初めとする産業界が原始使用者帰属を要求してきた理由は、企業同士の共同研究や大学等の研究機関との産学連携の拡大、グローバルな企業再編を進める多国籍企業にとって、現行制度は業務負担が大きく、訴訟リスクが高いというもの。それを解決するために、職務発明を原始使用者帰属とし、発明者への報奨水準は企業に委ね、法定対価請求権をなくす。企業の予見可能性を高めるために、司法判断は排除せよと主張してきた。
●大臣は答弁した通り、特許法の原則は原始発明者帰属であることは間違いない。ところが、特許庁は、この原則を認めることをかたくなに拒んだ。これは、産業界の主張を無批判に受け入れ、発明者の権利を奪うもの。
以上で、他の政党からの反対討論はなかった。
知的財産権については、企業に属しようと個人に属しようと、この権利自体が存在していることに疑問を持つ。このようなものは人類始まって以来存在してこなかったものである。これが普遍的なものではあるとは到底思えない。
以下、付帯決議及び政府原案で可決されている。
一 職務発明制度の見直しについては、従業者と使用者の双方の発明のインセンティブの向上という本見直しの目的を含め、本改正内容について広く国民に対し周知徹底を図るとともに、特に中小企業における職務発明規程の整備に係る相談・支援体制の充実を図ること。
二 職務発明制度に係る相当の利益については、現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利となるよう保障すべく、「指針」において企業による従業者等の研究開発に係るインセンティブを高めるための創意工夫が生かされるよう具体例等を例示すること。また、同指針の策定に当たっては、策定に係る検討メンバーに労使代表をはじめ幅広く関係者を参加させるとともに、職務発明制度に係る苦情処理のあり方等について明示するなど、企業の予見可能性と従業者等の処遇との均衡を図るよう適切な措置を講じること。さらに、今後の経済社会情勢の変化等を踏まえ、従業者等のインセンティブへの影響など本法の運用について、適宜調査・検証を行い、必要に応じ見直しを行うこと。
三 特許料等の引下げ及びPCT国際出願の料金体系の見直しについては、特許権等の取得・維持に係る中小・小規模企業等の負担軽減が我が国企業の国際競争力及び知財戦略の一層の支援強化を図る上での重要性に鑑み、附則の見直し期間にかかわらず施行状況を見つつ、適宜検討・見直しを行うこと。
四 特許特別会計において、収支バランスを適切に確保することが重要であることに鑑み、これまでの特別会計改革の議論や会計検査院の指摘を踏まえ、今後とも、可能な限り利用者の負担軽減に務めるとともに、特許料等のあり方について、適宜、柔軟な見直しを行うこと。
五 知的財産の裾野を拡大する観点から、中小企業の知的財産活動を支援するため、「知財総合支援窓口」の一層の強化拡充を図るとともに、海外展開を指向する中小企業の知的財産の権利化及び模倣品対策に係る支援策のさらなる強化を図ること。
法案の概要
(1)職務発明制度の見直し【特許法】
①権利帰属の不安定性を解消するために、契約、勤務規則その他の定めにお いてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたとき は、その特許を受ける権利は、その発生した時から使用者等に帰属するものとします。
②従業者等は、特許を受ける権利等を取得等させた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとします。
③経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、 相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定するための手続に関する指針を定めるものとします。
(2)特許料等の改定【特許法、商標法、国際出願法】
①特許料について特許権の設定登録以降の各年において、10%程度引き下げ ます。
②商標の登録料を 25%程度、更新登録料について 20%程度引き下げます。
③特許協力条約に基づく国際出願に係る調査等について、明細書及び請求の 範囲が日本語又は外国語で作成されている場合に応じ、それぞれ手数料の上限額を定めます。
(3)特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整 備【特許法、商標法】
各国で異なる国内出願手続の統一化及び簡素化を進める両条約に加入すべく、 国内法における所要の規定の整備を行います。
①特許法について、外国語書面等の翻訳文を所定の期間内に提出することが できなかったときは、特許庁長官が通知をするとともに、その期間が経過し た後であっても、一定の期間内に限りその翻訳文を提出することができるも のとすること等、特許法条約の実施のための規定の整備を行います。
②商標法について、出願時の特例の適用を受けるための証明書を所定の期間 内に提出することができなかったときは、その期間が経過した後であっても、 一定の期間内に限りその証明書を提出することができるものとすること等、商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備を行います。