【ケア編】請0141-維新により反対された学校司書の増員決議案 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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次の請願は学校の図書室にいる先生・学校司書についての不足をなんとかしてもらいたいという内容。

 

213国会 第0141請願

専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願

 学校図書館は児童生徒にとって一番身近な図書館で、学校教育において大きな役割を担っており、重要視されている。学校司書は図書館の専門職で、学習などに必要な図書資料や情報の選択、分類や組織化、児童生徒及び教職員のためのガイダンスやレファレンスを行う。さらに、学校図書館の運営全般に関わる職務も担っており、学校司書が配置されてこそ学校図書館を教育活動に生かすことができる。二〇一六年十一月「学校図書館ガイドライン」「学校司書のモデルカリキュラム」が文部科学省により作成されたが、学校司書の採用条件を地方公共団体の判断に委ねていることから、モデルカリキュラムを履修しても採用の保障はない。また、学校司書が必置とされていないため、非正規や兼務の司書が増加し、図書館を毎日開館できない状況が増えていることは大きな問題である。

 

 ついては、次記事項を措置されたい。

一 全ての学校図書館に専任・専門・正規の学校司書を配置すること。

二 学校図書館法に学校司書を「置かなければならない職、学校図書館の専門的職務をつかさどる職」として位置づけること。

三 学校司書を学校教育法、教職員定数法など関係法規に位置づけること。

四 二〇一六年十一月に作成された「学校図書館ガイドライン」「学校司書のモデルカリキュラム」が十分に効力を発揮するよう、必要な措置を講じること。

●受理件数 20件

●署名者通数    8,085名

●付託委員会 文部科学委員会

●結果 審査未了

 

学校司書モデルカリキュラムというのは、平成26年に学校図書館法を改正して、専ら学校図書館の職務に従事する職員として学校司書を置くよう努めなければならないとしたもので、学校司書になるためのカリキュラムを設定したものだ。

以下は、その研究論文。

学校司書のモデルカリキュラムの 実施状況とその課題

放送大学にも文科省の委託を受けて学校司書資格を取れるカリキュラムがあるが、なにしろ学校司書では食っていけないという実情がある。

 

この請願が出される五年前に、学校司書の配置増を求める国会決議案が練られ、右から左まで、自民党から共産党までが賛同し、全会一致で決議しようということになったのだが、唯一反対した政党が維新の会であった。

 

 

維新「司書はAIで代替可能」/唯一反対、増員決議できず

 2015年施行の改正学校図書館法で「努力義務」とされた学校司書の配置は全体の半数程度にとどまっている。このため「文字・活字文化推進機構」が働き掛け、衆参両院で全会派が了承した形での決議案提出を目指していた。

 

 維新の浅田均政調会長は取材に「人件費増に直結する『司書の配置促進』は『改革』の名に値しない」と文書で回答した。

 

原則として国会で行う決議というのは、全ての政党・会派が賛同して決議となる。ひねくれ者のれいわ新選組などは、平和や非核の内容なのに目立とうとして難解な理屈をつけてわざわざ述べて反対する場合があったりするが、基本的にはすべての会派に異論がない状態で決議案を出して決議するので、自民・公明の与党だけの過半数で決議することはしない。野党も賛同してくれて初めて決議として成り立つという慣習がある。

 

したがって、この学校司書を増員しようという決議については、維新が反対したので提出はなされなかった。

 

維新が反対する理由は明確である。「そんなもんAI(人工知能)でできるだろ」とか「役所の無駄遣いを許すな」のいつもの発想だ。

 

これに対して批判記事が出ていた。

 

「学校司書をAIで代替」という誤ったデジタル発想

ちょっと前に「AIvs.教科書が読めない子どもたち」という本がブームになりました。AIで学校司書を代替したら、「教科書が読めない子ども」がますます増えると思います。AIにできない仕事ができる人材を育てるには、子どもの頃の読書体験はとても重要だと思います。AIに真似できないセンスや知性を育むには、文学や哲学、歴史、デザインなどにふれることができる読書体験が不可欠だと思います。

 

AI時代だからこそ、AIで代替できない人材を育成する必要があります。そのためには子ども時代に良い本をたくさん読むことが重要だと思います。AIで代替できない人材は、学校司書をAIで代替したら育たなくなると思います。AI時代だからこそリベラルアーツ的知性が必要とされ、それはAIでは育めないと思います。AI時代だからこそ、AIで代替できない専門性の高い学校司書を正規雇用で確保し、子どもたちの読解力を高める一助とすべきです。

 

維新の会が主張する「学校司書をAIで代替」という反知性主義的な発想がはびこるようでは、AIに負ける人材しか育たないと思います。AI時代だからこそ、国語力(読解力)が大切で、そのためには学校の図書館の充実や学校司書の確保は必要な投資だと思います。

 

「日本維新の会」の皆さんは子ども時代に学校の図書館のお世話にならなかったのでしょうか。本を読まないで育った子どもが大人になると、視野狭窄で短絡的な政策論をブレずにつらぬくポピュリスト政治家になってしまうのかもしれません。

 

現時点で、維新の会はポピュリスト政党だという批判もよく聞かれるので、まさにその通りになっていると言えよう。

 

90年代の後半まで、ほとんどの学校での給食は公務員によってなされていた。夏休みも冬休みも春休みもあって、土曜日は毎週お休みで、しかも平日であっても丸一日労働することもないのに、公務員としてたんまりとした給与をもらっていた給食のおばさんたちがいた。また、子どもたちの通学時間にみどりのおばさんもいた。夜になると宿直をするおじさんがいた。これらは公務員で、高額な給与を得ていたために、「そんなものは民間に委託しろ」ということになり、どんどんなくなっていった。今では、学校給食は民間業者が行うようになり、宿直は機械警備に代わり、交通誘導は地元のボランティア活動となった。

 

たしかにこのノリで行けば、ほとんど仕事をしていないように見える図書室の学校司書などAIにやらせてしまえという発想になるのだろうが、効率性と経済性ばかりを考え、子どもたちへの愛情を考えない政治志向で本当にいいんだろうか。

 

維新のなした大阪府と大阪市の二重行政廃止は、既得権益を破壊するという憎しみが優先にあり、府民や市民のためという気持ちは二次的なもののように感じる。初代党首の橋下徹弁護士はとにかく喧嘩を売って、戦い、既成政党への憎しみが激しく強い人であったことから考えると、優しさから発生した愛ある行政とは言い難いと思う。

 

この批判記事でも、「AIで代替できる仕事と、そうでない仕事があります。AIでは代替できない仕事の例としてよくあげられるのが、学校の教員、保育士、看護士、介護士などの対人サービス(対人ケア)の仕事です。AIが業務のアシストをすることは増えるでしょうが、こういった対人サービスは最後までAIで代替されない仕事だと思います。学校司書もそういった対人サービスの仕事のひとつだと思います。」と述べている。まさしくその通りだと思う。

 

しかし、決議とは違って、ここに示したのは請願である。維新以外が賛成しているのならば、この請願は採択してもよかったのではないかと思う。

 

いずれにせよ、銭っ子政党・維新の会は、新自由主義に染まり、人情がなくてお金の効率性ばかり言う政党である。

 

自民党は人情があるが、カネもうけもがっつりやろうとする。

立憲民主党は人情もなく、カネもない。

帯に短し、たすきに長し。