次の請願は憲法改正を阻止しようとする内容。
213国会 第0002請願
【憲法改悪を許さないことに関する請願】
岸田首相は、欧米諸国との軍事協力を強化し戦争する国づくりを進めている。一方、この道の障害になるのが、憲法第九条など日本国憲法の理念である。改憲派は自民党が提唱する改憲四項目案をベースにして、国会の憲法審査会での改憲案づくりを急ごうとしている。
ついては、次記事項を措置されたい。
一 自民党が提唱する憲法第九条に自衛隊を書き込むことなどの改憲四項目に反対すること。
二 憲法を生かし、平和と民主主義、人権、環境、暮らし・医療・公衆衛生などの向上を実現する政治を求めること。
●受理件数 49件
●署名者通数 107,644名
●付託委員会 憲法審査会
●結果 審査未了
紹介議員は日本共産党の衆議院議員全員である。
まずこの請願の矛盾は、憲法を生かせと言っておきながら、憲法が尊重する言論の自由を阻害していることにある。
自民党が提唱する憲法第九条に自衛隊を書き込むことについては、ほとんどの国民が了承するようになってきた。
朝日新聞社は16、17日に全国世論調査(電話)を実施した。岸田政権のもとで、憲法9条を改正し、自衛隊の存在を明記することへの賛否を尋ねたところ、「賛成」51%が「反対」33%を上回った。
また、憲法を改正しないまま自衛隊を認めるという意見も多い。これはつまり解釈改憲で自衛隊を認めるというもので、我が国の憲法は一度も改正されていないが、ほぼすべて解釈によって都合よくするという悪しき慣習である。
いずれにせよ、自衛隊は広く国民に認められていることから、この請願を採択することはできないのが共産を除く各党各会派の考えだろう。それを保留にして審査未了とするのはいかがなものか。
そして、憲法改正を決定する権限は国民にある。最終的には国民投票によって決まるのだ。よって、発議の段階で国会に対して提出すべき請願ではないが、この請願もまた言論の自由ではあるので許されることではある。
ただ、最も重要なことを申し上げるとするならば、これまでの憲法の運用方法からして、条文がどうなっていようと勝手に解釈を捻じ曲げるということがある。
したがって、憲法を改正しようが改正しなかろうが、影響はないということだ。むしろ、憲法を解釈する側に問題がある。
これは実は宗教に似ている。
神聖なるものとして神を崇めるが、神はなにも発言したことはない。人間が「神はこう発言していた」とか「イエス様はこう言っていたのだからこうなのだ」という解釈をしているのと同じ。憲法を神聖化していると必ずそうなる。