【自由編】カーボンニュートラルのためにも海のエネルギーを活用しよう | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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洋上風力でエネルギー産業を活発化させることから経済産業省、

海洋に風力発電所を作ることから国土交通省及び海上保安庁、

カーボンニュートラルの社会を作ることから環境省、

排他的経済水域に設置することから外務省及び防衛省と、

多岐にわたって総合的に取り組むことから内閣府の所管となったこの法案。

 

5月22日の衆議院内閣委員会で松村祥史海洋政策担当大臣から趣旨説明がなされ、24日の金曜日から審査に入った。

●海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(213国会閣53)

概要(PDF形式:71KB)
要綱(PDF形式:100KB)
法律案及び理由(PDF形式:258KB)
新旧対照表(PDF形式:371KB)
参照条文(PDF形式:320KB)

 

再生可能エネルギーの主力電力化に向けた切り札である洋上風力発電は、我が国の2050年カーボンニュートラル実現のためである。

 

これまで「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(平成30年法律第89号)等に基づき、我が国領海内での導入拡大の取組をしてきたが、中国の海域に対する脅威もある。

 

このため、EEZにおける洋上風力発電の実施に関して、国連海洋法条約との整合性を合わせみながら、国際的な戦略を立てていくのは必要なことである。

 

洋上風力発電は、①大量導入、②安価な電力、③大きな経済波及効果が期待されることから、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札である。

 

日本は四方を海に囲まれており、これを生かさない手はない。

 

先行する欧州では、遠浅の北海を中心に、落札額が10円/kWhを切る事例や市場価格(補助金ゼロ)の事例があり、風車の大型化等を通じて、コスト低減が進展している。どれだけの大型化かという東京タワー弱くらいの高さである。

 

今では、建設工事の効率化、発電効率の向上により、発電コスト低減が加速している。

 

実施にあたっては、海域を占有するため、都道府県条例の許可では通常3~5年と短期であり、長期占用ルールが必要である。

 

港湾区域においては、港湾法を改正し、2016年7月に施行されている。

さらに、港湾区域以外の一般海域について、「再エネ海域利用法」(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)を定め、2019年4月に施行(経産省・国交省の共管)されている。

 

ここでの課題は、海域利用に関する統一ルールがないことである。

 

海域利用(占用)の統一ルールがない上に、都道府県条例の許可は通常3年から5年くらいの短期であって事業の予見性が低くて、都道府県では資金調達が難しい。そこで国が、促進区域として洋上風力発電事業の実施区域を指定し、事業を実施する業者を公募により選定して、その事業者に30年間の長期占用が可能のようにして事業の安定性を確保させる。

 

漁業協同組合との兼ね合いは、指定区域ごとに地元漁業等関係者、国・自治体による協議会を設置する。

 

問題点は国内の経験ある技術者が少ないことだ。これには競争を促進してコストを低減させることが必要である。

 

これまでの経過と予定は、

●2021年度に長崎県五島沖、秋田県2区域、千葉県銚子沖において発電事業者を選定済。(発電設備容量合計約170万kW)

●2022年9月30日に新たに3区域(長崎県西海江島沖、新潟県村上・胎内沖、秋田県男鹿・潟上・秋田沖)を促進区域に指定。

●今後、公募を延期している秋田県八峰・能代沖と合わせ、計4区域にて年内に公募開始予定。(系統容量合計約180万kW)

となっている。

 

UNCLOSというのは国連海洋法条約のことである。

国連海洋法条約(正式名称: United Nations Convention on the Law of the Sea(海洋法に関する国際連合条約))は「海の憲法」とも呼ばれている。ここにに「排他的経済水域(EEZ: Exclusive Economic Zone)」という海域が設定されている。

 

洋上風力発電施設の国際法上の位置付けをこの条約から考える必要がある。

 

国際法上の考え方としては、

●UNCLOS上、船舶、施設及び構築物の何れも定義なし

●IMO関連条約には、条約の目的及び趣旨に鑑み、「船舶」の定義を個別に規定しているものあり(例:COLREG条約:「水上輸送の用に供され、または供することができる船舟類」)

●UNCLOSにおける「施設及び構築物」は、通常その設置場所が固定されているものと考えられる

●主たる利用目的が経済目的であり、また、設置にあたり、船舶で曳航されたり、船舶で部品を運び、設置場所で組み立てる必要があれば、UNCLOS第60条の「施設及び構築物」に当たるとの主張あり

 

領海における運用状況は、

●浮体式は、船舶安全法上の「特殊船」の安全基準を満たす必要があるが、現在、船舶法上の登録の対象として扱われていない

●着床式は、船舶安全法・船舶法の適用はなし

 

EEZを対象とする他分野の法律における参考事例では、

●排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成8年公布)→「人工島、施設及び構築物」は、いずれも海上において人工的に作られる建造物等を指し、「施設及び構築物」には、鉱物資源開発のためのプラットフォームや掘削活動に従事している掘削バージ等が含まれると法の制定時に整理している

●海洋構築物等に係る安全水域の設定等に関する法律(平成19年公布)→EEZ及び大陸棚で行われる活動であって、我が国の法令が適用されるものに係る工作物及び大陸棚の掘削に従事するために進行を停止している船舶を「海洋構築物等」と定義

 

 

以上により、論点に対する考え方として、

洋上風力発電施設(浮体式、着床式)は、特定の場所に固定されるものであり、また、主たる活動目的も経済目的の発電であることから、国際法上ではUNCLOSにおける「施設及び構築物」に位置付けて管轄権を行使するのが適当と考えられるだろう。

 

さらには、主権的権利の行使の一環として、国内法上必要な手続きを規定すれば、洋上風力発電事業に係る探査及び開発のための活動に関しては、基本的に領海内と同様、占用等の許可・監督処分・報告の徴収・立入検査などを行使できる。

 

海洋への自由を日本は拡大していくべきであるが、海洋生物への配慮も必要であり、これらの保護も国家の義務であることを忘れてはならない。米国では生物の環境について以下のような研究がなされている。

 

 

 

以上、この法案は全会一致で可決すべきものとされた。