【自由編】経済の自由はまずは貨幣の自由から | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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世の中に必要なものは必要になります。
例え、今は笑われてもです。
限界が来るものについては、捨てなければ生きていけないからです。

 

 

の採決となった5月17日の衆議院財務金融委員会。

 

●事業性融資の推進等に関する法律案(213国会閣57)

 

 

事業を始めたばかりの成長企業は、当初は売上よりも支出が大きい。そのため不動産を持っていればそれを担保に金融機関から資金を借りることができる。しかし、持っていないと資金を借りることができないので何もできなくなる。金融機関からすれば、成長企業から大きな資金回収ができるのでお金を貸してあげたいが何も担保がないとそれはリスクになる。

 

では成長企業ではなくて成熟企業の場合はというと、安定した収入を得ているが、事業継承ができない場合には、オーナーではない役員が継承すると、経営者保証なして融資を継続してほしいということになる。これもまた貸し手としては無担保になってしまうので不安があり貸さない。

 

このような状況を打破して、有形資産の担保がなくても貸し出しができる法制度を整え、自由活発な経済にしようというのが今回の法案の目的である。

 

ただ、左派系野党は反対の意向のようである。

 

ここでは、福島2区(郡山市、本宮市、大玉村、二本松市)で落選し、東北比例区で復活当選した馬場雄基議員(立憲民主党)の5月10日の衆議院財務金融委員会での質疑を元にこの法案に関する金融庁の見解及び鈴木俊一金融担当大臣の認識を見てみよう。

 

【事業性融資推進本部】

 

本法律案の目的が達成されたと判断する基準は、現時点において数値的に基準は決めていない。

 

本法律案の目的が達成された後の同本部の解散に係る規定の有無は、施行から5年を経た段階で見直す。現時点で廃止を考えるのは時期尚早とのこと。

 

本部員として法律案に明記される5大臣のほか、別途指定可能な国務大臣を指定する可能性 について、労働者の保護が必要な観点から厚生労働大臣を本部員に指定する方向で考えているとの答弁。

 

【企業価値担保権制度の利用者】

 

政府が想定する企業価値担保権を実際に活用して融資を受ける事業者 について、新商品を開発する業者、事業継承が進んでいない事業者、担保余力に乏しく事業再生を考えている事業者などを挙げた。

 

制度の利用が想定されるスタートアップについて対象となる成長ステージを明確にする必要性 では、有形資産がなくても融資できる制度のため、ある程度のキャッシュフローができた段階をスタートアップの時期とする。

 

現場に混乱を生じさせないため、将来キャッシュフローが捉えられるようになるアーリー期以降の事業者を対象とする制度であることを周知すべきとの指摘に対する政府の見解は、 施行までに2年半あるので、活用方策については施行後にフォローするとのことである。

 

アーリー期とは以下に説明があるが、スタートアップの一つの時期のことである。

 

  1. スタートアップは4つのステージに分類される
  2. シード期
    1. 資金調達
    2. MVPの開発
    3. マーケットの検証
    4. チームの構築
  3. アーリー期
    1. プロダクトの改善
    2. ユーザー獲得と成長戦略
    3. チームの拡大と強化
    4. 追加の資金調達
    5. メトリクスとデータ分析
  4. ミドル期
    1. ビジネスモデルの最適化
    2. 拡大戦略と市場領域の拡大
    3. 人材採用と組織最適化の推進
    4. 資金調達
  5. レイター期
    1. マーケットシェアの拡大
    2. 予実管理
    3. 蓋然性のある事業構造
    4. 追加の資金調達
    5. ユーザーのエンゲージメントと維持

 

通常の事業活動を超える範囲として、借り手(債務者)による担保目的財産の使用・処分等が制約される行為に重要な従業員の退職等が該当するか否かの確認はどうなっているのかという質問があった。コアの技術者が辞めることは事業に影響を与えうる状況ではあるが、転職の自由を保障する観点から対象としていないが、最終的には裁判所が判断するとのことである。

 

この法案の審議の本質は、政府は開業開始直後の事業者であっても融資をできる制度にしたいが、なにも資産がなく、ただ無形資産としての価値があるというだけで融資するのは許されないだろう。そこで、そこそこの言い訳をしているのだが、結局施行後は甘い審査のもとで融資が行われると思われる。野党・立憲民主党はそこを突きたいようだ。

 

ただ、今の経済で不足しているのは融資である。それがなされさないゆえに経済が回らない。なぜ回らないかと言えば、本当に回収できるか、その後に利子がついて儲かることができるのかという保証がどこにもないから貸さないわけだ。それを延々と30年やっている。だから永久不況に陥っているのだ。この方策については政府与党も野党も答えを見いだせないために悩み苦しんでいると言えよう。

 

融資した資金が、減価をともなって償却していく制度などというのは、現状では考えられないトンデモ経済学だろう。しかし、そういう時代はもうそこに来ている。これによって焦げ付いた融資というのはなくなるのである。

 

それで結局、14日の参考人質疑、17日の質疑及び討論・採決で賛成多数により可決すべきものとなった。参考人は以下の通り。

●井上聡(長島・大野・常松法律事務所弁護士)

●福留朗裕(一般社団法人全国銀行協会会長 株式会社三井住友銀行頭取CEO)

●村上陽子(日本労働組合総連合会副事務局長)         

●馬渕磨理子(一般社団法人日本金融経済研究所代表理事)

 

この中で、井上弁護士は法案に賛成のようで、意義を述べていた。福留全銀連会長は融資の立場から、連合の村上副事務局長は働く者の立場から述べた。銀行側からも労働側からも賛同と見られる。シンクタンクの馬淵代表理事はデフレの正体を明らかにすることだと述べていた。それは、人よりもお金を重視してきたことにあると言っていた。まさにその通りだと思う。

 

参考人質疑の中では階猛議員が、銀行内弁護士としての経験を語り、彼は将来的に不動産担保によらない融資の時代が来ると予言していたそうである。それがまさに今この法案として提出されているのだが、彼は法案に反対の立場のようである。その手段として企業価値担保権を設けることについては疑問を持っているとのことであった。

 

その上で、上場新興企業のM&Aにおける企業価値担保権の活用の具体的内容、労働組合の組織率が低い中小企業やスタートアップ企業が企業価値担保権を活用する場合において従業員の権利を守る方法、日本労働組合総連合会として企業価値担保権の導入には反対すべきではないかなどが語られた。

 

17日の最終の質疑で階議員は、55分の質疑をしており、討論においては反対討論として以下の意見であった。

 

●企業価値担保権の実行に際し、従業員の手続き保証や権利保護が不十分である。

●企業価値担保権付きの融資を行おうとする者は、伴走型支援よりも債権回収に傾きがちな制度になっておりトンビに油揚げをさらわれる仕組みになっていること。

●借主の取引に支障が生じかねない。仕入れ先や取引先は債権者の同意を得ずに通常の事業活動の範囲を超えて取引を行った場合、善意無過失でなければ取引が無効になるとされている法案である。何が通常の事業活動の範囲であるのかが漠然曖昧であり、取引が委縮する可能性がある。

●企業価値担保権付きの融資のコストが高い。

などの理由であった。

 

日本共産党からの反対理由は、労働契約上の地位にまで担保権を設定することについてであった。

 

ここで私が思うことは、現代の経済社会は、労働が先にあるのではなく、経営によって労働が動いており、経営は資本によって動かされているということである。

 

この根本を改めない限りには、野党の言う内容はどのように是正したところでどうになるものでもない。

 

現代の経済社会にのっとるならば、この法案は成立させて当然であり、その次の段階としてこの経済社会を変えていく必要があるのだ。

 

そしてまずは融資という貨幣の流れを大きく作っていき、経済を潤滑にさせるということが最優先課題であると考える。

 

そのためには貨幣の自由化が必要である。

 

もはや電子マネーなどがどんどん増えてきている。近い将来に中央銀行の発行する貨幣はなくなるとみえる。なぜ自由主義国は貨幣が自由ではないのだろうか、貨幣とはそもそもなんなのか、という哲学的な思考が今後の時代に始まるだろう。

 

 

採決では、立憲や共産が反対し、維新も反対したものと思われる。賛成多数により可決すべきものとなった。明日の本会議で上程され可決される見込みである。

 

  • 事業性融資の推進等に関する法律案

(令和6年3月15日提出)

関係資料