【ケア編】都市緑化を利用した売国にならなければいいが | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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世の中に必要なものは必要になります。
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限界が来るものについては、捨てなければ生きていけないからです。

 

 

の続きである5月10日の衆議院国土交通委員会。

 

●都市緑地法等の一部を改正する法律案(213国会閣18)

 

以前、郡山市の公園を何十か所も回って子どもを遊ばせたことがあるのだが、確かに草ぼうぼうでそのまんまという公園はかなりあった。

 

少子化により、そして限られた自治体予算のために、けっこういい加減になっているのかなと思ったことがある。郡山市の各公園では震災以降すべて除染がなされており、放射線量が表示されている。そこが他府県とは違うところなのであろうが、ということは国の予算がつけば除染をして、その際に手入れをするということであるものの、その後は放置している所も多いということだ。

 

今回のこの法案は、どうして日本の都市部の緑地は少ないのかということについて、人口増加に伴う開発によってそうなったと国土交通省では認識しているようだ。それはまあそうだろう。

 

これを短期間のうちに緑地化を進めるのは大変に難しいため、自治体に投げ、そして民間に任せようということらしい。

 

金儲けのためならばどんどん緑地化していくだろうという期待は、これまで金儲けのために開発してきたとは逆の流れを作ろうとしている。

 

考えなくてもわかることだが、緑地や公園というものが増えても経済が発展するわけではない。それは人々の憩い、防災、生態系の維持、やすらぎなどにあって、お金に換算できるものじゃないからだ。

 

都市部においては地価が高い。だからこそ国や自治体で樹木を増やしたりしてやってきたのであるが、それを民間に任せるにあたって、国土交通省は何を考えているのかというと、民間にいったん投資させて利益を得たいようである。

 

そのためには容積率の緩和なども盛り込んでいる。そこではつまり、公園の中で売店や食堂などを設置して利益を出させようというのであろうか。

 

いずれにしても、なんでも民間に任せようという傾向が強い。

 

この傾向は、役所のやっていることに対して「民間企業ならありえない」のキャッチフレーズが政治においては流行り言葉のようになって、それを改革だとしているからであろう。

 

もちろん、市場に開放するということは、政府からの束縛を外して自由になるのだから良い傾向ではある。ただし、売り先がどこになるのかによって、長期的には我が国存亡の危機にもさらされるのではないかと思う。

 

太陽光発電が良い例で、中国製のものが出回り、中国政府の側から日本国内のエネルギーの首根っこを摑まえられているようなもので、いざ国際的な危機状況になった場合にはとんでもないことにもなるだろう。これからの人口減少社会で、やたらに民間に委託していくというのは外国資本や外国人労働に委ねようという意識があるのではなかろうか。

 

概要の3の①は以下のようになっている。

3.緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込み

 

①民間事業者等による緑地確保の取組に係る認定制度の創設【都市緑地法・都開資金法】

・緑地確保の取組を行う民間事業者等が講ずべき措置に関する指針を国が策定。

・民間事業者等による緑地確保の取組を国土交通大臣が認定する制度を創設。上記認定の審査に当たっての調査を代行する機関の登録制度を創設。

・上記認定を受けた取組について都市開発資金の貸付けにより支援。<予算関連法案>

 

ということであるが、民間に任せるにしても政府や自治体がきちんと監視できるようにしておく必要がある。

 

なにしろこういうエリアは防災の拠点ともなる場所である。

 

民間が管理しているからと言って市民が利用できないというような状況はないようにしてもらいたい。

 

また、民間企業が生態系に配慮できるようにするためには、生態系を維持することによって成り立つ経済システムが必要である。なんでもカネカネ社会は人の心を失っていく。まず貯蓄・増殖できる貨幣システムを変えなくてはならないが、ここでは話がズレていくのでやめておく。

 

そして、ヒートアイランド現象を抑えるためにも緑地を増やすことは優先課題である。

 

エアコンや自動車などからの人工排熱が増加し、コンクリート・アスファルト化で熱収支が変化している。数十年前は地方や郊外で舗装化がされていないかったために済んでいたことが、いまや全国のほとんどが舗装化・コンクリート化で熱の逃げ道がないうえに、雨水の逃げ道であった土壌がなくなり、河川や排水路に流れていく量が増えたのもゲリラ豪雨増加・洪水の発生しやすさにつながっているだろう。

屋上緑化によるヒートアイランド緩和効果

(東京都環境公社)

 

また、オフィス街で緑地を設置しようとする場合には、無利子で融資が得られるという。これには公園を作らないでも屋上緑化や壁面緑化などがある。その費用の回収は、再生可能エネルギーの導入、エネルギーの効率的な利用等を行う都市の脱炭素化に資する都市開発事業を認定する制度を創設するため、売電によって利益を出させるようである。自家消費用のエネルギー生産についても民間都市開発推進機構の金融支援が得られる。

 

民間と言っても、おそらくは内閣府・国土交通省・環境省職員OBによる天下り組織によって行われるであろう。これはもう厳しく正そうということでやってきたわけであるが、また同じ道を行きそうである。斉藤鉄夫国土交通大臣は、利益を出してはいけないという意思を示していたが、そんなに利益はそもそも出ないのではないかと思う。

 

そしてその緑地の買入れを代行する国指定法人は一つしかないとのことで、もしもその法人が取り消しになった場合にはどうするのかという質問に対しては、取り消しになることを想定していないということであった。

 

ということは、その指定法人は役所の完全天下り組織になることを意味している

 

維新の会からの意見としては、そんならいらないんじゃないかとのことである。

 

むしろ自治体にすべて与えれば、しっかりとやるのではないかと意見を述べていたが、千葉市や川崎市などはそれをできる能力がないとの答弁であった。果たして本当にそうなのだろうか?

 

そしてこれは都市緑地全体に言えることであるが、緑地が評価される不動産評価の基準も必要である。この法案の中では、民間都市開発推進機構の融資条件の中に含まれているだけであるが、その融資云々がなくても、全ての土地においてその価値が地価に反映できるような仕組みにしなければならないだろう。

 

この法律を施行することにより、自治体の負担は増えるが、民間にも協力を得るのでなんとかなるだろうという意識のようであるが、今年度のこの法律の予算は3億円しかないとのことである

 

共産党からの質疑では、麻布台ヒルズが令和5年度に創設した表彰制度「脱炭素都市づくり大賞」の第1回表彰において、最優秀賞である「国土交通大臣賞」を受賞したが、こういうものを基準にするのかと聞いていた。大企業許すまじの共産党らしい質問であった。

 

なお、「許すまじ」は許さないという意味であって、「許すよ、マジで」ということではない。こないだそういう勘違いをしている若者がいたので一応書いておく。

 

というわけで日本共産党は反対討論。従来の開発事業に緑地開発を加えて、一部のデベロッパーを優遇するものだとして自治体にやらせなさいという内容であった。自治体にやらせればいいという点では維新と一致していた。明治神宮の伐採についても取り上げ、再開発に対しては断固反対していた。

 

採決の結果、維新は賛成したようで、共産とれいわが反対した。賛成多数により可決すべきものと決した。

 

ところで、この採決でもよくわかるが、こ最近の各党の傾向はこのようなものが見て取れる。

 

【自由民主党】中央政府の業務を民間に開放し、民間企業には外資が参入しても良いこととし、その下で働く外国人労働者に期待している。

【立憲民主党】外国人労働者は、高度な技能がなくても単純労働者であっても、どんどん受け入れればよい。そのためには政府・与党の提案には乗る。

【日本維新の会】民間に開放することを促進している。役所の論理は間違っていて、民間は正しいと考える。中央の仕事は地方に任せるべきだと考えている。民間に任せた際の外資の危険性についてはあまりよく認識していない。

【公明党】自民党がなす新自由主義的傾向や国防強化思考について難色を示すが、最終的には自民党に説得させられている。

【日本共産党】とにかく政府がやることが第一で、民間に開放することは大企業の利益になるのでありえない。

【国民民主党】ほぼ維新とは同じ考え方をもっているが、与党の考えに同調することもある。

【れいわ新選組】ほぼ共産と同じ考え方をもっているが、共産が賛成する場合でも、特殊な理屈をつけて反対する場合がある。

 

しかし、天下りなんていうのは、一部の利権でぬくぬくしたもので、それをみて妬ましいとして国民の反発を買うのは確かにあるだろう。ただ、それよりも都市緑化を利用して外資が参入して、日本の国土が削られていくことは、国民の労働需要の減少と賃金額の停滞、ひいては国力の減退につながる。

 

この法律が直接原因でそうなることはないが、検討していくことではある。