みどりの日であるので4月26日 (金)に、務台俊介衆議院環境委員長の下で行われた
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(213国会閣42)
について、まずは自民党の金子委員が質問をした。
なお、今回の改正法案は、
パリ協定に基づく我が国の目標(NDC)の確実な達成に向けて国内外で地球温暖化対策を加速するため、
①二国間クレジット制度(JCM)の着実な実施を確保するための実施体制強化
②地域共生型再エネの導入促進に向けた地域脱炭素化促進事業制度の拡充等
というものである。
【金子容三(自由民主党・無所属の会)委員】
我が国は、国際、国内の両面において、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた、2030年度温室効果ガス46パーセント削減の実現と50パーセントの高みに向けた挑戦を続けている。
「国際」の観点では、途上国に対して
●脱炭素技術、サービス等の普及
●対策実施によるパートナー国の排出削減
●我が国企業の海外進出や我が国の削減目標達成にも貢献する二国間クレジット制度(JCM)
について、地球温暖化対策計画に目標として定める2030年度までの累積1億トン程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目指す。
2024年2月現在、29の国との間でJCMパートナー国としての協力覚書に署名し、250件以上の事業を実施しているが、パートナー国の拡大やプロジェクトの形成を含め、その目標達成に向けて取組が必要であるとしている。
「国内」の観点では、地域共生型再生可能エネルギーの導入拡大に向け、2021年に創設された地域脱炭素化促進事業制度の活用を一層促進する。
この法律案は、このような背景を踏まえ、JCMの実施体制を強化するための規定を整備するとともに、地域脱炭素化促進事業制度の拡充等の措置を講じ、国内外で地球温暖化対策を加速するもの。
これまで市町村のみが定めることができる再生可能エネルギーの促進区域等について、都道府県及び市町村が共同して定めることができることとし、その場合、複数市町村にわたる地域脱炭素化促進事業計画の認定を都道府県が行うことが改正案にある。
具体的にどのように進めていくのか、今回の法改正の意義について伊藤信太郎環境大臣に問うた。
伊藤環境大臣は、政府及び複数の事業者が分担し実施しているJCM運営業務を統合するとともに、主務大臣に代わり、JCMクレジットの発行、管理等を行うことができる指定法人制度を創設すると答弁をした。
指定法人を設けて、そこに管理を任せるとのことであるが、これは先日に衆議院財務金融委員会で審査した法案に似ている。
投資運用業者をファンドの運営機能(企画・立案)に特化させるため、他社に委託し、簡易な登録制度とするというものであった。これは民間企業の業務を他の民間企業に分散させるものであるが、今回の地球温暖化対策法案改正は政府部門の事業を他の法人に任せるものである。この手の法案は、確かに業務の効率化になるのかもしれないが、今後明らかに予想される人口減少社会においては、総括的に業務ができる仕事を分散化することによって、かえって人手不足を招かないかという疑問はある。
次に、JCMクレジットのパートナー国は2022年8月以降12か国増加し計29か国であり、これを増やしていくということだが、新たなパートナー国の選定はどのようにしているのかという質問があった。秦康之地球環境局長は、その国にJCMクレジットの要望があるかどうか、企業において具体的なプロジェクトの候補があるかどうか、その国の目標がパリ協定の目標と合っているかどうか、この制度に対しての理解度や実施能力がどの程度かという点を考慮しているとのこと。
2023年度末で、既存プロジェクトによる累積削減量は約2,300万t-CO2である。
二酸化炭素の計量方法であるが、
二酸化炭素(CO2)の分子量は44(炭素Cの原子量12+酸素Oの原子量16×2)
であることから、二酸化炭素は44gが1モルで、
44gの体積は2.24×10¯²m³となる。
1トンのCO2の体積は、1トン=106g
より、5.1×10²m³となる。
1トンのCO2は、半径が約4.95mの球に相当する。
ただ、目標が1億トンだからといって4.95を億倍してもその体積にはならない。球体の体積の公式(身の上の心配あーる惨状)に沿わないといけないが、計算がめんどくさいのでやめとく。とにかくデカいことだけはご理解ください。
今後、2030年に1億トンの目標を確実に達成するためには、そのマーケットがJCMプロジェクトによって十分に見込まれる国を対象国とすべきであると金子委員は述べた。地球環境局長は、インドやブラジルについては企業からの要望があり、こうした国々は削減ポテンシャルが大きいため、調整を続けているという。
そういえば、20年ほど前に「環境と経済の調和」を掲げて選挙戦を戦ったことが何度かあるが、あの頃はあまり相手にされなかった。経済は環境を破壊するものであって、環境問題の運動家は企業の経済活動を阻止するかのような対立があり、お互いに調和していなかった時代だった。
それが今では、いろいろな制度を導入することによって、ここではJCMクレジットという方法であるが、それによって企業が参入し、二酸化炭素の削減などに貢献している。
現在政府は、2030年度の温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラルの実現へ向けて始動しているが、本当にそれが可能なのかということがある。
一方で、これまでの努力を見ると、オゾン層の破壊も食い止めることが可能であることがわかってきた。地球温暖化阻止はもはや今からでは到底無理と言われてきたが、人間の努力によって克服することは不可能ではない。知恵を絞ればどれほどにも実現可能だろう。