予算審議時間が通常よりも足りないとして3月1日、審議の進行者である小野寺五典予算委員長と予算案提出者である鈴木俊一財務大臣の不信任が立憲民主党より提出された。
予算委員長小野寺五典君解任決議案(213国会決2)は、当日に討論・採決が行われ、立憲民主党・無所属、日本共産党、国民民主党・無所属クラブの賛成。
自由民主党・無所属の会、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党の反対。
賛成少数により否決となった。
小野寺委員長に対する決議文は以下の通り。
決議第二号
予算委員長小野寺五典君解任決議案
本院は、予算委員長小野寺五典君を解任する。
右決議する。
理 由
過去二番目の規模である令和六年度総予算は、物価高に苦しむ国民のためにも、十分な質疑時間をもって慎重に審査すべきである。
然るに、予算委員長小野寺五典君は、審議が尽くされていないにもかかわらず、自らの職権で強行に質疑を打ち切る日程を決定した。昨年の質疑時間にも満たない時点で質疑を終局させ、採決を強行する委員会運営は、前代未聞の暴挙である。
今般の予算審議において、自民党の裏金問題で当該議員が政治倫理審査会に出席するまでに、多くの質疑時間を費やさざるを得なかった。その反省もなく質疑を打ち切り、政倫審と同時刻に集中審議を開く委員会運営は、予算の審議を軽んじているだけでなく、裏金問題隠し、裏金問題幕引きとの誹りも免れない。
民主主義の基本である国会審議を身勝手に打ち切り、国民不在の委員会運営を強行する小野寺五典君は、予算委員長の任にあらず、即刻、解任すべきである。
以上が本決議案を提出する理由である。
鈴木財務大臣に対する決議案は、れいわ新選組が賛成し、有志の会が反対に回った。この2会派は予算委員長の決議案では採決に参加していない。また国民民主党は予算委員長不信任には賛成し、財務大臣不信任には反対した。
財務大臣鈴木俊一君不信任決議案(213国会決3)は、当日に討論・採決が行われ、立憲民主党・無所属、日本共産党、れいわ新選組の賛成。
自由民主党・無所属の会、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会の反対。
賛成少数により否決となった。
国民民主党は、予算委員長を信任するが、財務大臣を信任しない。れいわ新選組と有志の会はなぜか足並みを揃えて、予算委員長の不信任は棄権し、財務大臣の不信任には賛同した。野党であるが維新は両案ともに反対した。
提案した決議文は次の通り。
決議第三号
財務大臣鈴木俊一君不信任決議案
本院は、財務大臣鈴木俊一君を信任せず。
右決議する。
理 由
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金が、議員個人の所得であるにもかかわらず納税されていない問題に対して、財務大臣鈴木俊一君は、令和六年度総予算の質疑において、納税するかどうかは疑義を持たれた政治家が判断されるべきとの答弁をした。
この発言は、政治家だけが納税するか個人の判断でできると納税者から受け止められ、国民の批判は大きく広がり、納税の現場も混乱をした。
日本国憲法に、国民は納税の義務を負うと明記されている。徴税を所管する財務大臣が、憲法に反して政治家の特権を認めた責任は非常に重く、発言を修正したとしても国民の憤りは容易におさまらない。
早急に、納税に対する国民の信頼を取り戻し、立憲主義を守るために、鈴木俊一君は直ちに財務大臣を辞さなければならない。さもなければ、鈴木俊一君を任命した岸田総理が速やかに更迭すべきである。
以上が本決議案を提出する理由である。
以下、2案に対しての各会派の採決。
予算委員長不信任 | 財務大臣不信任 | |
自民 | ✖ | ✖ |
立憲 | 〇 | 〇 |
維新 | ✖ | ✖ |
公明 | ✖ | ✖ |
共産 | 〇 | 〇 |
国民 | 〇 | ✖ |
れ新 | 棄権 | 〇 |
有志 | 棄権 | ✖ |
否決 | 否決 |