生活困窮者、特に高齢者の入居問題 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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世の中に必要なものは必要になります。
例え、今は笑われてもです。
限界が来るものについては、捨てなければ生きていけないからです。

 

20年前に不動産会社をやっていた頃に最も頭を抱えた問題は、高齢者を賃貸住宅に入居させることだった。決まって大家は言う。「入居中に死なれたら困る。家財道具の処理に困る。身寄りのない人だろうから後始末に困る。部屋で死なれると次の入居者を探すのに困る」と、だいたいこんなところだ。

 

高齢化社会になっているのだから、この問題についてはなんとかケアできるようにしなければならないのだが、当時の政府も自治体もなにも見据えていなかった。

 

そしてやっと今回の改正案で、高齢者が賃貸住宅に入居するにあたってのサポート法整備ができるわけだが、20年遅い。

 

生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(213国会閣9)

  • 概要[289KB]別ウィンドウで開く
  • 法律案要綱[108KB]別ウィンドウで開く
  • 法律案案文・理由[152KB]別ウィンドウで開く
  • 法律案新旧対照条文[292KB]別ウィンドウで開く
  • 参照条文[218KB]別ウィンドウで開く

 

単身高齢者世帯の増加等により、居住確保の支援、被保護世帯の子どもへの支援、生活困窮者等の自立のための支給対象者の追加などの整備を行うための改正法案である。

 

このため、生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法を改正する。概要は以下の通り。

1.居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】

① 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)

② 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。

③ 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。

④ 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。

2.子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】

① 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。

② 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。

 

3.支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】

① 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。

② 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。

③ 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。※ 生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など

④ 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。

施行は令和7年4月1日(ただし、2②は公布日(※)、2①は令和6年10月1日)※2②は令和6年1月1日から遡及適用する。

 

3月13日 (水)に武見敬三厚生労働大臣より趣旨説明、15日 (金)に自民・公明が一人ずつ、立憲・共産が一人ずつ質疑、22日 (金)に立憲と国民が質疑、26日 (火)に参考人出頭があり、27日(水)に再び一般質疑となり、立憲・維新・共産・国民・有志の各会派が質問に立ったが、与党の自民・公明は一度ずつしか質疑せずして、29日(金)の本会議で可決した。

 

先月末の朝まで生テレビだったか、共産党の山添拓議員は与党がほとんど質疑しないのはけしからんみたいなことを言っていた。本来、質疑の時間は与党に圧倒的な時間を配分されるべきものであるが、野党に配慮して与党の時間を削って野党に配分しているものである。それについて文句を言うのは全く筋違いと言えよう。与党は、党内の部会ですでにもんでいるので院内での議論はそれほど必要ないという考えもある。

 

しかしながら、部会の中でどれだけ喧々諤々やっても、国民には公開されない。そして委員会で与党議員が質問をする時間が削られるということは、与党の若手は育たないということも意味する。それがゆえに、党の言いなりにしかならない若手議員ばかりになるという要因の一つとしてもあるだろう。与党議員の質疑時間を野党から奪い返す国会対策の手法も考慮の余地がある。

 

26日の参考人は、

奥田知志(特定非営利活動法人抱樸理事長)

佐保昌一(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)

原田泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授)

生水裕美(一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター地域連携推進部地域支援室長)

坂庭國晴(国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事)

の五人であった。

 

採決では、共産党とれいわ新選組が原案に反対し、残りの会派はすべて賛成した。修正案は全会一致により賛成されたことにより修正可決した。修正内容は、「附則第二条中「ときは、」の下に「生活困窮者自立支援法第三条第一項に規定する生活困窮者に対する支援等が公正で分かりやすいものであることを確保する観点も含めて」を加える。」としている。

 

生活困窮者自立支援法第三条第一項には、「この法律において「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。」と書いてあり、この法律に規定する生活困窮者に対する支援は公正でわかりやすくしろということである。

 

国会の答弁で、言いにくいことはできるだけわかりにくく説明する役人たちに、この修正が果たして効くのか疑問だな。

 

修正案は以下のものであり可決されている。

 

この法律の施行後五年を目途に行われるこの法律による改正後のそれぞれの法律の規定の検討について、「生活困窮者に対する支援等が公正で分かりやすいものであることを確保する観点も含めて」行うことを明記すること。

 

令和6年3月29日衆議院で可決された修正案

  • 修正案要綱[40KB]chrome-https://www.mhlw.go.jp/content/001236623.pdf
  • 修正案[35KB]https://www.mhlw.go.jp/content/001236624.pdf
  • 修正案新旧対照条文[51KB]https://www.mhlw.go.jp/content/001236625.pdf