フィンテック含む銀行法等の改正審議 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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4月28日の財務金融委員会では、

 

銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第38 号)

193-閣38 銀行法等改正案

について、

・麻生財務大臣兼金融担当大臣、越智内閣府副大臣、武村内閣府大臣政務官、藤井国土交通大臣政務官及び政府参考人並びに参考人に対し質疑を行いました。

(参考人)宮野谷 篤 日本銀行理事

 

採決の結果、全会一致で法案を可決すべものと決定。

賛成=自民、民進、公明、共産、維新、無(小泉龍司委員)

 

附帯決議においても全会一致で議決しました。

 

法案の質疑では、高井崇志委員が、我が国のみ発行保証金の供託義務が課せられていることについて質問していますが、金融庁はこの制度を維持するとしています。

 

 

法案の質疑

 

●木内孝胤委員(民進)

・フィンテックの成長阻害要因として、金融機関が優越的地位を利用してベンチャー企業等の新規参入を阻むことや、電子決済等代行業者の過度な囲い込みを行うことなどが考えられるが、その把握、監督の在り方について伺いたい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 御指摘のあります電子決済等代行業者につきまして、その中で、特に、リスクという観点から規制の対象とする必要がないと認められるものにつきましては、内閣府令等の規定の整備によりまして、一定の範囲で適用除外をするということを可能とする法律になっております。

 これまでの議論では、例えば家賃や公共料金の支払いなど、特定の者に対する定期的な支払いを目的として行う決済指図の伝達ですとか、あるいは国、地方公共団体への支払いを目的として行われるものなどについては相対的にリスクが限定されているのではないかといった指摘をいただき、そうしたことについては、利用者保護の観点から、必ずしも規制の対象とする必要がないものについては、私どもも内閣府令の中で必要な手当てをしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 

 

 

・利用者の損害に係る賠償責任について、利用者の権利保障の観点から、電子決済等代行業者を利用する場合でも民法第478条の対象とすべき、また、府省令において電子決済等代行業者と銀行との契約で利用者の損害分担の割合を盛り込むことを規定すべきではないかとの考えに対する政府の見解を伺いたい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 顧客に損害が生じました場合の責任分担、損失分担のルールにつきましては、特に、こうしたものを金融法制の中で一般的に定めますということについては、電子的な取引等をめぐる私法上のルールが現状必ずしも確立されていないという中において、難しい面があると考えております。

 ただ、そうした中で、利用者の保護あるいは利用者の権利の保障ということを適切に図っていくためには、金融審議会の議論などでも、全銀協その他の関係団体において、例えば、申し合わせというような形での取り組みが行われていくことが望まれるということが指摘をされております。

 これを受けまして、現在、全国銀行協会の方でオープンAPIのあり方に関する検討会というものが組織されておりまして、銀行あるいはフィンテック事業者等の皆さん方が参画されて検討が進められているところでございまして、そうした中で、利用者保護を確保していくための一定の考え方の整理が行われ、利用者保護が確保されていくということを期待しているところでございまして、私ども、そちらの検討会における議論の進展を注意深く見守っているということでございます。

 

 

・中小金融機関におけるオープンAPI(銀行等が顧客の同意に基づき、フィンテック企業に銀行等のシステムへのアクセスを許諾すること)の導入コストの見込みについて伺いたい。また、そうしたコストが経営に与える影響についてどのように考えるか伺いたい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 ただいま御指摘のございましたように、APIの導入に伴うコストは、具体的にどういう情報を念頭に整備するかということで変わってくるところが強くございます。

 更新系のことですと、コストがかかってまいります面があります。私ども、ヒアリングなどで聞いておりますと、数千万、あるいはケースによっては数億円ということも聞いておりますが、他方、情報系にとどめてということであれば、今ございましたように、百万円程度で提供が可能なサービスも存在するというふうに理解をしております。

 また、例えば協同組織金融機関などにおきましては、今回の法律でも、電子決済等代行業者が中央機関と一括して契約をすれば、その会員である協同組織金融機関との間でも電子決済等代行業を営むことができるように規定をさせていただいておりまして、また、実際、中央機関の中には、電子決済等代行業者と中央機関とで一括して契約をして、全国の会員金融機関の口座情報等を全て取得可能とするような形でのAPIの導入を検討しておられるところもあると承知をしております。そうした取り組みを組み合わせていくことで、中小金融機関の負担軽減も一定程度図られていくものと考えております。

 そうした取り組みも、私どもとしても推進をしてまいりたいというふうに考えております。

 

 

 

●高井崇志委員(民進)

・本改正案による登録が想定されている電子決済等代行業者数について伺いたい。また、金融機関におけるオープンAPI導入に係る努力義務の内容について伺いたい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 電子決済等代行業者は、現時点で当局の監督対象ではありませんので、その数を必ずしも正確に把握しているわけではございませんが、現在、把握している限りで申しますと、全体で数十社が電子決済等代行業に該当し得るサービスを提供しているというふうに私ども認識をしているところでございます。

 今回の法律案では、利用者保護の観点から、電子決済等代行業者が銀行と接続をする場合には、銀行と契約を締結するということを求めておりますが、接続の方法についてはオープンAPI以外の方法によることも認めているところでございます。また、各事業者の情報セキュリティーの対策状況等について、現状、その詳細を全て把握しているものではない。

 そうしたことで、実際にオープンAPIによりサービスを提供する業者の数を現時点において具体的に申し上げるのは正直困難というところがございますが、本法案によってできるだけ多くのフィンテック企業のイノベーションの推進が図られることが期待されるところであり、そうしたものになっていくよう、私どもも努力を積み重ねてまいりたいというふうに考えております。

▽越智隆夫 内閣府副大臣

 金融機関のAPI開放に関する努力義務についてでありますけれども、まず、オープンAPIの推進につきましては、本法案によりまして法制の整備を行った上で、関係者おのおのが適切に取り組みを進めて、全体として積極的に展開されることを期待しているものであります。

 そういう中で、APIの努力義務につきましては、法律の附則の中に規定されておりまして、ここで体制整備をするようにというふうにしているところでございます。

 このオープンAPIへの対応につきましては、金融機関等の民間事業者によって行われるものであることから、基本的に経営判断だということでございますので、具体的なKPIとか目標設定になじむものであるかということについては、これは慎重に考える必要があるというふうに思っております。

 ただ、いずれにしましても、オープンAPIは金融機関にも大きなメリットがあるものだというふうに考えておりまして、特にインターネットバンキングを実施している全ての金融機関に対しては、このオープンAPIの導入を働きかけていきたいというふうに考えているところでございます。

 本法案では、利用者保護等の観点から、金融機関とフィンテック企業とのオープンAPIによる接続を推進していこうということでありますので、そうした趣旨に鑑みれば、金融機関が過度に厳格あるいは恣意的な基準を策定することは適当でないというふうに考えております。

 加えまして、委員御指摘のあったところですけれども、金融機関はかかる基準を満たす電子決済等代行業者に対して不当に差別的な扱いをしてはならないということも規定をされているところでございます。

 金融庁としては、基準の策定の状況などについて注視していくということとともに、本法制の趣旨について金融機関の理解が十分に得られるように対話を深めてまいりたいというふうに考えております。

 

 

・諸外国における自家型前払式支払手段の規制の状況について伺いたい。我が国のみ発行保証金の供託義務が課せられていることについてどのように考えるか。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 諸外国におけます自家型前払い式支払い手段の規制の状況については、利用者保護の確保等の観点を踏まえ、各国におけますサービスの普及実態や規制の趣旨、体系に応じた内容になっているというふうに考えております。

 その上で、お尋ねの点につきましては、先生の方から例えばOECD加盟国などについて調査できないかという宿題をいただいていることは認識をしておりまして、私ども、現在調査中ですが、まだ十分な回答が得られていない状況にありますが、現時点で把握している限りでは、例えばEUにおけます主要な規制でありますEU電子マネー指令では、第三者型の電子マネーについては未使用残高に係る資産保全義務が規定されておりますが、自家型の電子マネーについては規制の対象外になっているというふうに承知をしているところでございます。

▽越智隆夫 内閣府副大臣

 我が国においては、自家型前払い式支払い手段についても、利用者が発行者に対して信用供与しているにもかかわらず、発行者の破綻によりまして決済に利用できないこととなれば利用者が不利益をこうむることから、第三者型前払い式支払い手段と同様に、その発行者に対して、未使用残高の半額の発行保証金の供託等を行わせることとしておるところであります。実際に、自家型前払い式支払い手段の発行者が破綻をして、供託された発行保証金から還付が行われた事例もそれなりに件数が存在しております。

 こうしたことも踏まえまして、現時点においては、自家型前払い式支払い手段に係る供託等の規制自体を見直すことについては慎重な対応が必要だというふうに金融庁としては考えているところでございます。

 

 

 

 

●宮本徹委員(共産)

・電子決済等代行業者について、欧州では免許制となっているが、本改正案において電子決済等代行業者を一律に登録制とした理由を伺いたい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 一般に、免許制におきましては、免許の付与に際して、行政機関に一定の裁量が与えられるのに対しまして、登録制におきましては、登録拒否要件に該当しない限りにおいて、金融機関は登録を拒否することはできないものとされておりまして、一般に免許制の方が重い規制態様であるとされているかと思います。

 そうしましたときに、電子決済等代行業者は、その定義上、利用者の金銭を預かることが想定されていないところでございまして、現行法制上、例えば、金銭の預託を受けることが前提とされております資金移動業者が登録制とされていることなどに鑑みますと、電子決済等代行業者について免許制とすることには慎重であるべきものと判断しているところでございます。

 

 

 

・フィンテックの普及によって、振り込め詐欺等の犯罪にもスマートフォンによる決済が用いられるなどの懸念が生じているが、このような犯罪についてどのように対応していくのか。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 必ずしも電子決済等代行業者の問題ではなく、インターネットバンキング全般にかかわる問題であろうかとは考えますが、スマホ決済等の利用が広がっていく中で、そうした動きに乗じた不正送金等の問題についてもきちんと考慮していくべきことは御指摘のとおりかと思います。

 金融庁におきましては、これまでも関係省庁あるいは関係団体と連携して振り込め詐欺被害等の未然防止に向けた取り組みを行ってきたところでございますが、こういう状況を踏まえ、振り込め詐欺被害等への注意をより強く呼びかける等、リーフレットの作成、政府広報等、そうしたものの実施に一層の工夫をしていくということが求められようかと考えております。

 引き続き、関係省庁、業界団体等と連携して、振り込め詐欺あるいは不正送金等の未然防止に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

 

 

●丸山穂高委員(維新)

・本改正案はフィンテックへの対応を整備するものだが、今回の改正は国内外で何か問題が起きたことを受けたものなのか。また、問題が起きているのであればその具体例を教えて欲しい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 まず、海外で申しますと、例えば米国で、大手銀行が顧客情報の保護を理由に顧客のパスワードを使用する業者のアクセスを一時的に遮断するというトラブル事例があったというような報道を承知しておりますが、我が国におきましては、幸い、これまでのところ大きな問題が顕在化したという事例は承知しておりません。

 ただ、電子決済等代行業に該当するサービスにつきましては、利用者は、銀行口座に関するパスワードなどの重要な認証情報を業者に取得、保有させる場合が多く、顧客情報の漏えい、認証情報の悪用等のセキュリティー上の問題がないかというような不安が指摘されているところでございます。

 また、業者による決済指図の不適切な伝達等による決済リスク、あるいは業者からのアクセスの増大に伴う銀行システムへの過剰な負担の可能性など、決済、銀行システムの安定性に与える影響についても指摘があるものと承知をしております。

 さらに、電子決済等代行業者にとりましても、現在のようにスクレーピングという手法で接続をしますことには、APIによる場合に比べまして業者のコストが増大する場合も少なくないと承知をしておりまして、そういったさまざまな指摘を踏まえ、今回、利用者の保護を図りつつオープンイノベーションを促進するということで法案を提案させていただいたということでございます。

 

 

・欧州では、銀行、電子決済等代行業者ともに免許制だが、我が国においては、銀行は免許制であるものの、本改正案で電子決済等代行業者は登録制とされている。このようにした理由を伺いたい。また、急速な勢いで国際化が進む中、我が国の電子決済サービスに対する規制は、将来的に諸外国とある程度近い制度になり得るのか、政府の見解を伺いたい。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

決済サービス分野の法制につきまして、御指摘のとおり、我が国では、銀行は免許制、資金移動業者や前払い式支払い手段発行者は登録制とされておりますのに対しまして、御指摘のありました欧州の決済サービス指令におきましては、決済に係ります横断的法制の整備が図られておりまして、その中では、銀行も電子マネー事業者等の決済サービス提供者も、いずれも免許制とされているところでございます。

 この点につきましては、例えば、欧州の決済サービス事業者は取扱金額の上限なく送金サービスを営むことができるとされているのに対しまして、我が国の資金移動業者は一定額以下のサービスに限って営むことができるようにされているなど、日本と欧州では、そもそも各業者に認められている業務の内容や範囲が異なるという点がございますので、必ずしも欧州と同一の参入要件を措置しなければならないというものではないと考えております。

 他方、例えば、今後ITの進展などに伴いまして、異なる規制領域にある業務が、IT技術を用いて実態上極めて近似した機能を提供するようになるということも想定されるところでございまして、そうした場合に規制が区々となっておりますと、利用者保護上の問題が出たり、利用者利便、あるいは事業者のビジネス選択にゆがみを生じさせたりするということになるのではないかという指摘もあると承知しております。

 また、我が国の決済事業者が、仮に、今後サービスの国際的な展開を志向していくという可能性を踏まえてまいりますと、決済に係る規制体系についても国際的な視点を持つことが重要ではないかという指摘もあろうかと考えます。

 したがいまして、金融庁としましては、決済業務等を取り巻く環境変化が進む中で、まずは今回の法案により制度を整備することが重要と考えておりますが、今後、ITの進展等の環境変化はさらに進むことが想定されるところ、それらに対応するための法制のあり方については、引き続き幅広く検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 

・銀行代理業者が行う変更届出義務を緩和するとされているが、一時的な営業所の位置変更については、銀行と同様に届出を不要とすることを政令に規定することとしているのか。

▽池田唯一 金融庁総務企画局長

 今回の法律改正案におきましては、銀行代理業者の営業所の位置を変更した場合の届け出に係る規定を緩和することとしております。

 これは、これまで、銀行の営業所につきましては、増改築その他のやむを得ない理由により一時的な位置変更を行う際には届け出は不要としてまいりましたが、銀行代理業者については、同様の規定が存在しない結果、一時的に位置を変更した場合、変更する際とまたもとに戻る際と、両方で届け出が求められるという結果になっております。

 したがいまして、今回、銀行代理業者につきましても、銀行の営業所と同様、そういった届け出を不要にしようと考えております。具体的には、御指摘のとおり、内閣府令に譲られておりますので、現在、銀行について内閣府令で規定されていると同等の規定を銀行代理業者についても設けるということを考えているところでございます。