第190国会●内閣提出法案第24号
関税定率法等の一部を改正する法律案
(1)暫定税率の適用期限の延長等
平成28年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(431品目)並びに特別緊急関税制度及び牛肉・豚肉に係る関税の緊急措置(牛肉の発動基準数量の算定基礎の特例を含む。)について、これらの適用期限を1年延長する。
(2)個別品目の関税率の見直し
義務教育学校制度の施行に伴う、給食に使用される脱脂粉乳に対する関税減税措置の対象への義務教育学校の追加、バイオエタノールの暫定税率を無税とすること等の所要の措置を講ずる。
(3)輸出入をしてはならない貨物への営業秘密侵害品の追加
企業から不正に流出した技術により生産された物(営業秘密侵害品)を、関税法上の水際取締りの対象とする。
(4)輸出入申告官署の自由化等
輸出入申告は、原則として蔵置官署に行わなければならないこととされている(関税法第 67 条の2第1項)。
これは、貨物のすり替え等が行われるリスクを低く抑え、、不正輸出入の疑義がある貨物に対する迅速な対応を可能とすることにあった。
しかし、AEO事業者とは、貨物の現況の的確な把握など輸出入に関する業務を適正かつ確実に遂行する能力を有すること等を要件として税関長の承認又は認定を受けた者である。したがってこれらAEO事業者に輸出入申告を認めることは可能とするものである。
以上のように、この法案は、輸出入申告官署の自由化等を内容とする。
輸出入申告官署の自由化等では、輸出入しようとする貨物が置かれている場所を所轄する税関官署に対して輸出入申告を行う原則は維持しつつ、AEO(認定事業者)のうち輸出入者および通関業者等については、いずれの税関官署に対しても輸出入申告を行うことを可能とする。
これに伴い、通関業者の業務を各税関の管轄区域内に制限する規定を廃止し、また、昨今の通関手続きを取り巻く環境の変化等に対応するため、通関業制度の見直しを行う。
なお、輸出入申告官署の自由化等の施行日は、公布の日から2年以内で「政令で定める日」としている。
民間に門戸が開放されることなのでこの部分には賛成する。
(5)HS条約2017年改正に対応するための関税率表の改訂
平成29 年1月1日から適用される、HS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)の改正に伴い、関税率表の改訂を行う。
日本の場合、関税定率法で規定されている品目を表した「HS番号」毎に関税率が定められている。
このHS番号は、世界180の国と地域が加盟している世界税関機構(WCO: World Customs Organization)が取り決めている番号に日本独自の細分を付けた9桁の番号。
例えば、乗用車の場合(1)雪上走行用車両及びゴルフカー、(2)ピストン式火花点火内燃機関の車両、(3)ピストン式圧縮点火内燃機関の車両、(4)その他の車両に分類され、さらに各々がシリンダー容積(排気量)によって分類されることで9種類に細分されている。
また、乗車人員が10人以上の車両、貨物車両、トラクター等は別の品目番号が割り当てられています。
今後のTPP交渉に向けての準備ということになります。
(6)納税環境整備等
納税環境整備に係る内国税の規定を踏まえ、郵便又は信書便により納税申告書等が提出された場合の発信主義の適用に係る規定、延滞税の免除及び計算日数の見直しに係る規定、加算税制度の見直しに係る規定を整備するほか、行政不服審査法の改正を踏まえ、関税等不服審査会への諮問事項を追加する。
施行日は本年四月一日からであるが、(3)については平成28年6月1日、(4)については公布の日から2年以内で「政令で定める日」、(5)並びに(6)の延滞税の計算日数及び加算税制度の見直しに係る規定については平成29年1月1日。
そして今後は輸入関税の品目のうち95パーセントのものが撤廃されていくという。そのイントロ法律でありました。
この法案は全会一致で可決しました。