社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案(192国会閣3)
国税の消費税率10%への引上げ時期を平成 31 年 10 月1日に変更するとともに関連する税制上の措置等について所要の見直しを行うものです。施行日は公布の日からとする法案です。
1.消費課税
○ 消費税率の引上げ時期の変更等
・ 消費税率の 10%(うち国分 7.8%)への引上げの施行日を変更(平成 29 年4月1日⇒平成31 年 10 月1日)(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第1条関係)
・ 請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を変更(平成 28 年 10 月1日⇒平成 31 年4月1日)(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第 16 条関係)
○ 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置
・ 消費税の軽減税率制度の導入時期を変更(平成 29 年4月1日⇒平成 31 年 10 月1日)(所得税法等の一部を改正する法律(平成 28 年法律第 15 号)附則第1条関係)
・ 税額計算の特例の適用期間を変更
- 売上税額の計算の特例(中小事業者向け)(平成 29 年4月1日~平成 33 年3月 31 日⇒平成 31 年 10 月1日~平成 35 年9月 30 日)(所得税法等の一部を改正する法律附則第 38 条関係)
- 仕入税額の計算の特例(中小事業者向け)(平成 29 年4月1日~平成 30 年3月 31 日⇒平成 31 年 10 月1日~平成 32 年9月 30 日)(所得税法等の一部を改正する法律附則
第 39 条、第 40 条関係)
- 中小事業者以外の事業者に対する売上税額又は仕入税額の計算の特例については、措置しない(旧所得税法等の一部を改正する法律附則第 41 条~第 43 条関係)
・ 適格請求書等保存方式の導入時期を変更(平成 33 年4月1日⇒平成 35 年 10 月1日)(所得税法等の一部を改正する法律附則第1条関係)
・ 消費税の軽減税率制度の導入に当たり安定的な恒久財源を確保するため歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずる期限を変更(平成 28 年度末⇒平成 30 年度末)(所得税法等の一部を改正する法律附則第 170 条関係)
・ 消費税転嫁対策特別措置法の適用期限を延長(平成 30 年9月 30 日⇒平成 33 年3月 31 日)
(消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法第1条、第 12 条、附則第2条関係)
2.個人所得課税
○ 住宅ローン減税等の適用期限を延長(平成 31 年6月 30 日⇒平成 33 年 12 月 31 日)(租税特別措置法第 41 条、第 41 条の3の2、第 41 条の 19 の2~第 41 条の 19 の4、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第 13 条の2関係)
3.資産課税
○ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長等(租税特別措置法第 70 条の2、第 70 条の3、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第 38 条の2関係)
・ 住宅の取得対価等に含まれる消費税の税率が 10%である場合の非課税枠の適用開始時期を変更(平成 28 年 10 月1日⇒平成 31 年4月1日)
・ 上記以外の非課税枠の適用期限を延長(平成 31 年6月 30 日⇒平成 33 年 12 月 31 日)
・ 双方の非課税枠を段階的に縮小させる時期も変更
4.地方法人課税
○ 地方法人税の税率の引上げ時期を変更(平成 29 年4月1日⇒平成 31 年 10 月1日)(所得税法等の一部を改正する法律附則第1条関係)
以上が概要。以下が要綱。
第一 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の
一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)の一部改正(第1条関係)
1 消費税率の7.8%への引上げの施行日を平成31年10月1日とすることとする。
(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第1条関係)
2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
第二 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)の一部改正(第2条関係)
1 地方法人税率の 10.3%への引上げの施行日を平成 31 年 10 月1日とすることとする。(所得税法等の一部を改正する法律附則第1条関係)
2 消費税の軽減税率制度の導入に係る施行日を平成31年10月1日とすることとする。(所得税法等の一部を改正する法律附則第1条関係)
3 消費税の適格請求書等保存方式の導入に係る施行日を平成35年10月1日とすることとする。(所得税法等の一部を改正する法律附則第1条関係)
4 29年軽減対象資産の譲渡等を行う中小事業者以外の事業者の課税標準の計算等に関する経過措置、課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な小売業等を営む中小事業者以外の事業者に対する経過措置及び課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者以外の事業者に対する経過措置の規定を削除することとする。(旧所得税法等の一部を改正する法律附則第41条~第43条関係)
5 消費税の軽減税率制度の導入に当たり安定的な恒久財源を確保するため歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずる時期を、平成30年度末までとすることとする。(所得税法等の一部を改正する法律附則第170条関係)
6 その他所要の規定の整備を行うこととする。
第三 租税特別措置法の一部改正(第3条関係)
1 次に掲げる住宅取得等に係る措置の適用期限を平成 33 年 12 月 31 日まで2年6月延長することとする。
⑴ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条関係)
⑵ 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例(租税特別措置法第41条の3の2関係)
⑶ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条の19の2関係)
⑷ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条の19の3関係)
⑸ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条の19の4関係)
2 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、その非課税限度額に係る住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間を次のとおりとすることとする。(租税特別措置法第 70 条の2関係)
⑴ 特別住宅資金非課税限度額
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結帰還 | 耐震等 | 左記以外の | |
現行 | 改正案 | ||
平成 28 年 10 月~ | 平成 31 年4月~ | 3000万円 | 2500万円 |
平成 29 年 10 月~ | 平成 32 年4月~ | 1500万円 | 1000万円 |
平成 30 年 10 月~ | 平成 33 年4月~ | 1200万円 | 700万円 |
⑵ 住宅資金非課税限度額
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結帰還 | 耐震等 | 左記以外の | |
現行 | 改正案 | ||
平成 28 年 1月~ | 平成 28 年 1月~ | 1200万円 | 700万円 |
平成 29 年 10 月~ | 平成 32 年4月~ | 1000万円 | 500万円 |
平成 30 年 10 月~ | 平成 33 年4月~ | 800万円 | 300万円 |
3 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例の適用期限を平成33年12月31日まで2年6月延長することとする。(租税特別措置法第70条の3関係)
4 その他所要の規定の整備を行うこととする。
第四 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正
(第4条関係)
1 東日本大震災の被災者に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の適用期限を平成33年12月31日まで2年6月延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第13条の2関係)
2 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、その非課税限度額に係る住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間を次のとおりとすることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第 38 条の2関係)
⑴ 特別住宅資金非課税限度額
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結帰還 | 耐震等 | 左記以外の | |
現行 | 改正案 | ||
平成 28 年 10月~ | 平成 31 年 4 月~ | 3000万円 | 2500万円 |
平成 29 年 10 月~ | 平成 32 年4月~ | 1500万円 | 1000万円 |
⑵ 住宅資金非課税限度額
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結帰還 | 耐震等 | 左記以外の | |
現行 | 改正案 | ||
~平成 31 年6月 | ~平成 33 年12月 | 1500万円 | 1000万円 |
3 その他所要の規定の整備を行うこととする。
第五 施行期日
この法律は、公布の日から施行することとする。(附則第1条関係)
軽減税率については大いに議論されました。軽減税率のものは8%に据え置き、対象品目は、酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)となっておりますが、その飲食料品においてもさまざまな議論があり、選別が難しくあります。おもちゃ付きのお菓子はどうだとか、テイクアウトと言いながらそこで食べたらどうなるんだとか、どうでもいい議論になっていました。
一応、ここで列挙しておきます。
●軽減税率(「外食」に当たらない)
牛丼屋・ハンバーガー店のテイクアウト
そば屋の出前
ピザ屋の宅配
屋台での軽食(テーブル、椅子等の飲食設備がない場合)
寿司屋の「お土産」
コンビニの弁当・惣菜(イートイン・コーナーのある場合であっても、持帰りのため の容器に入れられるなど持帰りとして販売される場合は 「軽減税率」を適用)
(注)店内飲食の場合にも、持ち帰りのための容器や袋に入れるような 場合には、顧客に対して店内飲食か持ち帰りかの意思確認する などして、軽減税率の適用対象となるかを判定。
有料老人ホームでの飲食料品の提供や学校給食等
●標準税率(「外食」に当たる)
1.外食
牛丼屋・ハンバーガー店での「店内飲食」
そば屋の「店内飲食」
ピザ屋の「店内飲食」
フードコートでの飲食
寿司屋での「店内飲食」
コンビニのイートインコーナーでの飲食を前提に提供される飲食料品
(例: トレイに載せて座席まで運ばれる、返却の必要がある 食器に盛られた食品 : 顧客への意思確認により、イートインコーナーで飲食させるものとして提供された食品)
2.ケータリング・出張料理等
この軽減税率についても延期する法案ですが、二年後の実施までになんとかこれを導入させず、給付付き税額控除にしようというのが民進党の狙いです。給付付き税額控除は、マイナンバーによる所得捕捉を前提として、必要な人に必要なだけの額の所得補償を行なうものです。