12月19日、議員や知事などの期末手当増額条例については、自民党と公明党等を除く多くの会派が反対しました。しかし、職員の給与増額条例については、反対したのは私だけでした。私の反対討論、間違ってますか。( )内は、10分の時間制限のため省略した部分です。

 

   問題は職員の給与増額条例ですが、以下の理由で反対致します。

   議長の許可を頂いた資料ですが、バブル崩壊前後の2~3年、確かに民間の正社員給与の方が国家公務員よりほんのわずかですが多い。その後は横ばい。公務員給与は右肩上がりであることが分かります。縦の線は、私が書いたもので、赤い線は調査対象が100人以上の企業から50人以上に変わった2006年4月を、青い線は民主党に政権が変わった2009年9月を指します。

   国税庁は、毎年9月末に前年の民間給与を発表していますが、県民の給与は教えてもらえません。不都合な真実でもあるのでしょうか。分かりませんので国税庁の数字を使いますが、昨年の平均給与は458万円で正社員に限定すると523万円。県職員の平均給与は693万6千円ですから1.51倍、正社員と比べても1.33倍で民間よりはるかに多い。

 公務員給与が高すぎる、民間の給与実態を正確に反映していないということで、平成18年に、調査対象となる民間企業の規模が100人以上から50人以上に変更されました。17年の県職員の平均給与は756万7千円。18年は751万4千円で5万3千円少なくなりましたが、民間給与も436万8千円から434万9千円と1万9千円少なくなっており、実質3万4千円しか削減されていないことになり、削減率はたったの0.45%に過ぎません。これで改善されたといえるでしょうか。

 第一次安倍内閣で内閣参事官、菅内閣で内閣官房参与を務めた元財務官僚の高橋洋一嘉悦大学教授は、データに基づいて政策を提言することで定評のある方ですが、8年前、「国税調査を基に計算すれば、公務員給与は、本来は15%ほど減額しなければいけないことになる」と言っています。

   調査対象が100人以上から50人以上に変更されたのに、なぜ微々たる削減にとどまったのか。それは、裏の基準とも言うべき事業所も50人以上という要件が変わらなかったからです。50人の企業規模があっても5人や10人の支店や工場は調査対象になりません。結局100人の支店や500人の工場が対象になり、事実上大企業のしかも正社員の平均給与をもとに計算されているからです。

   高橋教授も「本来であれば、国税庁が調べている1人以上の事業所の給与実態のデータを基準に使うべきだ」と言っています。だのに、何故無駄な税金を使って都道府県人事委員会に調査をさせているのか。ひとえに公務員給与を吊り上げるためとしか考えられません。

   100人以上から50人以上になって表向きは大きく変わったように見えますが、実態は変わっていないも同然です。国民を愚弄している、はっきり言えば騙していると言わなければなりません。制度設計をした官僚は勿論のこと、国会議員も審議の過程で分かることであり、分かっても多額の議員報酬と官僚の協力が欲しいため放置する。公務員労組も分かっていても既得権益を守りたいから黙っている。政・官・労のもたれあい、お手盛り状態と言わなければなりません。自分たちのことしか考えず、国民のことを考えない。関係者、特に最終決定権を有する国会議員の怠慢には「恥を知りなさい、恥を」と声を大にして言いたい。

   2009年総選挙、民主党は国家公務員の総人件費2割削減を掲げていましたが、3年3か月の政権期間中に実現しなかった。公務員労組の支援を失うことを恐れたからと言われます。その後、日本維新の会がやはり2割削減を掲げています。私の単なる独り善がりでないことを分っていただけると思います。

   こういう話をすると、公務員叩きはやめろと言う人がいます。しかし、数値を見れば明らかなように、実態は逆で、議員も特別職の公務員であり、公務員による非公務員叩きが真実です。

 政治の使命とは何か。国を守り治安を維持することだけではありません。憲法25条にあるように、すべての人に人間らしい生活を保障することにあります。(今、三食も満足に食べられない人が大勢います。夏休みや冬休みには給食がなく体重が減る子もいます。今議会でも4人が介護の問題を取り上げていましたが、議員や職員の報酬・給与を削減すれば、低すぎる介護職員の待遇改善にも充てること出来るではありませんか。

 県人事委員会は、10月民間企業との賃金格差是正や人材確保のためとして、引き上げを勧告しました。しかし、賃金格差是正とは職員給与を上げることではなく、削減することです。

   人材確保についても、多少給与が安くても、倒産やリストラもなく身分が保障されており、県民や国民のために尽くしたいという人は大勢います。民間企業すなわち税金を納める側にも優秀な人材は必要です。そして、勧告は尊重しなければなりませんが、法的拘束力があるわけではありません。以前鳥取県の片山善博知事は、勧告に従わず給与削減を行った例もあります。)

 かつての自民党は、富の再分配を心掛け一億総中流社会を実現しました。県も税の公平な再分配を心掛け貧困や格差のない千葉県を実現して欲しい。因って、反対致します。