ロシアのウクライナ侵攻を受けて、はや1年3か月になろうとしている。しかし、収束の目途もなく各国を巻き込んで長期化の様相を呈し、さらに激化も懸念されている。今必要なことは一刻も早く停戦し、罪もない多くの市民や兵士、ロシアの兵士の命を救うことである。

 

  5月19日から3日間、広島では先進7ヶ国首脳会議が開催される。足並みをそろえてウクライナを軍事支援し、経済制裁などロシアへの圧力を強めようとしている。日本も、両国を仲裁して停戦協議に動くのではなく、戦争当事国の一方に全面的に肩入れしている。

 他方、中ロは軍事演習などの協力強化で一致し連携を強めており、中国からロシアへの武器供与の可能性も指摘されている。

 分断と対立が深まるだけであり、戦況が更に悪化すればロシアとNATOが直接対決するヨーロッパ戦争に発展しかねない。

 人類の悲願である世界平和を維持するにはどうすればよいのか。人類の知恵が試されている。

 

 日本の英智ともいうべき自民党の二人の元首相が同じことを訴えている。石橋湛山と宮澤喜一である。

   政界を引退していた湛山は、1968年「日本防衛論」で、「世界に対しては、国連を強化し、国際警察軍の創設によって世界の平和を守るという世界連邦の思想を大いに宣伝し、みんながそれに向かって足並みをそろえるよう努力する以外に方法はない」と述べている。

   また宮沢は、1991年総理になる半年前、月刊Asahiに「国連の常設軍が創設されて、イラク軍がクウェートに侵攻したような事態に対して、国連の意思により国連の指揮の下に出動し、世界の平和と秩序を回復する。そして、平和憲法を持つ日本はその推進者として各国の先頭に立つべきだと信じる」と述べている。

   今こそ集団的自衛権に代わる国際機関による集団安全保障体制を構築すべきと考える。