一年前、岩波書店から出版された「評伝 福田赳夫」を購読して、福田赳夫元首相は、日本は「軍事大国」の道を歩まず「平和大国」の道を歩むべきだと一貫して主張されていたことを知り、大変感銘を受けました。

   福田元首相は、1977年のいわゆる「福田ドクトリン」で、経済的成功によって国際的地位を向上させた日本は、「軍事大国」の道を歩まず、「平和大国」の道を歩むべきだとしました。高い工業生産力や技術力を有するにもかかわらず、日本が「平和大国」に徹することによって、世界的な軍縮や平和の維持に大きな役割を果たし得るとかんがえたのです。

 保守本流には二重の意味があります。一つは、吉田茂元首相に連なる人脈の系譜であり、もう一つは日米基軸の下で軽武装、経済優先を重視する戦後日本の平和的発展路線です。

 福田は、池田勇人元首相の誘いを断って岸信介元首相と行動を共にしましたが、政治路線については言えば保守本流そのものです。日米基軸を前提として丁寧に協議しつつ日中平和友好条約を結び、日本外交を平和的に全方位化しようとしました。

 

 それから早や45年。2月にロシアがウクライナに侵攻しましたが、国連は平和維持の機能を十分果たしていません。それは、常任理事国の一つで当事国でもあるロシアが拒否権を行使するからです。その為、国連改革が叫ばれるようになりましたが、これとて5常任理事国に拒否権がある以上限界があります。

 そこで、宮沢喜一元首相が提唱した国連常設軍の創設を、唯一の戦争被爆国で平和憲法を掲げる日本が主導する。これとて反対する常任理事国が一国でもあればできなくなります。その場合は、賛同する国々で石橋湛山元首相が提唱した国際警察軍の創設し、それをベースに世界連邦を創設する方向で日本が先頭に立って努力すべきであると考えます。