3 千葉県議会議員である原告に対する侮辱行為(蔑視行為)

(1)  本件立法の不作為は、以下述べるとおり、千葉県議会議員である原告を含めた地方議員を蔑視するものであり、議員として活動する原告の職種に対する侮辱行為である。

(2)  既に述べたとおり、国会は2000年に政務調査費制度を立法し、2012年には政務活動費と改正立法を行った。その結果、地方議員は、地自法100条14項に基づき政務活動費を助成されているが、同条15項及び関連条例に基づき毎会計年度単位で年間の収支報告書を提出し、その使途を明示する領収書等を添付して使途を説明する義務を負担している。地自法100条16項の「議長は、第14項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めなければならない。」と定めたのは、外ならぬ本件国会議員らの先輩である。

 ところが、当時の国会議員らは、上記地自法改正の際自ら省みて本件文通費についても同様の措置を採ることが可能であったにも拘わらず、そのような行動に出ず本件特権的待遇を温存した。本件国会議員らもその経過を引き継ぎ、自らの「文書発送費」、「通信費」、「交通費」及び「滞在費」については、領収書等使途を説明する資料の提出を不要とする本件特権的待遇を温存し、本件立法の不作為で対応し、その透明性の確保をしようとしていない。

(3)  何故、本件国会議員らは、地方議員に対しては厳しく「使途の透明性の確保」を求めながら自らは本件立法の不作為という対応をしてきたのか、その理由は以下のとおりである。

本件国会議員らが地方議員に対し上記対応をしているその動機は、前記選挙民に対すると同様に、本件国会議員らの特権的意識である。即ち、本件国会議員らは、選挙で選任された政治上の選良(エリート)であるだけであるのに、このことを超えて人格的にも地方議員の一段上位の選良であると錯覚し、自らの「文書発送費」、「通信費」、「交通費」及び「滞在費」については、傲慢にも地方議員に課した「使途の透明性の確保」は不要としても許されると考え、本件特権的待遇を温存し放置してきたのである。政務調査費・政務活動費が立法された当時の国会議員もこれを引き継いでいる本件国会議員らも、自らも襟を正さなければならない状況において、地方議員に対してのみ「使途の透明性の確保」を求め自分たちの本件特権的待遇を温存し放置しているのは、特権的意識の下で傲慢で地方議員を蔑視しているからである。

(4)  この本件国会議員らによる地方議員の蔑視は原告を含め地方議員に対する侮辱行為であり、それは原告に対する不法行為である。