第4 不法行為事実

1 国会議員610名による改正立法の不作為

(1)  前記のとおり、2021年10月3日現在の参議院議員数は242名である。そうすると、2019年8月1日議長に就任した山東明子議員をはじめとするこれら242名の参議院議員は、その在任期間中、本件特権的待遇を受ける一方、領収書の提出義務等を法制化してこの状態を改善しようとせず、本件特権的待遇を温存し放置してきた。

(2)  また、前記のとおり、2021年10月31日施行された衆議院選挙によって同年11月10日現在総数465名の衆議院議員が誕生したが、このうち97名が新人であることから、再選された議員は内閣総理大臣である岸田文雄議員をはじめとする368名であるが、これら368名の衆議院議員もまた、その在任期間中、本件特権的待遇を受ける一方、領収書の提出義務等を法制化してこの状態を改善しようとせず、本件特権的待遇を温存放置してきた。

(3)  以上によれば、2021年10月3日現在の山東明子議長をはじめとする242名の参議院議員及び2021年10月31日施行の選挙によって再選された岸田文雄内閣総理大臣をはじめとする368名の衆議院議員、以上合計610名という圧倒的多数の国会議員(以下、これら610名の国会議員を「本件国会議員ら」という)は、その在任期間中、本件特権的待遇を受ける一方、領収書の提出義務等を法制化してこの状態を改善しようとせず、故意又は過失により、本件特権的待遇を温存し放置してきた。以下、この温存・放置行為を「本件立法の不作為」という。

 

2 国会議員610名による不法行為その1(納税者に対する侮辱行為)

 本件国会議員らの本件立法の不作為は、共同不法行為として、後述のとおり納税者に対する侮辱行為に該当し、納税者である原告もその被害者の一人であり、後述のとおり損害を蒙っている。

 なお、「侮辱」とは、人を「あなどり、はずかしめること」(広辞苑、1991年第4版第1刷)である。

 

3 国会議員610名による不法行為その2(選挙民に対する侮辱行為)

 本件国会議員らの本件立法の不作為は、共同不法行為として、後述のとおり選挙民に対する侮辱行為に該当し、選挙民である原告もその被害者の一人であり、後述のとおり損害を蒙っている。

 

4 国会議員610名による不法行為その3(地方議員に対する侮辱行為)

本件国会議員らの本件立法の不作為は、共同不法行為として、後述のとおり地方議員に対する侮辱行為に該当し、千葉県議会議員である原告もその被害者の一人であり、後述のとおり損害を蒙っている。

 

5 被告の国家賠償法上の責任

 本件国会議員らは国家賠償法1条1項の「国の公権力の行使に当たる公務員」であり、また本件立法の不作為は本件国会議員らの職務を行う際の行為であり、本件国会議員らが故意又は過失により本件立法不作為により違法に原告に対し損害を加えているから、被告は、国家賠償法1条1項に基づき、原告に対しその損害を賠償する責任がある。