私は、船橋市選出千葉県議会議員の西尾憲一と申します。県議の海外視察、ビジネスクラス航空運賃が職員のエコノミークラスの約5倍というのは、憲法14条1項(法の下の平等)等に違反するので差額を千葉県に返還することを求め、昨年7月31日に住民訴訟を千葉地裁に提起いたしました。コロナ禍で遅くなりましたが12月17日に結審し来年3月に判決が出るものと期待されます。

 

  その判決が出た後、議員特権廃止の第2弾として、国会議員の文書通信交通滞在費(文通費)を違憲として行政訴訟を提起しようと考えていたところ、10月31日の衆院選で当選した新人への文通費が僅か1日なのに10月分として100万円が渡されたことに世論の批判が高まっています。

  自民党と野党第一党の立憲民主党が、在職日数に応じて日割りで支払うことで合意したため、12月の臨時国会で歳費法が改正される見通しとなっています。活動実態に合わせて支払われるべきであり日割りは当然と考えます。

 

  問題は、私ども都道府県議会、市区町村議会の議員は、年に一度政務活動費について領収書の写しを添付して報告書を作成し公開しなければならず、また残金があれば自治体に返還しなければなりません。

  ところが国会議員の文通費は、領収書の写し添付も公開の義務もありません。その上残額があっても返還する必要はなく、そのため「第2の給与」とも言われますが、所得税も課税されていません。

   文通費は、公費即ち国民が額に汗して働いて納めた税金が充てられます。家庭が貧しくて修学旅行にも行けない高校生や満足に食事も摂れない母子家庭等が大勢います。国会議員だからと言って公費の無駄遣いや不労所得が許されることがあってはなりません。

 

   政務活動費は、県政の課題及び県民の意思を把握し、県政に反映させる活動その他の住民福祉の増進を図るために必要な活動(政務活動)に要した経費です(千葉県政務活動費の交付等に関する条例に基づく政務活動費の手引き)。文書通信交通滞在費とは名称も根拠法令も異なりますが、立法趣旨も使途も大部分が共通しています。

  そのため、地方議員の政務活動費(千葉県議は月40万円)と比べて国会議員の文通費は、金額が多いのはそれなりの合理性が認められるとしても、政務活動費同様①領収書の写しの添付と②使途の公開、③残額の返還を義務付けなければ、余りにも優遇され過ぎ不公平・不平等であると言わざるを得ません。地方議員には厳しい要件が課されているのに国会議員には課されない合理的理由がありません。

 

   因って、12月臨時国会でこれらの諸点も併せて歳費法改正がなされなければ立法府・国会には自浄能力がないものとして、衆参両院の議決を経て手続的形式的には合法でも実質的内容的に憲法14条1項(法の下の平等)等に違反していると解されますので、東京地裁に訴え司法の判断を求める方法がないものか検討したいと考えます。