平成25年10月22日(火)、第三回「年の差女子会」を開催致しましたキラキラ


今回の女子会、翻訳会社社長で、ご自身も長年産業翻訳に携わってらした櫻井美紀子さんを囲んでの女子会でした。


櫻井さんは、昭和62年ドイツ語科卒業。 「ちょうど皆さんのお母さんくらい」 なんて仰ってましたが、お子さん達が20歳前後ということですから確かにその通り。 本当に外語大OGはカッコイイ女性が多くて驚きます。


現在のお仕事内容は、ご自身の翻訳はIRCSR (後で説明します) の関係が大半で、日本語から英語への翻訳。 コーディネーターとしては、英・米・豪人の翻訳者さんを抱え、お仕事を発注してご主人がチェックしてクライアントさんへ納品とのこと。 登録の翻訳者さんとも、発注元の企業担当者さんとも今はほとんどメールのやり取りだけで済むのでお顔を見たり、電話で話したりということがなく、孤独といえば孤独な作業だそうです。



IR (Investor Relations) とは、企業が株主や投資家に対して、財務状況など投資の判断のための情報を提供していく活動のこと。 上場企業のHPには大抵ありますから覗いてみて下さい。 英文を用意している日本企業も沢山あります。


CSR Corporate Social Responsibility) とは、企業の社会的責任のこと。 企業が自社の利益追求だけでなく、社会へ与える影響にも責任をもち、あらゆるステークホルダー (利害関係者:消費者、取引関係先、投資家等、及び社会全体) からの要求に対して適切な意思決定をするということです。 企業の慈善事業だけを意味するのではありません



東京外語会 平成の会 櫻井さんのご経歴を簡単に。

外語大を卒業後、東芝に入社。 総合企画部に三年間勤務後、退職。同じ会社で出会ったイギリス人のご主人と東南アジアを放浪。 英国で結婚後、現地の英語学校に入学。 Cambridge Certificate of Proficiency in English (CPE)取得。 帰国後、インベスターリレーションズ(IR)専門企業に就職。 1991年にご主人と翻訳会社を設立、現在に至る。 お子さんお二人。



(↑当日の様子。座談会なので毎回こんな感じで写真は地味です。)



新卒で皆さんご存じの大手家電メーカーの総合企画室に配属。会社の根幹で経営方針などを決める大切な部署。男女雇用機会均等法施行直後に偉い人が沢山いる男ばかりのそんな部署に新人で配属。 朝に複数の新聞をチェックして主に国内外のマクロな経済の記事を切り抜いて上司に見せるためにまとめるお仕事等、後になって考えたら産業翻訳に大事な経済の基礎知識を働きながらに詰め込んでいた訳です。



3年勤めて退職。 東南アジア放浪の後、英国の語学学校へ。 帰国してIR専門企業に就職。 でも3カ月で退職。というのも、この時ご主人に定職がなかったので、じゃあ会社を作っちゃえ!ということでお二人で起業。 でも起業から一年は開店休業状態で、櫻井さんが夜に家庭教師に行ったり、ご主人が英語の先生をやったりと、アルバイト生活だったそう。 が、ある時から急に仕事が入り始めたそうです。 当初は輸出用テレビのカタログの英訳をやったりしていたのが、徐々にIRCSR関係が多くなり今ではそちらが大半とのこと。 企業のHPを見ると大体ある 「投資家の皆さんへ」、 「社長からのメッセージ」 といった文章のことですね。 お金の出入りや企業のイメージに関わる大切な文章ですよね。 翻訳業界で、産業翻訳の占める割合は8090%でしょうとのこと。 映画、テレビの字幕や小説などの文芸翻訳は全体の比率からするとすごく少ないんですね。


今日本にある翻訳会社、大きいところもあるけれど小さいところが多数あり競争は激しくなっているそうです。今やインターネットの普及のお陰で海外の翻訳者とも競争しなくてはいけない時代。ギャラの支払いもPayPalを利用すればインターネットで面倒なくできるので本当に翻訳者がどこの国にいてもいい時代だそうです。


また、トラドス等の機械翻訳も普及してきており、海外向けカタログ等の分野では既に強力なライバルとなっているようです。機械を利用しての翻訳はクライアント企業が単価を安くするメリットがあります。 即ち、翻訳者さん達の翻訳単価 (1語/1文字当たりの料金) が減ってしまうということ。 ただ、櫻井さんに伺ったら日本語の特殊性に救われて、現状上手く導入が進んでないそうです。 今後どうなるやら。

さて、今回も年の差女子会では学生の皆さんから質問を沢山頂き櫻井さんに答えて頂きました。



(後半へ続きます)