4月も中盤を過ぎ、すっかりニューヨークも春らしく暖かくなってきました。
アメリカでは、夏休み前に後半の春学期が終わるため、
4年生は、夏から会社へ入る、就職ということになります。



アメリカでの就職活動ですが、学校が終わってから始めると思っている人もいますが、
実はアメリカでも4年生の後半から始める人もたくさんいます。
日本で言えば、4年生の秋から就職活動を始めるということになります。
3年生の冬から就活をする日本の学生にとっては楽でいいな、と考えるかもしれません。



東京外語会 平成の会



ところが、こちらにいるアメリカ人の大学の友人から話を聞くと、
実は、いわゆる日本の新卒に当たる初めて社会人になるアメリカの学生にとって、
就職活動はとても厳しいものだと感じます。



なぜなら、アメリカの会社は、短期観測・実力主義・学歴重視だからです。
雇用の制度や文化から、日本のように長期で人材を育てるという考えがないため、
短期で成果の上げられる人材を求めます。
仕事に対する経験や知識がすでにあって、すぐに仕事ができる人しか採用されません。



また、仕事を手にしても上の仕事に就くために
会社で学ぶのではなく、またMBAなどで学校で戻って
お金を払って学び、その資格を持って上の地位として
他の会社に入る、ということが必要になるときもあります。



そのため学生は、就職活動自体はしていなくとも
その前にインターンをすることがほぼ必須で、
そのインターンも就業体験という甘いものではなく、
仕事をさせながら覚えさせて適性を見ながら企業側が採用するかしないかを定める
いわばOJT+採用プロセスそのものです。
大学のキャリアセンターには、就職先の案内よりもインターンの案内で占められています。



経済的な問題を抱えている学生は
無給のインターンに参加することは大学を続けることまでも難しくさせるため、
貧富の格差がより広がっているとも考えられます。




やる気や可能性といった「潜在」能力だけで会社には入れません。
アメリカの履歴書は、日本のように趣味や特技を入れる部分など無く、
1.この仕事をやりました
2.この能力があります。
の2点のみを淡々と書くいわば職務履歴書のようになっているため、
職歴のない学生の書類でやはり問題となるのは学歴です。



私が派遣されている大学は、東京外国語大学の提携校であるストーニーブルック大学、
世界でも東大と京大のみが入る100位以内にランクインしていますが、
それでもハーバードやMITといった数々の大学がひしめくアメリカでは、
100通の書類を送った友人も企業から返事をもらうという段階から
2,3通の返事しか来ていないとのことでした。



日本も雇用制度の改変や経済的な要因、移民政策の変化などで
企業が短期的に見るようになれば、
将来的には「新卒採用」が死語になるかもしれないと肌で感じます。



今回は以上です。
さて、8月よりニューヨークに留学へ来てから8ヶ月が経とうとしています。
2学期もそろそろ終わりに近づき、あと1ヶ月ほどで帰国となりました。
この連載もあと残り1,2回の掲載となりそうです。


毎度読んで頂きありがとうございます。





担当 佐野 (英語科)
heiseinokai@gaigokai.or.jp
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