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SS 『聖人来りて、夢落とす』 中編 その2 SIDE-A

殺人鬼

平気で人を殺す残忍な人間を、鬼にたとえて言う語(言葉)。

ともすれば、蒼き殺人者、深戒櫃代には最も当てはまらない言葉といえる。

間違った語法といえよう。彼は平気で人を殺すこともなければ残忍でもなく、鬼にたとえられるような人間ではない。


人を溺愛し、命に信仰を持ち、心は傷つきやすく、誰よりも・・・・、この地球上の誰よりも他者の幸せを渇望し続ける。


その優しさは


聖者のように厳格でなく、為政者の様に大義に基づかず、神のようにより好みしない


むしろ、子供のように純粋で、どこにでも転がっているようにありふれていて、無差別に絶対的に適応される。


ある者から見ればひどく偽善的で、綺麗事で、間違いなく非生産的な善意―つまりは理想主義的。


多くの人を救済することに主眼を置いているのではない、全ての人を救済することに主眼を置いたその視点・・・・それは最悪の結果をもたらしかねない、ひどく危うく幼稚な思想。


彼は自分の理想の欠点や矛盾をすべて理解したうえでその御旗掲げ続ける。


彼の人間に対する愛は、それほどまでに絶望的なものなのだ。



そんな彼は終末的なまでに殺人鬼。

殺人鬼の中の殺人鬼。どうしようもなく終わっている。

それは彼の業であり、イザナミにかけられた彼への呪い(愛)でもある。

彼の行動はすべて善意だというのに、必ず彼の周りで人が死ぬ。

彼の善意は人を殺す。自動的に殺してしまう。しかも、その原因はすべて彼自身(自己の根源)にあるのだから、言い訳はできない。

彼の想いにかかわらず、彼がために人は死に、彼を傷つけて消えてしまう。


そういう屍の山の上で、黄昏時に、たった独りで泣いて立っているような怪奇現象(イキモノ)だ。


深戒櫃代は、殺人鬼。世界で一番優しい殺人鬼。

世界人口68億を、たった一言で11億減らし、

宇宙の真理(神)を、

集合的無意識(神)を、

アカシックレコード(神)を、

絶対的法則(神)を、

ヤハウェ―我は在る―(神)を、

αにしてωを(神)

存在肯定概念(神)を、



たった一言で殺した絶対無比の『言葉』で殺す殺人鬼・・・・・・・・・・だった・・・・・・。



―2008年12月31日、一人の少女の犠牲のもとに『くるりくるり』と世界が反転したあの日までは・・・・・。



「どおぉするんですか!!!こんな長ったらしいKuRU/KuRU的(厨二病っぽい)モノローグなんか入れてッ!!!

月猫は残念ながらコメディです!!!」byみゃあ



◆ ◆ ◆

――――――――――以下、本編です。




現出したのは髪の青い青年だった。

「?いつかの未来視の少年じゃないか」

と、何事もなかったように語りかけてくる―は、とりあえず無視をしておいて。

「こら、駄目じゃない、アルちゃん。不思議な事(お伽噺)に詳しい人を呼ぶのであって、不思議な奴(怪奇現象)は呼ぶ必要はないのよ」

「そうそう、ジャンルがコメディからホラーに変わっちゃ意味がないだろ?」

「呼び出しといて、いろいろひどいな君ら・・・・」

正樹はいつものこととして、尊のこの扱いは異例といえる。

それほどまで、この青い髪の青年―深戒櫃代―を厄介な存在なのだ。

「ううぅ・・・でも、この人が詳しい事は確か。・・・適任。」

「こいつ・・・なんだ?」

輝樹が未だに身構えたまま、聞いてくる。

「ああ、輝樹は知らないんだったっけ?前にも行ったろ?お前が休んだ高校一年の社会科見学、京都行った話したじゃないか。あっこであった『怪異崩し』ってやつ。本人自身が怪奇現象(都市伝説)みたいなもんなんで、正直、本末転倒な奴だが。とにかく『喋りさえしなければ』そこまで危険じゃない・・・とは、いや、どうだろうな。」

「『喋りさえしなければ』って、すでにものすごくしゃべっておられるようですが?」

と、みゃあの疑問は当然である。

すると、正樹は携帯電話を取り出し、カメラに付属された録音機能を起動させる。

「なんだ、お前たち、人を勝手に呼び出しておいて。これでも、僕は学生やってる君たちとちがって、まぁ暇でない・・・・・とはいわないが、・・・・・とにかく、暇じゃないんだ。瑠璃ちゃんから、いつ仕事の話が回ってくるかわからないから、誰でもいいから早く返してくれるか、電車代くれないか?って、聞いてないな」

と、櫃代は要求するが、どうやら、誰も聞いてない。

輝樹だけが、櫃代を警戒して睨みつけているが、他は正樹の携帯電話に注目していた。

正樹は携帯電話に『先ほど録音した音』を再生させる。


そこには・・・・『何も音のようなものは入っていなかった』。


アルは、ぞくっと身震いし、尊は顔をしかめたが、みゃあは???をポンポン出していまいち理解していない。


「ん?正樹さん。何をきかせたいんですか?」

みゃあが、そういうと、正樹はため息をつく。

「むしろ、何も聞かせられなかった事が、問題だろ?さっきまで、そいつ喋ってたはずなのに、俺たちにはそれが聞こえていたはずなのに、『この携帯電話の録音機能には一切のそいつの音声が記録されていない』。つまり、そいつは喋ってないんだよ。口パク、喋ってるふりをしてるんだ。」

「それじゃ、そもそもわ私たちに聞こえないじゃないですか?」

「で、僕は何で呼び出されたんだ?ってやっぱ聞いてないな」

「それに関しては・・・私わかる。輝樹が本能的に警戒するのも・・・・納得。彼の問題は、おそらく情報伝達能力の異常な高さ・・・・・」



「そうか?さっきから無視の度合い酷くなってないか?」



「彼が、伝えようと考えるだけでおのずと発生する『その所作、口の動き、表情、雰囲気』そう言ったものを感じただけで具体的な形で、彼の意志が私たちに伝わってしまう、だから聞こえる。それほどまでに、『彼の言霊(意見)』は私たちの脳への影響力が強いということ。

つまり、普通に言葉を話した場合、彼の言葉にはだれも逆らえないということ。

しかし、催眠術やマインドコントロールよりはるかに危険。

何故なら、彼の場合、その支配領域が世界の構造にまで及ぶ、コンピューターで言うなら、強制的にコードを塗り替えられているようなもの。彼のふとした言葉が、現実になる可能性さえある。いえ、彼の言ったことがすべての事象の真実になりかねない・・・恐ろしく危険・・・・・言霊使い、それもバベルの塔崩落以前の統一言語(神代の言葉)を無意識に使用している」

「ごめんなさい、何を言っているか月猫にはさっぱりです」

「簡単に言うなら、彼は宇宙の意志にさえ通じるような言語を使って、出まかせさえも本当にする能力を持っている。彼が神はいないと言えばいなくなり、彼が黒いものを白だといったなら、宇宙中全ての黒いものは白くなる。仮にその言葉に矛盾が生じたとしたとしても、彼の言葉を基準にして矛盾がないように過去も未来も法則さえも修正される。」

「もっと簡単に」

「深戒櫃代(かれ)の言う事は絶対」

「なんか、王様ゲームみたいな人ですねぇ~」

と、みゃあの表現は気の抜けたものであるが、その実、的(まと)を得ていた。

実際の王様ゲームと違う所は、何度引いても、王様は深戒櫃代(かれ)にしかならない、絶対王政であるという事くらいか。

「で、話は終わったか?」

振り返れば、世界を終わらしかねない危険人物は、勝手に台所から和菓子とお茶を出して、暇を持て余していた。

「何勝手にくつろいでんだよ!」

「ああ、これが宮城銘菓、萩の月。カスタードなんて邪道と思ってたけど・・・・うん、いける」

「食うな、公式チートッ!!!」

気がつけば、来客用にストックしておいた和菓子が三箱ほど開けられていた。その三箱目も、もはや、残り二個。おそらく、あれが浅茅家の菓子備蓄の最後である。

地方銘菓って、無駄に高いのに・・・・・。請求書は瑠璃探偵事務所(彼の雇い主)の方へ送りつけたほうがいいのだろうか?

「ふぅ、まぁ何だっていいさ。

呼び出したのはそっちだろう?

帰れというなら、そりゃ帰るけど。

こっちは突飛な交通機関で連れてこられたおかげで、この通り無一文なんだ。

せめて、送還するか、帰りの交通費を貰わなければ、こっちとしては割が合わない。僕としたって、わざわざ移動なんかでこんな危なっかしい言霊(モノ)を使いたくない。ヘタに使って、宮城県が京都府の上空に転送なんて笑えないだろ?」

冗談のつもりだろうが、それもあり得る冗談である。微細なコントロールはつけれるらしいが、彼が失敗する可能性だってあるのだ。なにしろ、この男、前科がある。


なによりも、本人がそれを恐れ、今のように『一言もしゃべらない』ほど、割の合わないことなのだ・・・・・『彼の力(言霊)』を使うという事は。


「それは、・・・・・駄目。

召喚においては、顕現自体は本来目的を達成させるための一過程に過ぎない。権限させた相手は私の目的を達成するまで帰れない。

目的が達成されるまでが一連の召喚という行為そのもの。

だれも、歩くという行為を歩き始めてから止めることはできない。

もし止めてしまったら歩くという行為ではなくなって・・・・・しまう・・・・」

と、アルテミスは申し訳なさそうに言う。

「なら、もう一度だ。アルテミス。今度はさらに、イメージの中に無害なイメージを付け加えてくれ」

失礼だな、と、深戒は呟くが、まぁ、間違いないけどとも、最終的に納得する。

「もう一度召喚?うぅ、わかった・・・・召喚(サモン)!」

三度目の正直である。

アルテミスの頭上に展開する魔方陣。

そして、またもその中央に黒い穴。

(頼む、今度こそは、部屋の隅で『の』をひたすら量産し続ける意味不明や、今も、台所で甘いものを物色し続けている危なっかしい怪奇現象とは違うまともなものを!!!)

一同のそういった願いをしたかどうかはさておき、そろそろ話が進展しないとだるくて読んでられないのは確かである。


ポンっ


そして、現れたのは、


着物姿の幼い少女だった。


「ん?ぞ?なんだここは?髪削ぎの儀の失敗か?と・・・そこにおるのはいつぞやの青い髪の者ではないか?そなたの仕業か?」

年のころ小学校低学年、どうみても1、2年くらいの少女というより、幼女が、その年に似つかわしくない言葉で、あたふたときょろきょろしながら慌てふためいている。

どうやら、先程呼び出した、深戒の知り合いではあるようだが。

「これはまた、随分とちっこいのが出てきたな。」

「どちらかというと。サンタクロースについて、いろいろで知ってしまう頃合なんじゃ・・」

尊が、サンタクロースについて色々と知ってしまったのはこのくらいの年なのだろうか?だとすれば、随分と早く夢と希望を失ったことになる。まぁ、浅茅兄弟は、生まれたころから夢も希望も認めない少年時代を送った灰色ブラザーズなので、それを憐れむ様子もないが。
「にゃ~!なんですか!この子、ちっちゃいです!可愛いです!ちょうちょう可愛いです!!地球猿もちっちゃい頃はみんなこんなに可愛いものなのですか!?抱きついちゃいます!ハグしちゃいます!」

「?え、なに?わわ、なんだお前は?猫耳!?怪猫の類なのか?やっ、ちょ、んもぉ、きやすくさぁわぁるなぁ~!!やぁ~だぁ~!」
小さな四肢をぱたぱたさせて嫌がる姿ですら可愛いい。駄目だそれは、今のみゃあには火に油である。より一層じゃれつき始める。

「・・・・・・」

ふと気がつけば、尊が何かにじっと耐えていた。無理もない、生来の可愛い物好きである、そこにあんな核爆弾を落とされたら、耐えられるものではない。正樹の手前必死にこらえているが、本来ならば、一刻も早くみゃあに交じって、あのかわいい生き物に抱きつきたいに違いない。

「お名前はなんて言うんですか?うりうり、ほっぺたちょうやわらかいです。髪もどうやったら、こんなにきれいになるんですか?うひゃあ、さらさら!!」

「名前は、弦侯堂 流(げんこうどう ながれ)である。今年で七つだ。もぉ、やめろぉ。せめて、ほっぺたをいじるか、髪をいじるかどっちかにせよ。さすがに困るぞ。」

「ほら、みゃあ、離れろ」

「にゃぁ~ん」

と、正樹がみゃあを引っぺがす。

「ひどいぞ、深戒殿、京都と神戸であるのだから電話一本でよいであろう?こんな奇怪(ヘン)な方法で呼び出されるのは初めてだ。」

「いや、僕も呼び出されたクチなんだよ。残念なことに、というか髪削ぎがどうとかいってたが、それは五歳の時にやるものだろ?」

「魔術儀式だ。私(わらわ)の髪を若がえさせる為には、世界をだます必要がある。五歳に行う儀式をすれば、世界の方は私の髪を五歳の髪だと勘違いする」

「相も変わらず、良くわからない理屈だよ。魔法使いは」

と、ずずっとお茶を啜る殺人鬼(ふかかい)。ついに、我が家の洋菓子にまで手を伸ばしたようだ。

「で、お前は結局何者なんだ?」

「先程名乗った」

と、拗ねたように愛想の無い言葉を返して、すっと立ち上がり、崩れた着物の裾を直して、身を整える。それ一つとってもなかなか普通の子供にできることではない。

「それに、人に問うのならば、せめて名くらい自ら先に名乗るのが礼儀であろう?外界の事は用は知らぬが、これは人としての常識(カエテハイケナイモノ)と思うが?」

と、やや尊大に、やはり子供らしくない事を言う・・・・が、ちんまい体で、か弱いような声で必死に大人ぶって抗議する姿は、やっぱり、可愛い印象しか受けない。

いまいち、自分の怒りが伝わってないことに気がついたのか、さらに、流は頬を膨らます。いちいち可愛いな。


正樹たちは一通り自己紹介を終えると、不機嫌は治ったようで堂々と胸を張って言う。

「私(わらわ)の名前は、弦侯堂 流(げんこうどう ながれ)。

日本最古の術師の家系、

古刀(ことう)、弓端(ゆみはし)、槍弥(そうや)の内の弓端

その第二分家の流れたる弦侯堂家の長男


流の名を持つ七歳の『男児(♂)』である。


以後、お見知りおきを。」


「「「「はぁ?」」」」


―コンナカワイイコガオンナノコデアルハズガナイ―


・・・・・・・都市伝説では

       ・・・・・・なかった。


 ◆ ◆ ◆



「と、言うわけでですね。是非とも世界の平和と安全のために流ちゃんのご教授を受けたわまりたいと」

「しかし、話を聞く限り、世界の平和と安全を脅かしているのは、お前たちのような気がしてきたな・・・・・・」

まぁ、七つの子供でもそう思うだろう。

間違いないし。

「それと、せめて『君』で頼む」

「わかりました、流『ちゃん』」

「なんで、みな同じ反応をする?」

それは運命だから。(『男の娘(おとこのこ)』的な意味で)

「そもそも、私は、そのクリスマスとか、サンタクロースとか、言うのはよぉ知らん。初めて聞いた。東洋の魔法に関しては、学んでいるが、その・・・・期待に添えず申し訳ないが、どう考えても跋が悪い」

と、流は、申し訳なさそうに答える。

「そうか、不思議なことに詳しいって条件なら、東洋にだけ詳しいってのもあり得たわけか」

三度目の正直ならず、正樹は嘆息する。

「そんなことより、深戒殿がいるのだ。あちらは紛れもなく東洋西洋の因習に通じているぞ」

「できれば頼りたくはないんだがな」

と、輝樹は呟く。未だに櫃代への警戒は解いていないようである。

「が、仕方がない。何度、召喚させても、上手くいく保証はないし、何よりアルが消耗してる。それでいいか?正樹。」

「本当に仕方ないな」

「どうでもいいが、偉く信用されてないのだな、深戒殿。何をしたのだ?」

「怪談話を一つ」

「それは悲惨すぎるな」


「言う事言う事、全部本当になるのよ?いやよ、『紫鏡』って忘れなきゃいけないのに、あと三年しか無いぃ、忘れなきゃ忘れなきゃ忘れなきゃ――」

「嘘だ、しんじないぞ、オカルトなんてあり得るもんか、俺は科学的なものしか信じないんだ、あぁ、くそ、俺の現実を返せ――」


トラウマが発動したのか、正樹と尊が何やら小声でぶつぶつ呟いている。

「こっちの奴らは、また難儀だな」

それは、七つの子供に憐れまれるほどの狼狽ぶりであった。


「では、話そうか」

と、櫃代が、身を構えると。トラウマもちの正樹と尊がびくりとする。

「の、前に飯にでもするか。いい時間だし」

「そうだわ!食材買って来てあるの、せっかくのクリスマスの話題だし、鳥のもも肉でも焼こうかしら?」

と、正樹と、尊が席を立つ。

((最後の晩餐かもしれないから))

と、二人は思いつつ、覚悟を決めるための時間を必要としていた。

しゃっほ~お題通知キタ━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━ッ!!

きたきた、来ましたw


来ましたよ、お題通知。


明かすことはできませんが


    僕にとって

        

   『まったく地雷ではなかった!!!!』


とだけ言っておこうwww


お題提出者の意に沿うようなものになるかならないかは分からないけど

そこそこの仕上がりをしようと思います。

絵 にぇむ~

SSの挿絵




新塵碕行の蒸れないブログ-アルテミス


月猫@HOME 第五話準備版公開前にそして、第二話アップ前に

とりあえず、SS『聖人来りて、夢落とす』をSIDE-Aだけでも終わらせたい!


そんな、こんなで、SSの挿絵。前篇

アルテミスが『かわいそウサギ』のぬいぐるみを引きずって下りてくるシーン・・・・の挿絵。まぁ、その前に、中編おわらせっぞー!