蒸れないブログ -26ページ目

hino×saku 「彼女が決意に至るまで」

朝、目が覚めて、太陽とご対面するのが、清々しいだなんて





まるで、自分じゃない見たい。





モニター画面にくぎ付けになって、太陽が西へ傾くころに起きる私にとっては、三時のおやつが朝食だったのに。





それもこれも彼女のせい。





それもこれも彼女のおかげ。





だから私は彼女が大好きだった。愛していて、恋していた。





朝・・・布団の中で、私が起きると、彼女の暖かさとにおいの中でまどろむ


それは、冷えた空気ほど心地よくなるのだから、私は冬が好きになった。





幸せってこういうのなんだ・・・なんて、そんなことを思い浮かべてにやにやしてもぞもぞして、その時の私はその逆を考えなかった。





朝、目が覚めて、太陽とご対面するのが、清々しいでなんて





まるで、彼女みたい。





そう、思った時








・・・涙が出た。





もう、私は私一人でわたしじゃなくなったんだ。





sakuraちゃんが私の一部になってしまった。





彼女がいて、わたしになったんだ。





わたしはもう、sakuraちゃんなしじゃわたしじゃないんだ。








だって、もう、わたしじゃないみたい。





sakuraちゃんがいないのに、sakuraちゃんのにおいもぬくもりも、





もう、お布団にないのに





それでも、朝が好きだなんて、やっぱり変だよぉ











ボロボロ泣いた。涙は止まらず、流れてよどまず、ぽつぽつ落ちる。





そのたび、彼女の残滓が残る布団の上に、・・・・水玉模様を描くのだ。





◆ ◆ ◆





彼女のいないお布団の中は、からっぽだった。





何もなくて、切なくて





ひどく、怖くて、泣きたくなるのだ。





もはや、彼女は半身なのだ。





彼女なしではわたしじゃないのだ。





sakuraちゃんなしじゃ、私、hinokiはダメなのだ。








それなのに、私は、彼女と出会う前の私には戻らなかった。





料理もしたし、洗濯もしたし、朝だって、ほら、ちゃんと起きれる。





私自身が彼女の残滓であるかのように、私はsakuraちゃんから貰った生活を繰り返し繰り返しトレースする。








そうすることで、彼女が帰ってくると信じていた。彼女とのつながりを確かめていた。


ここ最近そう気がついた。全然変じゃなかった。


ようするに、私は私の中のsakuraちゃんと一緒にいるから、昔の私に戻らないのだ。


そして、その上、私は、私の中のsakuraちゃんと一緒にいるから、sakuraちゃんが欲しくて欲しくて、辛くて、辛くて、切り裂かれるようなこんな思いでいるのだ。涙とため息と、ただの静寂とに埋もれそうになっているのだ。








◆ ◆ ◆





冬は終り、春が来る。





彼女と一緒に通うはずだった、大学にも、やはり彼女の影はない。





それでも、どこかで、彼女の影を眼で追う自分がいた。


ふと、駅のホームにいるような気がして


家に帰れば、私を迎えてくれるような気がして


朝食を食べながら、テーブルの向こうに・・・・彼女がいるような気がしてたんだ。





大学生活はつつがない。





というより、やる事がない。








私は、ひたすら、彼女がいればそう過ごしたであろう経過をたどり続けた。





そうこうして、春は終りに近づき、桜が散る事に





ようやく私は、sakuraちゃんは、帰ってこないと気付いてしまった朝。





涙は、枯れて出なくなった





◆ ◆ ◆





どうして、彼女はどこかに行ってしまったのだろう。


私を残して行ってしまったのだろう。


何も言わずに消えたのだろう。





私が悪かったのか?


そうだそうに違いない。


私は彼女の何も理解してなかった。


彼女はあんなにも私にすべてをくれたのに、


私からは何もあげれてなかったのだから、


彼女が憤慨するのも当然だ。





だから、自業自得というか、自爆に等しい事だった。





◆ ◆ ◆





彼女は帰ってこない、でも、そしたら、私に残ったのは彼女の残滓だけ?





それも、いつまでもつの?





時が彼女の影をどんどん消していく!こわい!こわい!こわいっ!!





ダメダメダメ!ダメだっ!今すぐ彼女を探さなきゃ!sakuraちゃんを探さなきゃ!





あってあやまらないと!そして、大好きだって何度も言うの!愛してるって何度も言うの!何度だって確かめ合うのっ!





◆ ◆ ◆





彼女の実家をようやくみつけた。





羽白家は、黒かった。





というより、・・・・・・煤だった。





彼女のいなくなったあの日から、ずっと、煤だった。





「おう、ぬしぬし、そこのぬし」





突然声をかけられ振り返る。


が、誰もいない。





「違う主、下じゃ下。おぬし、よほど自分より大きい奴しか相手にしとらんのか?振り返ると同時に、見上げる人間なんぞ初めて見たぞ」





と、声のもとをたどって、見降ろすと、金髪の子供がいた。赤い赤い眼をした子供だ・・・・・・が。





「アニメのコスプレ?」





なんかファンタジーもののアニメに出てきそうな巨大な肩当てを身にまとい、マントにくるまった、二次元世界の住人がそこにはいた。





「ふむ、「アニメのコスプレ?」のう?あれじゃろ?わしもフランスのジャパンフェスタで見た事があるぞ?所謂仮装行列の類であろ?」





コスプレイヤーの皆様に謝れクソガキと言いそうになったが、それは子供に対してあまりに狭量なので、とりあえず相手にせずに立ち去ろうとする。





「いや、待て、ぬし?羽白という苗字は知らんかの?」





「え?」





「羽白じゃ、羽白。珍しい苗字じゃから心当たりくらいあるじゃろ?」





私は、ただただ呆然とするばかりで、「あ、・・・ええと、その」と繰り返した。


相手の子供は、うぬ?っとつぶやいて、こちらの返答を待っている。


私はそれに何とかこたえようと、ただ、最早、炭になった、羽白家の残骸を指差した。





「おお、これはこれは。見事見事。よく燃えたのぉ?あれか?誘導魔法か?ふむふむ、確かに、これは羽白家。なるほどなるほど、これは全く燃えてはおらぬ」





も・・・燃えてない?





「ああ、主、主も『わしが見えて』羽白の関係者であるのだから、魔法使いのなのじゃろう?ほれ、家一棟建てる故、手伝え。」





「あ、あの・・・・」まったく異っている意味がわからない。





「それとも、主、この業界で、本当に魔王のわしを知らぬわけじゃあるまいの?」





知らない、知らない、まったく知らない。








まったく知らない世界への扉が、この時開いた。










新作 ヒノサク 下書き

sakura咲く頃、あの子の桜 5