第二章 多重存在 それは最後のタネ明かし その3 ―小説
大筋はわかった。
けれど、それじゃまだこの事件の本質について何も語っていないようなものだ。
そう、並行世界の俺が、なぜこうも集まったのか。
そのキーワードは・・・・。
「並行世界統合現象ってなんだよ?」
そう、それが問題だ。
「並行世界=パラレルワールドには、いくつか考え方があるのだけれど、
その一つが多元宇宙。
量子力学が、運命を否定して以来、世界の未来は一つではないことは、ユダ君も知っている通り、
確率を持って世界は分岐する。
つまり、分岐した分だけ世界は無限に、
そうなったかもしれない並行世界を作り上げ、
巨大な大樹の枝葉のように無限に世界を広げていってるの。
けれど、この多元宇宙が今、急速に一本化されようとしている。
ずいぶん昔から、ちょっとずつ、他の並行世界が統合され始めてきた。
『理由は言えない』それは、あなたが自分で知ることだと、愛染はいっていた。
けれど、十二月一日、根源と呼ばれる事件が神々の間に起きたの。
そこから世界の統合現象が信じられないスピードで今も進んでる。
でも統合のスピードが急すぎて、統合される前の並行世界の住人が、この世界に多重に存在することとなった。
あの地下世界は、そう言った並行世界の住人を、
世界に混乱が起きないように、秘密裏に確保し処分する施設だったの・・・本来は。」
「本来は?」
俺は当然の疑問を呈する。
「『方舟計画』・・・そこから先はごめんなさい。
自分で調べるように依頼を受けてるわ。
ただね、これをあなたに教える上で最後に、愛染から伝言があるの。」
ロクなもんじゃないだろう。
「お前は、方舟計画に選ばれた、『必要のある人間』だ。
だから、よく考えておけ、
すべてを知ったうえでお前は、神の側に付くか?魔法使いの側に付くか?
それとも・・・」
Aliceは一瞬、考えて、しかし口にした。
「霧宮瑠璃の側に付くか・・・・」
・・・・・
ほら、やっぱり、ロクなやつじゃねぇ。
「ねぇ、量子力学は一つ一つの分子の行く末は、わからないけど、大きな流れではそれをある程度予測できるの」
「うん?」
彼女の唐突な話にびっくりした。
どう言うことだ。
「だから、藍染愛染は本当はちゃんと未来が見えていたのよ。
あなたに殺される事、
サイコメトリ―出来るユダが自分の自我に乗っ取られる事、
そして結局あなたに殺される事。
すべてを見越して、私に依頼したの。」
・・・・
「藍染愛染は、本当はそれがどうしても嫌だったみたい。
自分が死ぬのが嫌だったからじゃない。
自分の愛する吉野巫女が死んでしまう世界をどうにかして変えたかった。
最後まで抗いにあらがった。
だから、彼は無理にでもこの世界に介入して、吉野巫女を引きこんだの。
世界を自分の望む未来に導くために・・・・。
死なないように、死戯という大きな力まであたえた。
けど、大筋は変わらなかった、
・・・だから、最後にあなたに吉野巫女を殺させたんでしょうね。
それが彼女の望みだったから。
なんだか、そう言うところみると、藍染愛染って結局あなたと似た人だったんだよ。」
・・・・
違う。
「やっぱり、違うな。俺は『瑠璃を拉致られた腹いせに吉野巫女の親類をことごとく殺す』ような男だ。
おれは、あの女を友達以上に思ったことはないし、やっぱり瑠璃以外には興味がない。
はっきり言ってどうでもいい。―」
そうだな、愛染・・・お前はやっぱり別人だ。似てもにつかねぇよ。
「――俺はそんなに優しくない。」
第二章 多重存在 それは最後のタネ明かし その2 ―小説
「以上が大まかな流れよ」
パタン、と
Aliceは、日記帳を閉じる。
へぇ、とおれは納得する。
「なるほどな・・・、
俺が、吉野巫女の生首から見た記憶は、生首なっちまった吉野巫女の記憶じゃなく、
そこに縫い付けられた桃色血走りの 『糸』 のほうの記憶だったわけか。」
サイコメトリ―は強い意志があるものほど、その記憶をたどりやすい。
桃色血走り―俺の知ってる吉野が『糸』に込めた思いは・・・結局のところ俺への抗議だったのかもしれない。
『運命の赤い糸』
・・・それってどれだけ血塗られてるんだよ、俺の場合。
血で赤く染まった糸が紡いだ記憶は・・・どこか優しかったけど。
「全くロクなもんじゃない。」
ロクなもんじゃないが、要するに俺が全部悪かったんだよな。
「ふふふ、ねぇ。あの子が残した最後のトラップ。
どっちへの復讐だったと思う?
自分を汚した藍染愛染のほう?
それとも、モーション掛けて振ったあなたの方かしら?」
・・・
「ちがうよ。あいつはそんな嫌な女じゃないよ。
俺のダチをバカにすんなって。
あいつは、最後まで藍染愛染を守ろうとしたのさ。」
Aliceがにこりと笑う。
今までの笑みとは違って毒がない。
―勘違いすんなよ。
「いやに、はっきり断言するわね。」
・・・当たり前だ。
「あれは全部俺の計画通りなんだよ。」
俺の重力を制御するための特別な感覚。
重力感覚は、物体の位置を把握するのに実に都合のいい能力。
俺は、それを利用した。
重力感覚、―俺を前にして、あらゆるトラップはその存在を隠せない。
あとは、戦闘中、愛染をあそこに誘導して俺が引き金を引けばいい。
「ユダ君・・・本当に優しいのね。意外なことに」
Aliceは、そう言ってまたも微笑む。
もういいよ・・・俺は、人格失墜・・・・そんなんじゃねぇから。
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