今、区役所のロビーで中学校教科書の見本展示がおこなわれています。
少し立ち寄って見てきました。
 
歴史教科書や英語、美術などを見ましたがとりわけブログに書きたいと感じたのは歴史です。

◆「学び舎」

最初のページは「歴史と出会う」として、沖縄戦の慰霊の日の紹介から始まります。
「おばあちゃんが生きのびたおかげでみんながいるんだよ」と括られ、これまでの歴史に関心を持ち、目がむくような工夫を感じました。

日中戦争を「日本の侵略、中国の抵抗」と中見出しで紹介しています。
小林多喜二さんの「蟹工船」も紹介し、軍国主義に対し抵抗する民衆の息吹についてもふれています。

歴史の書かれ方は、時の権力が自分たちを正当化する歴史の見方へと修正しているものです。
しかし学び舎のものはそもそもが「ともに学ぶ 人間の歴史」というタイトルを掲げ、人間としての普遍的見方にそって書かれていると感じました。

米騒動と民衆運動、社会運動の広まり、デモクラシーの波など、時代の中で抑圧に抗い闘った民衆の息吹にも触れられています。

見て懐かしかったので、峠三吉さんの詩を書き起こしてみました。

にんげんをかえせ       峠三吉

ちちをかえせ  ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ
わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの  にんげんのよの
あるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ


◆続いては、「育鵬社」。
各地で、採択するなと運動も起こっている出版社ですね。
特に書き方の変わってくる、太平洋戦争のあたりをパラパラ見てみました。

日本軍のアジア侵略を「アジア独立への希望」と題して、東南アジアやインドにとって希望を与えた、と紹介しています。
しかし、さすがに全面的に日本軍の行いを肯定はできなかったようで、次ページでは「日本の占領とアジア諸国」として、アジア民衆に犠牲がてたことや過酷な労働が強制されたことにもふれられています。
沖縄戦では、「集団自決に追い込まれた人々もいました」程度には書かれています。
ちなみに表記は「太平洋戦争(大東亜戦争)」と、太平洋戦争を前にだしています。

◆そしていわずもがな、一番ひどいのが「自由社」。
「新しい歴史教科書をつくる会」のものです。
戦争を美化し、階級闘争ー農民や弱い立場にあった人たちが権力にあらがい権利を確立してきたことにフタをする、書き方をしています。

太平洋戦争の記述も「大東亜戦争(太平洋戦争)」の表記からはじまります。
読み進めるとまゆにしわがよってきます。
「アジアに広がる独立への希望」、「アジアの人々を奮い立たせた日本の行動」、「日本を解放軍として迎えたインドネシアの人々」…。
靖国神社の展示とそっくりな内容で、歴史をここまで歪めてしまうのかと恐ろしさを感じました。


歴史は決して好き勝手に自由に書き換えていいものではありません。
これから、歴史を学び政治に対して意見をもっていくだろう若い人たちが、客観的に史実を学び、人間としての尊厳を大切にして、他者に対して接していけるような学びと学習を深めていってほしいと強く感じました。

ぜひ、みなさんも見に行ってみてください。

◆足立区の教科書展示会

日時

平成27年6月9日(火曜日)から平成27年7月2日(木曜日)午前9時から午後7時

場所

1.こども支援センターげんき(西新井) 1階研修室1

2.東京芸術センター 9階会議室1

 3.足立区役所 本庁舎1階区民ロビー


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