心を操る
モームはイギリス作家の中では好みのほうで、何作か読んだことがあります。
そのモームなので、きっとおもしろかろうという期待を持ち、題名からサーカスだとか少し楽しげな雰囲気を連想しました。
実際には、「楽しい」ははずれ。
大ざっぱに言えば、科学と呪術の対決。
このように、時代と国の違う作家の作品は、時代背景とか、当時の現地の人たちが呪術をどのように捉えていたかとか、絡めていけば感想の幅がどんどん広がっていくのだと思いますが、もちろんそこまで深掘ることはせず、ただ読み流しただけです。
言葉遣いが仰々しくて、読みにくいところもありますが、ストーリーにはだいぶひきつけられて、どういう方向へすすんでいくのか、と終始気になりました。
登場する人たちの人付き合いに際しての礼儀作法が、我々と違っていて印象的です。
それと、「魔術師」本人のインパクトの強烈さ!心の中の邪悪な部分だけを凝縮したような人物で、いつまでも記憶に残りそうです。
サマセット・モーム
1874〜1965年、イギリス