「魔術師」 サマセット・モーム著/田中西二郎訳 | 50代からの読書

50代からの読書

子どもの頃から本が好き。若い頃はおもしろいと思えなかった本も今なら感動することもあり、読書を通して自分の変化を感じます。読書の記録を通して、50代の心の一端を残してみます。

 

心を操る

 

 

モームはイギリス作家の中では好みのほうで、何作か読んだことがあります。

そのモームなので、きっとおもしろかろうという期待を持ち、題名からサーカスだとか少し楽しげな雰囲気を連想しました。

 

実際には、「楽しい」ははずれ。

大ざっぱに言えば、科学と呪術の対決。

このように、時代と国の違う作家の作品は、時代背景とか、当時の現地の人たちが呪術をどのように捉えていたかとか、絡めていけば感想の幅がどんどん広がっていくのだと思いますが、もちろんそこまで深掘ることはせず、ただ読み流しただけです。

言葉遣いが仰々しくて、読みにくいところもありますが、ストーリーにはだいぶひきつけられて、どういう方向へすすんでいくのか、と終始気になりました。

登場する人たちの人付き合いに際しての礼儀作法が、我々と違っていて印象的です。

それと、「魔術師」本人のインパクトの強烈さ!心の中の邪悪な部分だけを凝縮したような人物で、いつまでも記憶に残りそうです。

 

 

 

 

サマセット・モーム

1874〜1965年、イギリス