「マジカルグランマ」 柚木麻子著 | 50代からの読書

50代からの読書

子どもの頃から本が好き。若い頃はおもしろいと思えなかった本も今なら感動することもあり、読書を通して自分の変化を感じます。読書の記録を通して、50代の心の一端を残してみます。

 

我が道を行く

 

題名から想像したのは、年齢を感じさせないほどパワフルで行動的なおばあさんの話。

それは確かに合っていたが、単語の真意は別のところにあった。

作中では、「いつも優しい笑顔を浮かべて孫や家族に静かに寄り添う、おばあさんとしての理想像」をパワフルグランマと言っている。パワフル〇〇は、〇〇として世間体の良い理想像ということのようだ。

主人公は75歳の女優で、ある若い俳優の優しいおばあちゃん役として広く認知される。でも当人は、自分が有名になればなるほど「おばあさんとはこういうもの」という既成概念ができあがっていくことに違和感を覚える。

実際、本当の彼女は「こうあるべき」的な外からの圧力を全く気にしない。やりたいことをどんどんやってしまう。その傾向は作品中盤以降急激に加速していくので、そんなこともやるのね、そこまでやるのね、とびっくり&感心しながら読み終わった。

 

50代後半の今、75歳がどういう感じかなんてもちろんわからない。個人差もだいぶありそうな

気がする。でも、当然いまより身体能力も気力も低くなっているはず。この主人公は75歳にしては元気すぎではないか、と思う。既成概念にとらわれたくない、というところには大いに共感できた。

 

 

 

柚木麻子

1981年、東京都生まれ