最終日に滑り込んだハプスブルグ展を復習してみた | ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

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引っ越し、海を跨いで11回
いろんな価値観に触れて揉まれて
世界は無限に広がっていて
こうあるべきは一つもないと

これからも柔らかな心で、導かれるように、ワクワクしながら歩いていきたいです♡

こんにちは

あきです
 
 
 
 
非常事態宣言出ましたね
より一層気を引き締めて
まず自分は保菌者かもしれないという意識で行動しています
こういう時に日本人の同調意識の高さ、団結力がモノを言うのではないかな
とりあえず一か月、クラスターをこれ以上発生させないよう頑張りましょう(^O^)
 
 
 
 
 
今年1月26日はハプスブルク展の最終日でした
 
曇天のできれば外出しなくないと思うような日
でもね
これも行けなかったらこれから何も行けなくなっちゃうかも…
と焦燥感に駆られて行ってきたのでした
 
 
上野は自宅からはちょっと距離があり
頑張っても開館ギリギリにしかたどり着けないのですが
 
 
案の定チケット売り場は行列で
会場に入るのも行列
 
 
図録も売り切れで
予約しても2月末にならないと送られてこないという状況
 
 
展覧会最終日っていつもこんな感じなのかしら
最終日はやめておいたほうがよさそうですね^ ^
 
 
でも図録を送ってくれるシステムはありがたいです
とにかく重い図録
 
最近は出来るだけ軽くしようと策を練っている感もあるけれど
それにしても持って帰るのは躊躇する重さです
重いからと諦めて帰る人がどれくらいいるだろうと
 
これだけEコマースが発達している今
なんとか図録を簡単に送って欲しいと思うのは我儘なのでしょうか
 
 
買ってくれる人が多くなれば
一冊の値段も安くなりはしないかと微かな希望もあったりします^ ^
 
 
というわけで展覧会訪問後約一か月で手元に届いてくれました
マルガリータ王妃の可愛らしさ全開の図録♡
 

 
 
 
大分時間が経ってしまった展覧会の復習となりますが…
 
ちょっと、というか大分長くなってしまいました(^^;
 
お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです
 
 
ハプスブルク展
600年にわたる帝国コレクションの歴史
 
 
 
 
昨年度は日本・オーストリア友好150周年記念に絡めての展覧会が多かったですね
 
▪ ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
   (国立新美術館 2019/4/24~8/5 国立国際美術館 2019/8/27~12/8)
▪ クリムト展:ウィーンと日本1900
   (東京都美術館 2019/4/23~7/10 豊田市美術館 2019/7/23~10/14)
▪ ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
   (国立西洋美術館 2019/10/19~1/26)
 
 
 
ウィーン・モダンはテーマを一つに絞り込まず 世紀末のウィーン文化のありとあらゆるものを
詰め込んだ印象でした
今振り返っても、小さな博物館を見たという感覚です
 
 
 
クリムト展は ちょっと精神を病んだ画家が描いた心の中の抽象画 という概念を覆し、かなりナルシストな画家が自己演出を考え抜いて描いた画家という面を浮かび上がらせていて興味深いものがありました
 
 
 
今回のハプスブルク展
なにしろ600年に亘ってオーストラリアを中心に スペインとネーデルランドまで支配を及ぼした
ハプスブルク家のコレクションですからどんな構成になるのか興味津々
 
 
 
行ってみると代々絵画の蒐集をした国王のコレクション別あるいは周囲のコレクター別に
構成されており 分かりやすかったです
 
 
 
図録を買うと絵の来歴もある程度分かるのでありがたい
特にハプスブルク家のコレクションはどこからどうやってウィーン美術史美術館に所蔵されるに至ったかという来歴が分かると、その絵にまつわる歴史を感じて楽しいのです
 
 
 
そもそもこの時代の絵画って国家間の贈答品、お見合い写真替わり、権力誇示のための手段(ある国では今でも最高権力者の肖像画がバーンと飾られてたりしますよね)だったりと外交手段の一つでもありました
 
 
 
 
ちょっとここでハプスブルク家の家系図
それも若い美術史家たちが作成の拡散OKの分かりやすい家系図があるのでご紹介です
 
12月末に歴史家のワークショップに参加した時の配布資料です
 
Twitterより 壺屋めり@cari_meli
 

拡大しないと分かりにくいですが
 
 
これを見てもいかにハプスブルクの血族だけで王家を守ろうとしたのが解って
却って怖い😅
 
 
マクシミリアン1世
 
ハプスブルク家の始まりはこのお方
マクシミリアン1世
 
中世最後の騎士と言われた人
 
 
 
 
 
 
1430年金羊毛騎士団を十字軍を意識して創設したのがブルゴーニュ家のフィリップ3世(フィリップ善良公)
 
 
マクシミリアン1世はその一人娘マリー・ド・ブルゴーニュとの結婚により騎士団を継承
 
 
あの有名なハプスブルク家の金羊毛騎士団の首飾り(金羊毛騎士団勲章)につながっていきます
 
 
 
 
なんで羊?なのですが
 
ブルゴーニュは羊毛産業で名高かったフランドル地方に隣接していること
 
それから
 
金の羊毛はギリシャ神話の中の秘宝の一つで、眠らないドラゴンに守られてる翼を持つ羊の羊毛というもの
ホメロスの叙事詩にもイアソンがこれを探しに行くという冒険物語として語っているとのこと
 
なんだかすごい話に結び付いてますw
 
 
キリストの受難に繋がっていると思っていたのでこれはちょっとびっくり
 
 
 
 
話をハプスブルク展に戻して…
まずタペストリーから
 
ラファエロ・サンツィオの工房
アテネにおける聖パウロの説教
1600年頃
 

サイトにはあまり上がってこないタペストリー
大きな大きなタペストリーでした
こういうタペストリーが中世のお城を飾っていたのかと思うとちょっとワクワク
 
 
中世の王様は
王様といってもちょっと権力の強い領主に毛が生えた程度の存在
 
 
 
戦争に出かけたり
自分の領地を見守ったりしなければで
いつもいつも各地を移動していました
移動する場所毎に宮殿が作られて
引越し人生だったわけです
 
 
時に要塞が宮殿になることも
 
 
そこで移動先の宮殿を飾ったのが
持ち運びに便利なタペストリー
 
 
中世はまだ絵画は壁画や板絵が中心
キャンバスに絵を描くのが普通になったのは
まだずっと後のこと
 
クルクルっと巻いて持ち運べるタペストリーは
移動宮殿に都合が良かったのですね
 
壁に掛けると華やかだし、断熱効果も高くてあったかい
とても人気が高かったとのこと
 
 
 
これはラファエロのカルソン(下絵)をもとに、フランドル地方で造られたタペストリーで、もともと1513年に教皇レオ10世がオーダーし、システィーナ礼拝堂に掛けられたもののコピー作品
 
 
因みにラファエロのカルソンはこちら
 
 
タペストリーは下絵とは反転させて織られていきます
 
 
 
当時このコピーがとても良い人気を博したとのことです
 
 
 
このタペストリーはルドルフ2世のコレクションですが
 
 
マクシミリアン1世こそタペストリーコレクションで知られています
なにしろ最後の騎士ですからね
移動も多かったのでしょう。。。
 
 
ルドルフ2世
 
マクシミリアン2世の息子がルドルフ2世
 
ルドルフ2世はこのお方
 
伯父のオーストリア大公フェルディナンド2世のコレクションを真似て
 
何でもかんでも集めて
宮殿内に小宇宙の概念の博物館
クンストカマー(驚異の部屋)を作り上げた方
 
 
 
 金羊毛騎士団の頸飾り
下げてますね〜
 
 
 
 
 
スペイン、フェリペ2世の元で育ったこともあり
フェリペ2世の秘密のコレクション、ティツィアーノのポエジア連作等に影響されたのか…
官能的な絵画コレクションが多いことでも有名です😅
 
 
政治にはあまり関心が無く
プラハにこもって芸術に心奪われていた方
 
というか、美術収集は統治者の義務と考えてコレクションしていたとのこと
 
「ハプスブルク家の全ての美術品は全て1人のパトロンのもの」という言葉を残しています
 
 
 
デューラー(もとはマクシミリアン1世が庇護)やブリューゲル(もとは弟スペイン領ネーデルラント総督エルンストのコレクション)、マニエリスムの画家スプランゲルやアルチンボルドのコレクターとして有名ですが、1648年、30年戦争でのスウェーデンによるプラハ侵攻により作品は散逸してしまいます
 
 
 
 
ルドルフ2世のコレクションで最も目を引いたのがこちら
 
 
 
ジョルジョーネ
青年の肖像
1508〜10年頃
 
 
前述の通り、ルドルフ2世の絵画コレクションはスプランゲルなどの官能的なものが多いと有名なのですがこれは異色
 
 
色彩もずっと抑えられていて
心情が現れるような表現
その上かなりかっこいい
 
 
ジョルジョーネはヴェネチアの画家
ヴェネチア派らしく鮮やかな色彩と抒情的な絵画で有名ですが、その生涯は謎に包まれています
 
 
 
 
ジョルジョーネの作品で一番有名なのは
テンペスト(嵐)
だと思いますが、こちらはこんなに色彩鮮やか!
ヴェネチアのアカデミア美術館で見たもの
 
 

ジョルジョーネの生涯同様、謎多き絵と有名なので
ずっと見たかった絵でした
 
 
 
 
今回ジョルジョーネは肖像画だとこんな風に描けるのね、柔らかな印象なのは一緒ね、と思いましたね
 
 
 
スペインハプスブルク家
 
 
そしてスペインハプスブルク家
 
マクシミリアン1世の息子
フィリップ端麗公を経て
 
 
神聖ローマ皇帝かつスペイン王であった
カール5世(スペイン王カルロス1世)
(ティツィアーノのコレクターとして知られています)
 
 
そのまた息子たち
マクシミリアン2世とフェリペ2世に
オーストリアとスペインを別々に支配させたのが
 
スペインハプスブルク家の始まり
 
 
 
これは言わずと知れた
フェリペ4世の娘のマルガリータちゃん
 
 
フェリペ4世の宮廷画家ベラスケスの作品
 
 
 
 
生まれながらオーストリアに住む自分の叔父と結婚することが決まっていた王女さま
 
オーストリアに住む祖母や親族そして許婚のレオポルド1世の為に
成長具合をせっせと描いて送ったのでした
 
王女が左手に持っている毛皮のマフは
レオポルド1世からのプレゼントです
 
ちゃんと使ってますよ
大事にしてますよアピールというわけです
 
やはりベラスケスの肖像画は超一流
 
個性を潰すことなく高貴で華やかに描いています
近づくと筆致はものすごく粗いのですが
離れると布地の感触や髪の毛の柔らかさが
ぐっと引き立ちます
 
印象派へ先駆けと言われるのも頷けます
やっぱり本物は素晴らしい✨
 
 
スペインハプスブルク家は
マルガリータ王女の異母姉マリア・テレサがルイ14世と結婚することで、スペインブルボン王朝となり、終焉を迎えます
 
 
 
 
ネーデルラント総督レオポルドヴィルヘルム
 
 
そしてネーデルラント総督だった
レオポルド・ヴィルヘルム
 
 
 
この人こそ
今のウィーン美術史美術館の礎を作ったお方
 
 

 
 
神聖ローマ皇帝フェルディナンド2世の次男として生まれ
後継者争いを避ける為に聖職者になった人
 
武力に長けており、騎士団の一員として認められています
 
 
 
 
フェリペ4世の妹とのお見合いでスペインを訪れた英チャールズ1世は
フェリペ4世のコレクションに触発され
 
側近とともにチャールズ1世コレクションを作り上げました
 
 
 
けれど絵画購入し過ぎで国庫が破綻しまうという大失態…
1642年ピューリタン革命が起こります
 
 
ピューリタン革命後のすったもんだした後の1649年の処刑で
英チャールズ1世とその側近達のコレクションは散逸してしまうのです
 
 
ここぞとばかりにオークションに出されたチャールズ1世コレクションをせっせと買い上げたのが
レオポルド・ヴィルヘルムです
 
 
そして1659年には完璧な目録を完成させます
ウィーン美術史美術館において
この方の功績はとても大きいのでした
 
テニールスの描いたレオポルド・ヴィルヘルム大公の画廊
 
 
 
彼のコレクションから3つほど
 
アンドレア・マンテーニャ
イサクの犠牲
1490〜95年頃
 
 
 
マンテーニャは伊マントヴァのゴンザーガ家に仕えた宮廷画家
 
 
マントヴァのゴンザーガ・コレクションは神聖ローマ皇帝との関係強化のためにカール5世に贈られており1530年にはマントヴァ公の称号を授けられています
 
 
 
神聖ローマ帝国が衰退する頃
熱心な絵画コレクターだった英チャールズ1世が購入
 
この神聖ローマ皇帝のコレクションの中には前述の「ラファエロのカルソン」もありました
 
その後レオポルド・ヴィルヘルムのもとに来たものと言われています
 
 
 
昨年訪れたマントヴァの街
 

 
3つの人造湖に囲まれた美しい町でした
 
 
 
 
 
 
そしてユディト
 
ヴェロネーゼ
ホロフェルネスの首を持つユディト
1580年頃
 
 
 
ヴェネチア派の画家らしい鮮やかさ
今まで見たユディト→  コチラ  
 
の中では稀に見る崇高さです
 
これで平和は保たれるわ、ね、そうでしょ?とでも言いたげな聖母のような表情です 
 
 
 
 
 
こちらはフランドル絵画の静物画
 
コーネリウス・デ・ヘーム
朝食図
1660〜69年
 
 
 
 
図録では食事の喜びの視覚的表現とありました
 
 
ですが、やはりここはフランドル絵画の特徴の戒め絵ではないかと思っています
 
 
デ・ヘームはフランドルの静物画家
 
 
キリストの血と肉を表す葡萄とパン
壁にはキリストの磔刑を暗示するような釘
 
葡萄とパンを押し除けるように前に置かれているのが
当時催淫剤といわれ欲をあらわす牡蠣と
楽園の果実を食べたという罪をあらわす皮の半分剥かれたレモン
 
銀の胡椒入れも銀器や当時の胡椒がぜいたく品であったことも忘れてはならないと思います
 
 
そして時の無情さヴァニタスを表す時計
 
 
当時のフランドルはガチガチのカトリックだったスペインハプスブルク家に反抗して
混乱を極めた時期
 
偶像崇拝を禁じたプロテスタントの世界で描かれるこの手の静物画は
見る人にとって間接的にキリストを感じ
生活の節制を胸に刻んだのだと思います
 
胡椒入れの硬質な金属の輝き、レモンの瑞々しさ、牡蠣の身の柔らかさに見入りました
 
 
 
マリーアントワネット
 
 
そしてマリーアントワネットの肖像画
 
 
 
 
マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ・ルブラン
フランス王妃マリーアントワネットの肖像
1778年
 
 
 
ルブランの描くマリー・アントワネットはどこか温かいですね
 
彼女に好んで描かせたのも頷きます
 
マリーアントワネットの肖像画にはバラが多く描かれています
 
このバラに日本人女性のイメージを重ねてて作られた香水があるのです
 
 
仏の調香師フランシス・クルジャンの「ア・ラ・ローズ」
 
一輪のバラの花に鼻を近づけて胸深く香りを吸い込んだような
控えめな印象の香水です
 
 
ボトルを裏から見ると
表のラベルの裏にピンクの薔薇が描かれていて
ちょっと秘密を見つけてしまったような気持ちになれる香水
 
 
マリーアントワネットってもっと優雅で華やかな印象なのに
と思うのですが
もしかしたらフランス人の彼女の印象は違うのかもしれない
もっと控えめで謙虚な面もあったのかもしれない
と思わせるような香り
 
ルブランの描くマリーアントワネットのバラを見ると
こんなことを思うのです
 
 
 
 
シシィの肖像画など魅力的な作品はまだまだ沢山あったのですが
思うままに書いていくと
いつ終わるか分からなくなっちゃうので
この辺で
 
 
 
ハプスブルク家のコレクションが
歴代王様、神聖ローマ皇帝、ゴンザーガ・コレクション、チャールズ1世コレクションなどの集大成であることが感じられる展覧会で楽しめました
 
 
 
またいつか他の作品に触れられるといいかな^ ^
 
 
 
 
会場を出ると冷たい雨
それでも朝よりずっと長い行列になっていました
 
 
午後の方が空いているかもとチラリと思ったのですが
早めに来て正解でした
 
 
 
今は暖かくなりましたね
人混みを避けてお散歩しながら
過度にネガティブな情報に振り回されず
上手にこの時期を過ごしたいと思います
 
 
 
最後までお読みいただき
ありがとうございました😊
 
 
 
今日も明日も良い1日でありますように♡