こんにちは
アキです
食べ物に好き嫌いはないんです、本当に
さすがに昆虫食は難しいのですが・・・(笑
ですが、ルオーの絵
正直ルドンの黒い絵同様苦手でした
黒々とした太い線が
ずっしり重く胸にのしかかるとでもいいましょうか
苦しささえ感じることがありました
いわゆる、絵を見て気分が高揚するとか
一瞬見ただけで あ、これ私好き!
という絵ではないと思うのです
今回たくさんのアートブロガーさんたちの愛のある見方に触発され
ちょっと見てこようかな?
でもそれでも全く受け付けなかったら悲しいな・・・
という気持ちでギャラリートークに参加してきました
愛のすべて
ジョルジュ・ルオー
聖なる芸術とモデルニテ
お美しい学芸員さん
さすが、見方を教えてくれるプロ
ありがたいです
そして
これ本当に大好きなの! と声高に叫ぶほどではないものの
いや、、、しみじみ良かったですよ
と人に語れるくらい
次回どこかでルオー展があったら間違いなく行こうと思うくらい
私の中でのランキングが上がりました
今回の展覧会は
パナソニック汐留ミュージアムの開館15周年を記念して
特に宗教的主題のみを取り上げる特別展ということで
ヴァチカン美術館から4点
ポンピドゥーセンターから5点
貸し出していただいているそうです
第一章 ミセレーレ 甦ったイコン
ラテン語ミセレーレとは「憐れみたまえ」
ルオーが宗教主題に取り組んだのはかなり遅く
1912年 41歳になった時でした
父の死 そして1914年に勃発した第一次世界大戦という
自身と社会の環境の変化の中
版画集「ミセレーレ」を構想し、12年かけて100点にも及ぶ下絵を描き
銅版画58点を製作しました
(発表はいろいろな事情で1948年となってしまったそうですが)
貧富の差、労働者階級の苦しみ、生きていることの絶望感
そんな社会矛盾に向き合う
見ていて苦しくなってしまうような絵が続きます
「ミセレーレ」12 生きるとはつらい業・・・
1922年
その中にホッとするような一枚
「ミセレーレ」13 でも愛することができたら、どんなに楽しいことだろう
1923年
柔らかな光に包まれた聖母子像をイメージできるような一枚
生きるとはつらい業・・・
でも愛することができたら、どんなに楽しいことだろう
ルオーの生涯ずっと貫く絵のテーマである
「生きる苦悩」と「愛による救済」
がここに示されています
でもやはり見ていてつらい版画集ですね
後半は1930年代に集中して製作される聖顔シリーズの一断面が見られます
会場では「ミセレーレ」製作のための
下絵や未採用になった作品、銅板なども並びます
第二章 聖顔と聖なる人物 物言わぬサバルタン
「ミセレーレ」の部屋からスッと入った次の間の正面にこちらの絵
聖顔
1933年
ポンピドゥーセンター
カッと目を大きく見開きまっすぐ前をみつめるイエスキリスト
正視していられないほどのインパクトがあります
心の底まで見透かされてしまいそうな気持になります
1930年代に制作された聖顔は
苦難に耐えるお顔が多い・・・
聖顔
1934年
個人蔵(群馬県立近代美術館寄託)
それが1940年代に入ると
慈愛に満ちた優しいお顔に変化していきます
聖顔
1946年
ヴァチカン美術館
全てに飾り枠があるのも面白いですね
なんでだろう・・・
ルオーと日本人コレクターである福島繁太郎との交流を示す
聖顔の作品と箱書き(1928年)もありました
普段絵を描くときの姿を人に見せることはなかったそうですが
この聖顔は福島氏の見ている前で描いたそうで
そんなやり取りを垣間見られるのも面白い
そしてヴェロニカ
キリストが十字架を背負ってゴルゴダの丘を登るときに
汗を拭くためにヴェロニカが差し出した一枚の布
そこにキリストの顔が写っていたとの逸話に基づく聖女
多くの画家が彼女とその時の聖顔布を題材にしてきましたが
やはりこんなヴェロニカは初めて(^-^)
慈愛に満ちた優しい目
何か物をいわんとする半開きの赤い唇
少し横に顔を傾けてゆっくりこちらをみつめます
周りを包む透明感のある水色もその優しさを表しているかのよう
それからこちら
サラ
1956年
ジョルジュ・ルオー財団
ルオー最晩年の傑作と言われています
近寄って横から見ると
ゆうに二センチはあろうかと思うほどの絵具の盛り上がり
その形態はグロテスクとも思ってしまうほど
それがぐぐーーーーっと離れてみると
白い花飾りに包まれた聖女
なんとも柔和なお顔
いつまでも見ていたい
そんな絵でした
ちょうどいいところにソファが置かれ
座りながらぼぉーっと眺めます
至福
第三章 パッション(受難) 受肉するマチエール
1939年に出版された「パッション(受難)」という版画集には
アンドレ・シュアレスという人の信仰に基づく難解なテキストが付けられているそうです
その挿絵としてのルオーの多色刷り銅版画
そして木版画の下絵となった油彩画が並びます
この頃からルオーの厚塗りが始まったといわれ
その過渡期の様子が見られます
見逃せないのがこちら
受難(エッケホモ)
1947-49年
ポンピドゥーセンター
いわゆるエッケホモは
ローマ総督ピラトが「この人を見よ」と罪人としてのキリストを指し示す絵
ですが
ルオーの絵には
ピラトやキリストを非難する民衆などが
一切描かれず
茨の冠とこれから流す血を暗示する赤いマント
そして杖を持つ姿でキリストであることを示します
画面右側に少し身体を傾けて
静かにうつむくイエスキリスト
すべてを受け入れ心穏やかに時を待つ
そんなキリストの内面だけが浮き彫りになっているように感じました
そもそも福島繫太郎コレクションだったのが
戦後接収品として今パリにあるそうです
なんだかな~~~~
特別セクション 聖なる空間の装飾
敬虔なカトリック教徒であり
その作品には常に宗教心が宿っていたとされるルオーですが
特に毎週教会に通いミサに参列するということはなかったそうなのです
晩年は教会からの依頼で作品を作っていたということで
ステンドグラスの下絵や七宝焼きの作品が並びます
祭壇を模してあって
ちょっと異空間
ここだけが写真撮影OKでした
第四章 聖書の風景 未完のユートピア
温かみのある風景がが並びます
それもキリストの周りに人々が集う絵ばかり
またはマルタとマリヤの家でのイェスス
1945年
個人蔵(ルオー財団協力)
秋 または ナザレット
1948年
ヴァチカン美術館
キリスト教的夜景
1952年
ポンピドゥーセンター
最初はやはり暗めの絵ですが
だんだんと明るくなります
垂直な樹に真っ直ぐな水平線といった安定感のある構図
透明感のあるエメラルドグリーンに
明るい黄色
やっとここに辿り着いたのね、ルオーさん
そしてもっと先をゆくのね いずこまで〜
と思わずにはおれませんでした
2016年にヴァチカンで行われた若者向けのミサで
贈り物とされたのがルオーの絵だったそうです
価値観を過去のものから解き放ち
時代と共にうつろうものとして
現代の人へ問いかける
そんな力を持つ絵として
モデルニテ(現代性)という言葉を用いたとのことでした
この日は京橋にあるサカキというレストランで
友人とランチのあとにルオー展に伺いました
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13002443/
11時半開店のお昼時は11時15分には並んでないと
一巡目で入れないという混雑店
1時半にお店を出てもまだ並んでました(^^;
美味しいです
一日20食限定のポークジンジャー狙いでしたが
この日は撃沈・・・
赤ワインたっぷりの風味のデミソースがかかったハンバーグにしました
やっぱり美味しい♡
ここからミュージアムまで銀座線で二駅、歩いても銀座の大通りをぶらぶら15〜20分、腹ごなしのお散歩にちょうどいいです♪
最後までお読みいただき
ありがとうございました😊
愛のすべて
ジョルジュ・ルオー
聖なる芸術とモデルニテ
12/9まで
https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/18/180929/