すこし日は経ちましたが
大阪、北海道にすむ友人達からの
豪雨、地震の生活への影響を聞くことが続きます。
皆様のご無事、最小限の被害を祈らずにはいられません。
一日も早くいつもの生活に戻られますようお祈り申し上げます。
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町田市立国際版画美術館に行ってきました
ヨルクシュマイサー
終わりなき旅
ドイツで生まれ
日本に魅せられ
オーストラリアを拠点として
世界各地を旅した版画家です
今回没後5年
個人蔵の作品が多く
よくここまで集めてきたな〜〜と思いました
奥様は奈良出身の日本人 敬子さん
作品にも日本的なものが
感じられます
それもとても身近に
作品の素晴らしさに思わず図録を買い求め
解説を読むと
なるほど
日本人画家の水墨画に感銘を受けて着想したという色彩
だいだい色、藍、墨色を基調とした色遣いの作品が多く並びます
身体にすぅーっと入り込む
しっくりくるという感覚です
構成は次の通りです
Ⅰ 変化へのまなざし
Ⅱ 旅
Ⅲ 日記と「小さなもの」
Ⅳ 連作ー変化を追う
Ⅴ 変化を創る
Ⅰ 変化へのまなざし
シュマイサーは1962年に入学したハンブルク造形大学で教員向け発掘ボランティアに参加し、その際に出土品の製図記録を担当します
製図記録では客観的であることはもちろん、言葉では説明できないものを明瞭に描くことを求められました
この経験が後の作品に大きな影響を及ぼしているとされています
一つの対象を異なる角度から眺めてみる
このことが
一つの版から多くのバリエーションを生み出していくことに繋がったようです
「彼女は老いていく」
1967-68
個人蔵
Ⅱ 旅
1968年から1972年まで京都で過ごし
1978年にオーストラリアのキャンベラ美術学校に職を得て
それ以降キャンベラを拠点に
世界中を旅して作品を生み出していきます
ドイツ、日本、インドのラダック、カンボジアのアンコールワット…
建造物や地形の正確な記録でありながら
彼らしい多くのモチーフが書き込まれ
時に日記となり
幻想的な作品になっています
題名に日記と記されたシリーズ
テーマは「旅」と「身の回りの小さいもの」に大別されています
普段から銅版画を持ち歩き
その場で描き
アトリエで再度手を加え
文字は鏡文字を意識して
作品として文字を書いていたそうです
まるでダ ヴィンチの手稿のよう
習作?メモ?これは何のモチーフ?
が周りに配置されていて
でも全体として素晴らしい作品なのです
よくほぼ日手帳の利用例に出てくる
イラスト入り旅日記
自分のアイデアと日記が一緒になったような
それが巨大になって
素晴らしいアートとして
目の前にあるのです
ほぼ日手帳
アーティストバージョン
巨大編とでも言いましょうか
興味深いです
一つの版から
手を加え
色を変えて
3組の連作を製作しています
2枚の版のうち1枚に加筆修正し
別の版を組み合わせ
またその版と別の2枚から新たな版を生み出し
第2、第3組目は色彩、イメージが更に膨らんで、、、
最終的には実体のない空蝉に…
女性いないやん〜
Ⅴ 変化を創る
1998年に豪政府のフェローシップにより南極を訪れます
そこで
大きさの測れない
常にかたちが変わっていく氷山を目の前にして
初めて正確さを手放し
雪舟を意識した
暗青色の濃淡だけで氷と海を
表現します
また
一つの版から生み出される可能性を
追求していきます
デーヴィス基地付近Ⅰ
2000
個人蔵
「イルパラ海岸のかけら」
サンゴのかけら
2010-2011
個人蔵