今日は午後は休みなので、この時間に更新(^^)



今日はクルト・ライマーの演奏を。


今日で、クルト・ライマーというピアニストの名前を知っている方は、かなり限られるかと思います。

知られているとすれば、親戚のカール・ライマーがギーゼキングの師で、両者の共著本が出ていて、日本語の翻訳版も存在すること。


そして、1954年にライマーの自作の協奏曲がカラヤン&フィルハーモニア管の伴奏で録音されたこと。


膨大なカラヤン&フィルハーモニア管によるEMIの録音の中でも、この録音だけはドイツ・ローカルのみの発売に終わり、けっこうな高値で取り引きされていたらしいですね。

1920年生まれですから、ミケランジェリと同い年ということになります。

デビューが1938年のベルリンにおいてで、エトヴィン・フィッシャーのもとでも学んでますが、その後に兵役に取られ、しかも捕虜になるなど、スタートダッシュに恵まれていません。

しかも作曲もしたうえ、1953年からモーツァルテウムの教授という教育者にもなっていたので、ミケランジェリのような華々しいキャリア(もちろんあの完璧主義者故の独特なキャリアとも言えますが)とは、およそ正反対のものでした。

また、作品も聴く限り、前衛が持て囃された戦後においては、アナクロニズムとまでは言わないけど、まぁどちらかと言えば保守的なものなので、自然忘れ去られました。

とどめは、1974年には早くも亡くなってしまい、それは今日での彼の知名度の低さに決定的な貢献をしてしまいます。


それでも、僅かに残された録音が復刻されているのは、マニアにはたまらないこと。


・ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番(デアキ&ニュルンベルク響、1961年)

・同  前奏曲 op.23-5

・ライマー  ピアノ協奏曲第2番(ストコフスキー&スイス・イタリア語放送管、1968年)


ストコフスキーという大物との共演、しかも自作での共演とは驚きですが、ストコフスキーはアメリカにおいてライマーの第4協奏曲を初演しており、良き理解者だったのでしょう。

ラフマニノフですが、この時代にはまだ決して珍しいものではなかったカットが数ヶ所存在します。

第3楽章はかなりゆっくりめのテンポで、じっくりと聴かせてくれます。

あとは、第1楽章のカデンツァなんかに顕著なんですが、ちょっとした揺らせかたやルバートがあって、思わずニヤリとしてしまいます。

録音はちょっと彫りが浅めではありますが、特に問題はありません。


なおこのレーベルからは、他にもショパンのエチュード、ブラームスの第2番の協奏曲、チャイコフスキーの第1番の協奏曲の録音も発売されていますので、興味のあるかたはどうぞ♪

そろそろブルックナーをじっくりと聴くのにもいい季節になってきました。


今日はジュリーニがベルリン・フィルに客演した折りのブルックナーの第8交響曲のライブを


1984年2月11日の録音。

デジタル録音でないのは残念ですが、自由ベルリン放送の録音なので、十分に楽しめます。


解説によると、ジュリーニのベルリン・フィルへのデビューは1967年と、50歳を過ぎてからの、ずいぶん遅いものでした。

年齢の近いショルティ、ヴァント、ライトナーなんかよりも、はるかに後れをとったものです。

以後、1992年のヴェルディのレクイエムで別れを告げるまでの25年間に、91回振っているとのこと。


さて、この時代にこのオケとのブルックナーとなると、シェフのカラヤンは健在だし、ブルックナーの大家ヨッフムはフルトヴェングラー時代からのこのオケの常連の客演指揮者だし、ベームも亡くなって数年という頃で、演奏される機会も多かったはず。

わりとレパートリーを限定するジュリーニがそういうオケを相手にこの曲を敢えて選らんだだけあり、素晴らしい出来です。

彼のブルックナーの第8交響曲の録音は、この時期に集中しており、前年にはフィルハーモニア管とのライブが録音されており、さらにこのベルリン・フィルとのライブの3ヶ月後には、ウィーン・フィルとの名盤をDGに残しています。


演奏内容は、ウィーン・フィル盤と、オケの特性による響きや音色の違いはあるにせよ、解釈に大きな違いはありません。

ライブ故の瑕疵(Obがかすれてしまったり)とかはありますが、完璧主義者でない限り、十二分に楽しめます。

白眉はやはりジュリーニのレガートが存分に楽しめる第3楽章だと感じました。
歌いまくってるわけではありませんが(そもそもそんな安っぽい楽章ではないし)、カラヤンに劣らぬレガートの美しさ。

同じことは、あの武骨なスケルツォの第2楽章にも言えること。

冒頭の第1主題は、VaとVcによって奏でられますが、ここはボウイングはダウン→ダウンとなっています。

しかしジュリーニは、恐らくダウン→アップに変更して弾かせているようで、スコア通りにダウン→ダウンで弾いた時のゴツゴツとした感じは消え、見事にイタリアンレガートとも呼びたくなるような滑らかな旋律に仕上がってます。
(もちろんブルックナーの意図に適うものか否かは意見が分かれるところでしょう)


それにしても、こんな巨大な構造物を作り上げたブルックナーに、改めて驚嘆します。

ハンガリーのピアニスト、ゾルターン・コチシュ逝去。


ウィーンと日本で2回ほど聴く機会があったし、CDでもそれなりにお世話になったなぁ…


R.I.P.